覚えておくべき3つのストレス反応 〜心の症状編〜

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覚えておくべき3つのストレス反応 〜心の症状編〜

2015/10/28

 前回は、ストレスの概要と、ストレスには良いも悪いもない、感じ方の違いであるということをご説明しました。
 今回は、もし自分たちの許容できる以上のストレスを感じた場合、ストレスが私たちの心や身体、行動にどういう結果をもたらすのか、説明したいと思います。このようなことをあらかじめ知識として身に着けておくことは、何らかの症状が現れたときに自ら気づき適切に対応するために必要であると考えます。

 私たちは、自らにかかる負荷が、自分のキャパシティを超えて“ストレス”と感じると、その反応が心か体か行動かの3種の表現形式をとって現れてきます。これをストレス反応とも言い、その症状を「(ストレスの)表現形式」と言います。人それぞれのストレスの表現形式(つまり症状)は異なりますが、同じ人では、出てくる症状は大抵決まっています。
 3つの表現形式のうち、本人にとって分かりやすいのは身体症状で、分かりにくいのが精神症状です。また、他人に分かりやすいのは行動に出る症状です。

心の症状

 まずは、ストレスによる心の症状、精神症状から説明していきましょう。ストレスによる精神症状はいろいろあります。例えば「やる気が出ない」「何をするにも億劫だ」「なんとなく気持ちが沈む」「イライラする」「憂鬱な気分」「喪失感」「不安」「あせり「集中力の低下」などが精神の症状・心の表現形式として現れます。
 「調子の良いときの自分とは異なる自分がいるみたい」「こんな自分じゃないはずなのに…」と感じるものの、どうすることも出来ない状況ともいえます。
 そして心の症状は、以下3つの理由により気づかれず、見逃されやすく、対処されにくいのが実情です。

■心の症状は、目に見えない

 1つ目の理由として、心の症状は、目に見えないということが挙げられます。他人の心の症状に気づくことは、見に見えないがゆえに、なおさら難しいです。また、自分の心の症状も目に見えませんので、気づきにくく、更に2つ目以降の理由も加わり、より気づきにくいとされています。

■心の症状は、徐々に現れる

 2つ目の理由は、心の症状はいきなり始まるわけではないからです。例えば、ある朝突然イライラが始まるわけではないですし、ある日突然に集中力がなくなるわけでもありません。こうした症状は徐々に現れるため、本人は自覚しにくいのです。
 それを把握するためには、例えば集中力の低下に関していえば、以前なら10分で終わっていた仕事が30分かかってしまう、あるいは一度読めば頭に入るはずのメール内容が3回読まないと理解できなくなっている、など具体的なケースを意識すると良いかもしれませんが、そんなことを日常からしている人は稀です。多くの場合、心の症状に理解のあるカウンセラーや医師との問診の中で、具体的にこんなことはありませんか?と訊かれ、気づかされるのです。しかし気づかされたからといって、治療開始にすぐにはならず、以下の3つ目の理由に続くことも多いのが実情です。

■心の症状を、認めたがらない

 3つ目の理由として、自分の心の症状そのものを認めたがらない、また、その原因を精神的なストレス等による心の症状(身体反応)だとは認めたがらないというのがあります。これはエリート、有名企業、優秀社員ほど強い傾向にあります。「この自分が…」「まさか自分に…」「こんなはずじゃない」「そんなわけはない」という人のなんと多いことか。
特に、職場の上司や人事に指摘された時、人は認めたがらない傾向がより強くなります。
その後の自分の評価や進退問題と絡めて考えてしまうのは、無理もないです。ですので、実際に起こっている心の症状がストレスに由来するものであると“誰に指摘されるか”も、とても大切になります。
 もちろん、会社の上司や人事に指摘されて嬉しい人はいません。ご本人が素直に認めやすいのは、ご家族、仲の良い友人、そして会社の産業医などが諭すように指摘する場合が多いです。人によってはこの心の表現形式が強く出る方もいますし、次に挙げる体の表現形式、もしくは行動の表現形式が強く現れる方もいらっしゃいます。

 以上、今回はストレスの3つの表現形式のうち、「心に現れる症状」について説明させていただきました。次回は残り2つ、身体と行動に現れるストレス症状について、解説をさせていただきます。

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キーマンズネットとは
医師、医学博士、産業医。これまで20以上の企業を担当。年間千件・通算1万件以上の健康相談やメンタルヘルス相談を通じ、働く人の健康管理をお手伝い。著書に「産業医・労働安全衛生管理者のためのストレスチェック制度対策まるわかり(中外医学社)」「不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣(産学社)」がある。

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