ストレスに悩まない人達が実践する3つのセルフケア 〜1〜

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ストレスに悩まない人達が実践する3つのセルフケア 〜1〜

2015/11/04

 前回は「ストレス」とは何なのか?その定義についてストレス要因ストレス耐性ストレス反応という3つの言葉を使って説明をさせていただきました。

 さて、同じような環境にあってもストレスに悩みメンタル不調になる人と、ならない人がいます。私はこれまで多くの働く人と面談をする中で、メンタルヘルス不調にならない人と、メンタルヘルス不調になってしまう人の違いに注目してきました。その結果「メンタルヘルス不調にならない人達=ストレスに上手に対処している人達」は、そもそもストレスを感じる前からの日常生活の中で、上手に3種類のセルフケアの習慣を取り入れていることがわかりました。

 今回は「セルフケアの方法」について説明させていただきます。

長時間労働による負の連鎖を断ち切る

 メンタル不調にならない人達に共通することは「長時間労働による負の連鎖を断ち切っている」ということです。

 過重労働という言葉を皆さんはお聞きになったことがあるでしょう。長時間労働の中でも特に、残業時間が1ヵ月に100時間以上、もしくは2ヵ月から6ヵ月の平均で80時間を超えていれば、それは過重労働と呼ばれます。

 医学的に長時間労働は健康被害につながると言われています。ただ多くの論文を調べてみても、長時間労働が直接健康被害を引き起こすとはされていません。ではどうして長時間労働と健康被害がつながるのかというと、これは次の三段論法によるものなのです。

 長時間労働をしている人は睡眠時間が少ない、ということがまず権威ある論文などで認められています。そして別の分野では、睡眠時間が少ない人は身体や心の健康を害するリスクが高いとされています。睡眠時間が6時間以下と短い人ほど、死亡率、あるいは脳や心臓の血管障害、糖尿病、肥満、抑うつ症状などの発症率などのリスクが高くなることが示されています。

 長時間労働は睡眠時間の減少につながり、睡眠時間の減少は心身への悪影響を及ぼすので、長時間労働は健康被害につながるという論法になっているわけです。産業医としては、もちろん長時間労働はしないにこしたことはないとわかってはいますが、どうしてこれが良くないのか、そしてどう対処すれば良いのか、もう少し細かく検証してみたいと思います。

 まず、長時間労働そのものが悪いといえる点がいくつかあります。

 会社に毎日遅くまで残っていると、会社と家の往復だけという生活になります。すると、会社にしか居場所がない、「会社が自分の世界のすべて」になってしまいがちです。会社でうまくいっている間は良いのですが、何かうまくいかないことやミスをして上司など叱られるようなことがあると、心のよりどころがなくなってしまいます。これは心の健康にとっては非常に危険なことで、長時間労働によってもたらされる直接の害の一つです。

 また自分も周りもいつも22時、23時まで働いているとそれが普通だと思ってしまうという問題もあります。これは実際に私が関わった例ですが、入社14年目で突然メンタル不調になり休職した方がいました。休職中、定期的に面談をしていく中で少しずつ良くなってきて、ちょっと町に出られるようになった頃のこと、ある時しみじみと「世の中の人は、17時、18時になると電車に乗って帰宅するのですね…」と言うのです。私がちょっと驚いて「就業時間って知っていますか?」と尋ねると「就業時間って何ですか?」と答えられました。その方は14年間働いてきて、就業時間というものを意識したことがなかったそうです。これは極端な例かもしれませんが、自分も周りも長時間労働が当たり前という世界にいると、そのことに違和感を感じなくなってしまう、これは非常に危険なことだと思います。

 もちろん、自分で好んで長時間働いている人はまだいいのでしょうが、何かを犠牲にしてやっているとか、会社からやらされている感の強い人は、不平・不満が募ってくるでしょう。

 以上のような理由により、長時間労働そのものが悪い、と言われているわけです。

 次回は、メンタル不調にならない人の3つセルフケア、2つ目をご紹介いたします。

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キーマンズネットとは
医師、医学博士、産業医。これまで20以上の企業を担当。年間千件・通算1万件以上の健康相談やメンタルヘルス相談を通じ、働く人の健康管理をお手伝い。著書に「産業医・労働安全衛生管理者のためのストレスチェック制度対策まるわかり(中外医学社)」「不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣(産学社)」がある。

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