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IT現場の道先案内人 Key Conductors

2020年に生き残る企業/個人の条件

2015/10/14

人工知能で一変する企業や個人の在り方

 モバイル、クラウド、IoTは、私たちのライフスタイルや働き方を大きく変えた。今やスマートフォンを片手に業務メールやスケジュールをチェックし、顧客先ではクラウドにアップロードされたプレゼン動画や資料をベースに商談できるのは当たり前になった。
IoTの分野では、例えば建設機械にセンサーを搭載、稼働情報をモニタリングして品質管理やサポートなどを提供する、外出先からスマホでエアコンやロボットクリーナーを操作するなど、次々と活用事例が誕生している。
 
  だが、これらは作業の効率化や生産性の向上、情報共有のスピードアップなど、既存の仕組みやビジネスモデルを「アップグレード」したにとどまる。だが、IBMやGoogleなど大手IT企業が巨額を投じて研究開発を進める「人工知能」は違う。まさに革新的な技術であり、5年後に企業/個人が生き残れるかどうかを左右する重大なキーワードである。
 
  2020年を見据えたとき、人工知能機能を実装したソフトウェアは主流となる。マジックソフトウェア・ジャパン株式会社主催のイベント「Magic World 2015」の特別講演に登壇した船井総合研究所、シニア経営コンサルタントの斉藤芳宜氏はこう述べた。

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船井総合研究所 シニア経営コンサルタント 斉藤芳宜氏

 実際、米国の法律事務所ではこれまで大規模な訴訟案件で膨大な証拠や判例資料をマンパワーで精査してきたが、今では統語解析やキーワード認識などを提供するソフトウェアに任せられるようになった。
 
  「リアルタイムに商品の販売状況を追跡して、必要に応じて自動発注をかけてくれる在庫管理システム、市場や競合他社の動向からビジネス戦略を提案してくれるコンサルティングソフトも登場するだろう」。市場機会を逃さないためにも、自社製品への実装を今から検討開始すべきと斉藤氏は強調する。

 だが、これは同時に社員個人の業務が機械に奪われることを意味する。前述の法律事務所の例では、資料の精査を担当してきた中堅弁護士の仕事はなくなった。
 
  そして企業にとっても、人工知能に置き換えられるようなビジネスが主要業務の場合、新たに提供できる付加価値を今すぐ見つけなければ、2020年に生き残っている可能性は格段に低くなる。

企業は顧客第一・社会貢献を、個人は付加価値の習得を目指せ

では、5年後も前線を走り続ける企業/個人であるにはどうすればよいのか。斉藤氏が挙げたいくつかのポイントをまとめる。

2020年に向けて企業や人が考えるべきポイント

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2020年に向けて企業や人が考えるべきポイント

 1つめのポイントは、顧客の成功こそが自社の成功であると知ることだ。斉藤氏は「成功しているかどうかの判断は私たちの成功ではなく、私たちのお客様が成功していること」というアリババの創業者で現会長のジャック・マーの名言を取り上げ、生存競争の厳しい時代、顧客に喜ばれ選ばれる企業になることは重要だとした。
 
  2つめのポイントは、社会的課題の解決に向けた貢献だ。特に3.11以降、企業の社会貢献活動に対して注目はこれまで以上に高まり、企業評価につながる傾向も強く見られた。「よい技術や製品を提供するだけでなく、更に一歩踏み込んだ取り組みで差別化を図ることも大切だ」。
 
  3つめのポイントは、クリエイティビティに富んだ付加価値の高い人材を獲得することだ。これは、個人が生き残るために目指すべき姿とも重なる。
 
  そんな人材を表現する言葉として、斉藤氏はGoogleの現会長のエリック・シュミット、前プロダクト担当シニアバイスプレジデントのジョナサン・ローゼンバーグ、エグゼクティブコミュニケーション担当ディレクターのアラン・イーグルが共著の『How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス)―私たちの働き方とマネジメント』の中で重要なキーワードとなった「スマートクリエイティブ」を選んだ。

 スマートクリエイティブは、「ビジネスセンス、専門知識、クリエイティブなエネルギー、手を動かして業務を遂行しようとする姿勢を持つ人材」だ。そんな人材の獲得を重視、注力することは、すなわち事業成功の基盤を作るとGoogleは考える。
 
 スーパーマンになれと言わんばかりの人材像にも見えるが、例えばプログラミングができる、英語が話せる、経理ができるといった技能は単なる「ツール」であって、これらツールを駆使してビジネスに付加価値を与えるような何かを創造すると考えれば、それほど厳しい要求ではないようにも思えてくる。
 
 斉藤氏は、シリコンバレーを視察したとき、米企業にとってスマートクリエイティブの獲得は重要要件だったと振り返る。「これまで人手を必要とした技能が機械化・自動化される中で、単純化できない能力を備えた人材の獲得は重要なテーマだ。福利厚生を驚くほど充実させている企業もあって、顧客の獲得以上に優秀な人材の確保が重視されていることを強く感じた」。
 
 最後に斉藤氏は、変化の激しさに目標を見失いそうになったとき、ぜひ振り返ってほしいとして、「時流適応」「力相応一番化」「長所伸展」の3つの原理原則を挙げた。

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「先行きが見えなくなったときに振り返ってほしい」と斉藤氏は語る。

 時流を読み、自社の製品やサービスを柔軟に適応させる「時流適応」、世界一を目指すのではなく力相応を目指し、同時に一番になれるニッチな分野を見つけたら徹底的に攻める「力相応一番化」、前年同月比が120%以上の伸び率を達成している部門や商品カテゴリ、単品商品、人材などの長所に注力する「長所伸展」。

 5年はあっという間に過ぎる。斉藤氏が挙げた3つの原理原則をコアに据え、激流を乗り越えて2020年を迎え撃ちたい。

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