利用企業にインタビュー!事例で学ぶBeacon活用の可能性【前編】

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利用企業にインタビュー!事例で学ぶBeacon活用の可能性【前編】

ネットワーク機器 2016/02/01

 Bluetoothを利用した無線技術であるBeaconは、スマートフォンに向けて情報をプッシュで通知できたり、取得したログから行動を可視化できたりすることから、O2Oの切り札として注目を集めています。

 現在は大型商業施設や空港、そして美術館など一部のアーリーアダプターの利用に留まっていますが、今後広く普及していく可能性があるのか否か、実際に大型の採用イベントでBeaconを利用している一般財団法人大阪労働協会様と、それを支援している弊社(シナジーマーケティング)の担当者にインタビューを行い、実際にBeaconを利用してみることで得られた成果と見えた課題をご紹介できればと思います。

Beaconを採用した理由、その背景とは!?

Q1.まず、民間でもBeaconの利用はまだまだ少ない状況かと思いますが、公的機関である大阪労働協会様がBeaconという先進的な取り組みを率先して取り入れられた理由を教えて下さい。

A1.【大阪労働協会】
 大阪労働協会では常に新しいチャレンジを考えており、それらの実績やノウハウを外部に開示することは惜しみません。私たちの取り組みの内容を他の事業者や民間企業に参考にしてもらい、新たなフレームワークが生まれてくれればと考えています。それが公共事業を行う事業者としての使命でもあるとも考えています。

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一般財団法人大阪労働協会
人材開発事業第二統括グループグループ長 宍野雅幸氏(右)
人材開発事業第二統括グループ就業支援チーム コーディネーター反田和希氏(左)

 このような文化が土台としてある中、私たちは就業支援事業の一環として採用企業と求職者とのマッチングを行う合同企業説明会を年10回程度主催しており、このような採用イベントでも最新のインターネット技術やスマートフォンを活用することで、より効果的かつ効率的な運営が出来るのではないかと考えていました。

 その時、マーケティング業務をお手伝いしていただいているシナジーマーケティング様からイベントでのBeacon活用の提案を受けたことが今回導入した理由です。

Q2.実際にBeaconを活用されたイベントの概要と、活用の目的を教えて下さい。

A2.【大阪労働協会】
 2015年7月17日大阪にて「世界に誇れるオンリーワン企業が集まる合同企業説明会」をテーマとして、独自の技術力や市場シェアNo.1などの実績を持つ関西の企業に集まってもらい、新卒や若年層を中心とした求職者とのマッチングをおこなう「天下一合説」と題する採用イベントの開催を計画しました。

 会場はグランフロント大阪のコンベンションセンター(約2,800平方メートル)で、100社を超える企業に参加してもらおうと計画しました。弊会が主催する今年度で最も規模の大きいイベントです。

 この採用イベントで、
「1.会場での来場者の回遊性をいかに高めるか」「2.いかにペーパーレスのイベントにできるか」

従来から抱えていた上記2つの課題を解決することを目的に、Beaconの活用を決定しました。

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Q3.「イベント会場での来場者の回遊性を高める」という目的でBeaconを採用されたということですが、従来から抱えていたこの課題について詳しく教えて下さい。

A3.【大阪労働協会】
 私たちは合同企業説明会において、来場者にいかに数多くの企業ブースを訪問してもらい、企業と求職者との出会いの機会を創出するかということに対して継続的に対策に取り組んできました。

 会場での来場者の動きとしては、まず時間をかけて資料を読み込んで自分が訪問する企業を決定し、その後、その目当ての企業だけを順番に訪問したら会場を後にするということが常です。そこで、集客が見込める企業のブースを会場の入り口からは遠い場所に配置し、目当ての企業に向かう道中で、他の企業にも目を止めてもらい、当初訪問を計画していた企業以外にも訪問してもらえるよう、来場者の回遊性を高める動線設計をしてきました。

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 これらの対策を行なっても来場者の企業ブース訪問数の平均は2.0〜3.0社です。何も対策を行なわない場合は、2.2社程度に留まる場合もあります。会場での来場者の回遊性を高め、一人あたりの企業訪問数を増やすことは、私たちにとって重要な課題でした。

Q4.では、その課題の解決のためにどのようにBeaconを活用したのか教えて下さい。またその結果についても教えて下さい。

A4.【大阪労働協会】
 従来の、集客が見込める企業のブースを会場の入り口からは遠い場所に配置する会場設計はそのままとし、会場全体に35個のBeaconをまんべんなく設置しました。Beaconからは付近を通る来場者に向けて、その近辺の出展企業の会社紹介がPUSH通知されるので、来場者が目当ての企業に向かう途中で、Beacon のPUSH通知をきっかけに道中の他の企業にも目を止め、当初訪問を計画していた企業以外にも訪問してもらうことで会場内の回遊性が高まるのではないかというものです。

 結果としては、新卒を中心に若年から主婦層、シニアに至る全来場者1,043人のうち、実際にBeaconアプリをダウンロードしてくれた方は287名(Android96名、Apple191名)で、今回の来場者の企業ブース訪問数の平均は3.3社と増加しました。この数値はBeacon のPUSH通知が来場者の回遊性を高めることに有効であったと見られます。また後にBeaconのログデータから、時間ごとに会場のどの場所で滞留がおきていたのかという来場者の行動を数字で把握できたことも有効でした。
 来場者の会場内での行動は想定通りで、従来の会場回遊パターンと同じく奥に配置した集客が見込める企業ブースに滞留することがデータからも証明されました。更に、来場者の入場から退場にいたるまでの回遊ルートも把握することができたので、今後、会場の動線設計に活用できると思います。

Beaconから「PUSH通知」受信の様子

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Beaconから「PUSH通知」受信の様子
来場風景

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来場風景

Q5.次に「ペーパーレスのイベントにする」という目的でもBeaconを採用されたということですが、この課題についても詳しく教えて下さい。

A5.【大阪労働協会】
 私たちは合同企業説明会を主催するにあたり、ペーパーレス化を目指しています。通常は「冊子が足りない」という事態を避けるために、総定数より多めに印刷をします。

 例えば、1,000名規模を想定している今回のようなイベントでは、冊子を1,500部以上用意することが慣例となっています。ただ、動員が想定を下回ることもあり、そのような時にはイベント後に500部以上を廃棄することもあります。これらのコストとリソースのロスは非常に大きく、従来から課題意識を持っていたので、今回のBeaconやアプリの活用を期にペーパーレス化を推し進めるきっかけにできればと考えました。

Q6.その課題の解決のためにどのようにBeaconやアプリを活用したのか教えて下さい。またその成果について教えて下さい。

A6.【大阪労働協会】

 単純に配布資料を減らせばよいということではありません。先に述べたように来場者はまず、配布資料にじっくり目を通してから訪問する企業を厳選されますし、私たちは求職者目線で就業支援をおこなっていますので、求職者が企業研究を行う際に必要な情報は網羅して掲載・配布することが必要となります。

 このような背景があることから、ペーパーレス化に向けて配布資料とともにイベントの詳細や出展企業の情報、そしてセミナー情報などをBeaconアプリページにも掲載することとし、紙だけに頼らない情報提供を心がけました。これらのアプリページは多くの方にご覧いただくことができました。
 結果としては、劇的にペーパーレス化を進めることができたとは言えませんが、これはBeaconアプリのダウンロード数が増えることで、ペーパーレス化に向けた環境が徐々に整ってゆくものだと感じています。

 この取り組みを通して、Beaconを基点として来場者から情報を取りに来てもらうためには、それだけの強い動機づけを行なうことが不可欠であると感じましたので、次回のイベントでは、アプリを通じて来場者が欲しいと思える情報を入手してもらえる仕組みを構築したいと考えています。

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 具体的には、アプリでしか見ることができないコンテンツ(インターンに関する情報や、オリジナルの企業案内動画など)の掲載を検討しています。今後もペーパーレスのイベントが「当たり前」となるように、これらの取り組みは継続していく計画です。

Q7.「Beacon利用を促すには、コンテンツの充実が欠かせない」というお話がありましたが、導入支援側である弊社の担当者はこの点どのように考えますか?

A7.【シナジーマーケティング】

 Beacon利用に関しては、アプリのダウンロードのみならずBluetoothの有効化など、ユーザー自身に任意で行なってもらわないといけない工程が存在します。これはBeacon活用の宿命であるとも言えます。もちろん、事前の利用促進のための告知や、会場での設定方法のレクチャーも重要ですが、ユーザーは自身にとって有益な情報ではないと判断した時点で、いつでもBeaconからの通知を遮断することも行えるのです。

 おっしゃるようにBeaconの普及は「いかにユーザーにとって益となるコンテンツを準備し、来場者自身に能動的に情報を取りに来てもらうか」にかかっていると言っても過言ではありません。今回弊社は、大規模採用イベントでのBeacon活用に向けた筋道をたてるお手伝いをさせて頂きましたが、次回は更にBeaconを有効利用いただくための魅力的なコンテンツづくりを含めて企画段階からお手伝いさせていただく予定です。

Beacon活用の展望

Q8.では両社より今後のBeacon活用の展望を聞かせて下さい。

A8.【大阪労働協会】

 将来的には個人の属性に応じた会場でのPUSH通知が可能になってくれればと考えています。例えば、来場者が希望する業種や職種、更には勤務地などを条件としてアプリに登録すれば、それらの希望条件を満たす企業ブースの前を通過した時にだけPUSH通知を受け取れるというものです。このような技術的な仕組みが可能となれば、来場者にとって有益かつ効果的なメッセージが伝えられ、Beaconが一部のアーリーアダプターによる試験的な利用に留まらず、マーケティング活動でも活用が加速するのではないかと感じます。

A8.【シナジーマーケティング】
 現時点では、来場者のさまざまな条件に合わせて会場で即時のPUSH配信(出し分け)を行なうためには、技術的にもコスト的にもクリアしなければならない、さまざまな課題があることは事実です。しかし今後は、来場者に対する有益かつ効果的なメッセージングのために、求職者の情報に、希望する条件をはじめ、採用イベントへの来場履歴や実際の訪問先など、オンライン/オフラインを問わず多様な接点で得られたデータを紐づけ、統合管理していく必要性が高まっていくことに間違いありません。

 とりわけ、Beaconを活用することで得られるログは、ユーザーが現地(オフライン)で実際に取った行動に関するデータであり、これらはメール広告やバナー広告(オンライン上)では決して取得(把握)することができない貴重でリアルな行動データです。弊社は将来的に、これら双方(オンライン/オフライン)のデータを総合的に解析することで、ユーザーに対して真に価値あるコンテンツ(情報)を提供するとともに、それらをより合理的なマーケティングコミュニケーションの手法として確立させることで、Beaconの利用者/提供者双方にメリットを感じてもらいたいと考えています。

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シナジーマーケティング株式会社事業本部 西日本事業本部 第二営業グループ 多田理紗(右)事業本部 西日本事業本部 クリエイティブグループ 大矢良太郎(中)技術本部 ソリューション開発部 第一ソリューショングループ 森川琢磨(左)

 そのため弊社は、10年以上に渡り顧客情報の管理・活用を託されてきた企業としての信頼性と技術力を注ぎ、更なるBeacon活用の成果に結び付けていく計画です。

 ありがとうございました。

 今回のBeacon利用の結果をふまえた大阪労働協会様の次回の採用イベント(2度目のBeacon利用)の結果も、追ってレポートさせていただきます。お楽しみに!

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キーマンズネットとは
2005年、メールマーケティングシステムの開発・提供を行っていたインデックスデジタル株式会社(現シナジーマーケティング株式会社)に入社。それから現在に至るまで、シナジーマーケティング株式会社の広報業務に従事している。

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