「業務改革」実務編〜第1回 プロジェクトの正しい始め方と進め方

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 三輪 剛士(太陽グラントソントン株式会社) > 「業務改革」実務編〜第1回 プロジェクトの正しい始め方と進め方
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

「業務改革」実務編〜第1回 プロジェクトの正しい始め方と進め方

情報共有システム・コミュニケーションツール 2015/10/13

■※前回までの「業務改革」コンセプト編を御覧頂くとより理解が深まります
■「業務改革」コンセプト編 〜第1回 業務改革とは〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007575/

■「業務改革」コンセプト編 〜第2回 誰が得する業務改革〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007637/

■「業務改革」コンセプト編〜第3回 経営者と現場とのギャップ〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007783/

■「業務改革」コンセプト編〜第4回 業務改革リーダーにふさわしいのは〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007904/

■「業務改革」コンセプト編〜第5回 意外と出来ていない業務の統一化〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007938/

■「業務改革」コンセプト編〜第6回 最初から風呂敷を広げすぎない〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30008126/

始めに

 皆さま初めまして。太陽グラントソントン株式会社の三輪と申します。

 弊社松山のコラム「業務改革:コンセプト編」からバトンを引き継ぎ、「業務改革:実務編」と題して、業務プロセス改革を進めていくにあたっての実務上の勘所を数回にわたってご説明させていただきます。

プロジェクトの正しい始め方

 これまでの経験上、プロジェクトを成功に導くためには「正しい始め方」と「正しい進め方」というものがあります。

 まず「正しい始め方」ですが、業務プロセス改革を始めるきっかけには大きく分けて3つあります。

1.中期経営計画の具現化
2.外部要因(金融機関、税務当局、その他外部からの改善要求によるもの)
3.情報システムの入れ替え(既存情報システムの老朽化、事業の拡大・縮小に伴うもの)

 これらのきっかけの中で、どれが「正しい始め方」だと思いますか?

 「業務改革」コンセプト編の第1回でも記載されている通り、本来業務プロセス改革は、「1.中期経営計画の実現」のために行いますので、1つ目の契機により実行されるべきものです。

 しかし、実務上は「2.外部要因」、もしくは「3.情報システムの入れ替え」の契機によって業務改革が始まることが大変多い傾向にあります。

 「2.外部要因」としては、事故、クレーム、銀行や国税など外部機関からの指摘を受け、不備のある業務プロセスの改善を求められるケースです。この場合、問題のある業務プロセスのみの改革を行うのか、全体的な改革を行うのかを明確にしておかなければなりません。

 「3.情報システムの入れ替え」は、情報システムを新たに導入する場合、それもERPパッケージのような標準業務プロセスを持つ基幹システムを導入するような場合に、システムに合わせて業務プロセスを変えようと考えるケースです。

 この場合、システムが持っている出来合いの業務プロセスに自社の業務を合わせるやり方となり、現場からの抵抗があるばかりではなく、システム導入作業が多忙を極めてくると、システムを円滑に導入することのみが目的になってしまいがちです。こうなってしまうと、本来の目的である真の競争力強化のための業務プロセス改革にはならないことが多々あります。

プロジェクトの目的

 どのきっかけが良い、悪いというものではないのですが、当初のきっかけを正しくプロジェクトの目的に落としこむことが何より重要になってきます。

 例えば、「1.中期経営計画の実現」のケースでは、売上を10%向上させるという中期経営計画があったとして、業務改革の実行とは、売上を向上させるために必要な施策を行うことにあたります。

 既存顧客に対する業務スピードを向上させるとか、店頭での欠品を予防するとか、そういったひとつ掘り下げた取り組みが、業務改革の具体的な目的となります。

 「2.外部要因」のケースでは、特定の指摘、例えば売上計上基準の見直し、原価把握方法の改善などがあったとして、そこから、売上計上に関する業務プロセスの見直しに取り掛かろうとします。

 ただし、もう一歩進んで「受発注や物流業務のプロセスも改革する」のように当初の範囲に比べて大きすぎるスコープとする場合には十分注意が必要です。

 「せっかく業務プロセスを変えるんだったら…」という抱き合わせでの業務改革プロジェクトは、プロジェクトの推進力や携わるメンバーのモチベーションを保つことが難しいものです。ですので、外部要因に基づいて業務改革を行う場合は、全体最適ではなく、部分的な改善を行ったほうが良いケースも多いと考えられます。

 「3.情報システムの入れ替え」のケースでは、システムを入れ替えるのであれば、一緒に業務プロセスも改善しよう、見直そうというものです。この場合も、当初のきっかけとそれに続く情報システム導入プロジェクトの目的にズレが生じると、プロジェクト自体も途中で頓挫してしまうことになりかねません。

プロジェクトの正しい進め方

 さて、業務プロセス改革プロジェクトを正しく始められたとして、正しく進められないと継続的なプロジェクト活動、高い効果を得られるプロジェクト活動にしていくことは難しくなります。

 新規のお客様からよくお聞きする声としては、

・社内にプロジェクトを引っ張るリーダーがいない
・社内にプロジェクトチームを立ち上げて取り組んだが、次第に出席者が減り、頓挫してしまった

というものがあります。

 正しい進め方を考えるにあたり、プロジェクトの推進体制についてご説明します。一般的には以下の3つの推進体制があると思います。

1.自社のみで実施する
2.システム会社の協力を受ける
3.コンサルティング会社の協力を受ける

 「1.自社のみで実施する」場合は、社内に業務プロセス改革の経験者がいるかどうか、その人をリーダーに据えることができるかという点がプロジェクト自体の成否を左右します。

 「2.システム会社の協力を受ける」場合は、あらかじめ自社に導入する情報システムを選定しており、その製品を利用した問題解決が出来る見込が高いと考えられるのであれば、この進め方が適しているといえます。

 このような場合に外部のコンサルティング会社の協力を受けてしまうと、プロジェクトの推進上、逆効果になることもあります。上流工程に強みを持つコンサルティング会社が良かれと思って(もしくは、価値をアピールするために)提言する内容が、これまでの経緯を覆すものであったり、無駄にスコープが広がってしまったりするためです。

 プロジェクトの進め方や手法が分からなければ、「3.コンサルティング会社の協力を受ける」を選択することが妥当です。ただし、信頼できるコンサルティング会社をどう見つければよいかという点が大きな課題となってきます。

 ひとつの物差しとしては、課題解決の手法や経験、データ移行の経験値、さらに提案書などに記載されている最終到達点が自社の目的に則しているか、誰もが分かる表現となっているかなどを確認することにより、信頼できるコンサルティング会社なのかをある程度把握することが出来ると考えられます。

 難しい話や用語を並べたり、今回のプロジェクト目的とは全く異なる成功事例を引き合いに出すなど、クライアント企業側の立場に立った話をできないコンサルティング会社は要注意です。

 さて、このように長期に渡る業務プロセス改革のプロジェクトにおいては、正しい始め方、進め方をしないと続きません。今回のお話で具体的なプロジェクト活動を推進するために準備しなければならないことがお分かりいただけたと思います。

 次回は、プロジェクト立ち上げ後の活動の中でも、プロジェクトの成否を左右しかねない「業務ヒアリング」の狙いや手法を見ていきます。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30008235


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 三輪 剛士(太陽グラントソントン株式会社) > 「業務改革」実務編〜第1回 プロジェクトの正しい始め方と進め方

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
外資系大手コンサルティングファームにて、主に大規模なERPパッケージ導入プロジェクトに従事した後、2009年2月に太陽グラントソントン株式会社に入社。業務プロセス改革事業を立ち上げ、超上流フェーズから運用後までクライアント企業側に立っての一貫したコンサルティングサービスを提供している。

ページトップへ