良いもの?悪いもの?「ストレス」とはなにか?

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 武神 健之(一般社団法人日本ストレスチェック協会) > 良いもの?悪いもの?「ストレス」とはなにか?
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

良いもの?悪いもの?「ストレス」とはなにか?

2015/10/21

 前回は、今年12月より義務化される「ストレスチェック制度」について、産業医の視点からあえて“過度な期待をしてはいけない点”を7点挙げさせていただきました。ただし繰り返しますが、私は本制度の施行は非常に大きな進歩だと思っています。働く方々が“からだの健康診断”と同様に、定期的に“こころの健康診断”を行い、自分のストレス状況について考え直す機会を持つ上で、非常に重要な制度だと感じているのです。

 さて、今回は「ストレス」について考えます。厚生労働省の資料ではストレスについて、図のようにストレス要因ストレス耐性ストレス反応という3つの言葉を使って定義しています。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 ストレス要因とは、ボールを押さえつけて凹ませる圧、押さえつける力のことをいいます。その圧に対してボールが凹まないようにはね返す力、ボールの弾力をストレス耐性といいます。そして圧がかかった時にパーンとボールが割れてしまわないように、ある程度の弾性をもってボールは凹むわけですが、その歪みがストレス反応です。
 この説明はとても丁寧ですし、一般にも分かりやすいと思います。しかし、実際に、例えば職場でのストレスということを考えたときに、この説明を元に考えると「ストレス要因」という言葉から即座に「あの部長が!」とか「会社がストレス!」などと原因探しの方向や、過去に注意が向いてしまいがちです。これがストレスに悩む人の典型例です。

 簡単に言えばストレスとは、緊張と弛緩でいうところの緊張です。他に、ストレスには、遺伝的、医学的、生理学的な理論や知識で説明できる部分もあります。しかし、ストレスに実践的に対処することを考えるならば、ストレスというのは決してネガティヴ、悪いものばかりではないと理解する必要があります。

ストレスは“負荷”であり、良いも悪いもない

 精神的・肉体的に負荷となる刺激はみなストレスとなりえますが、ストレスそのものが悪いわけではありません。同じような状況に対しても、人により捉え方は様々です。「成長の糧になる」という表現がありますが、何らかの刺激を負荷と思うか糧と思うか、感じ方は人により異なるということです。
 ストレスとは緊張のことと考えるのが一番です。そして、筋肉の緊張と弛緩でも分かるように、両方あって1つの常態を保っています。そこに、良いも悪いもありません。

 仕事が早く終わり家に早く帰ることができることを、家族と過ごせる、趣味の時間が持てるとポジティブに考える人もいますが、同じようなこの状況を「家に帰ると、家事をたくさん頼まれそうだ…」とネガティブに考える人もいます。

 実際、ストレスに上手に対処している人たちは、ストレスを前述のような捉え方だけではなく、もっとシンプルに考えて対処している、またはストレスについてあまり考えていないが無意識のうちにその対処をしています。
 では、その人たちにとって、ストレスとは何なのでしょうか。

ストレスとは「強度」x「持続期間」である

■ストレスの強度

 ストレスとは、「強度」x「持続期間」です。
 ストレスの「強度」というのは何かというと、それはどれだけインパクトが強いかということです。人は予想できることに関してはそれなりに身構え、ある程度は耐えることできますが、不意の出来事にはショックを受けやすい、つまり強度の強いストレスの原因となりえます。

■ストレスの持続期間

 ストレスの「持続時間・継続期間」というのは、そのような刺激や状況・環境がいつからどれくらい続いてきたのか、そしてこれからどれくらい続くのかということで、これも個々人がストレスをどれくらい大きく感じるかということの重要な因子になります。原因が分かっているストレスと、分かっていないストレス、はどちらが重症かは理解容易でしょう。

■ストレスは疲労度に関係する

 また、同じ人でもストレスの感じ方は環境や状況によって、時により異なるということもあります。疲労がたまっていれば、ストレスの強度や持続時間がそれほど深刻な程度ではなくても、当然、本人のストレスの感じ方は大きくなるでしょう。1つひとつは大したことではないけれど、重なってくると大きなストレスになるというのはよく耳にすることです。

 以上が「ストレス」の概要です。来週以降は、実際にストレスに悩まない人たちは、どのようにストレスに対処しているのか、お話しさせていただきたいと思います。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30008244


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 武神 健之(一般社団法人日本ストレスチェック協会) > 良いもの?悪いもの?「ストレス」とはなにか?

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
医師、医学博士、産業医。これまで20以上の企業を担当。年間千件・通算1万件以上の健康相談やメンタルヘルス相談を通じ、働く人の健康管理をお手伝い。著書に「産業医・労働安全衛生管理者のためのストレスチェック制度対策まるわかり(中外医学社)」「不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣(産学社)」がある。

ページトップへ