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IT現場の道先案内人 Key Conductors

IoT時代に備えよ!(後編)

ネットワーク機器 2015/10/28

IoT実現のキーワード:デジタルツイン

 IoTの取り組みを成功させるには、もう1つ注目すべきコンセプトがある。それが「デジタルツイン」だ。製品などに関わる物理世界の出来事を、そっくりそのままデジタル上に再現するという意味だ。これにより、たとえば製造ラインの一部を変更した場合に現実の世界にて期待される効果が得られるかどうかをシミュレーションするなど、現実に近い予測が可能になる。

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 このコンセプトを導入し、新たなビジネスの創出に積極的なのが、ゼネラル・エレクトリック(GE)だ。同社は、全飛行データやエンジンの稼働時間・稼働状況、稼働環境の温度変化、粉塵など、詳細なデータをIoTで収集してデジタルツインを構築した。その結果、ジェットエンジンのオーバーホール(エンジンを部品単位まで分解、清掃、再度組み立て、性能を新品同様の状態に戻す作業)を24ヵ月から36ヵ月おきに実施していたところ、38ヵ月までは必要としないことが分かった。適正な検査期間が判明したことで、コストの無駄が解消された。

 GEは、IoTで製造業界を一新する先進的な取り組みを敢行する企業だ。同社はシスコシステムズ、Intel、IBM、AT&Tの5社と「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」を設立し、製造業やエネルギー、ヘルスケア、運輸、公共の5分野を対象に、産業機器(モノ)と人、データを結びつけるオープンなグローバルネットワークの構築を推進している。米国や欧州、日本、中国など、参加企業は100社を超える。

GEが進めるIndustrial Internet

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 更にGEは、IoTによって事業ドメインを拡張させることに成功した。これまでは航空機メーカーとしてジェットエンジン本体の開発・販売や定期メンテナンスサービスを提供してきた。それが、生産ラインのデータを収集・分析できるようになったことで、航空会社に対して予防保全のメンテナンスサービスを提供し、空港には航空機材の配置を最適化する提案も可能になった。

 「将来的には、航空機材の配置からフライトプランを最適化し、混雑解消につなげるといったサービスを空港に提供にできるようになるかもしれない」。八子氏は、IoTの真価をこう説明する。

IoTで事業ドメインの拡張に成功したGE

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IoTで事業ドメインの拡張に成功したGE

競争から共創の時代へ

 だが、デジタルツインも事業ドメインの拡張も、1社ですべて実現するのは非常に厳しい。そこでIoT化の最後のポイントが「共創」だ。自社のモノだけが多く売れればよいという発想から、それぞれの強みを持ち寄ることで新しい価値を創出しようという発想へ。つまり「競争」から「共創」へ意識改革することが、IoT時代に生き残る上で大切なのだ。

 八子氏が所属するシスココンサルティングサービス部門の事業内容は、そうした共創の1つのヒントになる。

 同部門では、自社製品を売り込むのではなく、顧客やパートナー企業と積極的に「つながる」ことを第一に、包括的なビジネスモデルを創るパーツすべてを取り扱うことが求められている。

 「ビジネス課題は、物事の狭間で発生する。様々なアーキテクチャを組み合わせていく中で、ホワイトスペースが発生する。それを見据えて、協業他社とビジネスモデルを構築したり、中長期的なICTモデルを策定したり、収集された膨大なデータを活用するためのビジネス戦略を考えたりする」。

 最近では、大手IT企業がIoT活用と新しいビジネスモデルの模索で活発な提携を進めているIBMとITサービスプロバイダーのHCL TechnologiesがIoTソリューションの開発で提携、今月にはインドにインキュベーションセンターをオープンさせる。Salesforceはパートナー企業のInformaticaとともにIoTクラウドの実現に取り組んでいる。先に述べたGEも例外ではない。

 既存の物理資産と情報資産の潜在的な可能性を目覚めさせ、新規ビジネスの創出や事業ドメインの拡大も叶えるIoT。グローバルなレベルで企業の在り方やビジネスモデルを刷新するIoTは、ただのバズワードに止まらないようだ。

                                「前編」はこちらよりご覧下さい

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