白馬村に降臨、通訳女神 民宿×ITでつながる“おもてなし”の心

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白馬村に降臨、通訳女神 民宿×ITでつながる“おもてなし”の心

スマートデバイス 2015/09/28

ITを活用してコミュニケーションの壁をなくす――。長野県スキー連盟は訪日外国人の対応に多言語通訳システム「V-CUBE トランスレーター」を導入した。その効果とは。
(本記事はITmedia エンタープライズに2015年9月7日に掲載された記事を転載したものです)

 近年、日本を訪れる外国人観光客の数は2014年に過去最高を記録し、急速に増加している。それに加え、2020年に東京オリンピックが開催されることから、訪日外国人の対応は喫緊の課題となっている。特に言葉の壁は課題の一つ。オリンピック準備局も多言語対応を訴えている状況だ。

 今後「世界最先端IT国家」と「観光立国」を目指す日本は訪日観光客との言葉の壁をITで解決していかなければならない。そのような中、長野県スキー連盟は2015年8月29日に行われた国際大会「2015FISサマーグランプリジャンプ白馬大会」で、外国人選手の対応に多言語通訳サービスの「V-CUBE トランスレーター」を取り入れたという。V-CUBE トランスレーターは訪日外国人の対応にどれだけ効果があったのか、製品導入の担当者に話を聞いた。

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長野県白馬村スキー場

民宿オーナーが外国人選手を受け入れ"拒否"、一体なぜ?

 長野県白馬村では毎年8月にスキージャンプの国際大会「2015FISサマーグランプリジャンプ白馬大会」を開催しており、大会開催中は多くの外国人選手が白馬村に滞在する。

 今までは大会に参加する外国人選手のため、一つの大型ホテルを借り切っていたが、2011年から現地に複数ある民宿へ振り分ける「分宿」の方針に変えた。その理由を大会事務局長の中村光志さんはこう述べる。

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 「世界のトッププレイヤーたちが集結する大きな大会なのですが、今までは選手全員を同じホテルにまとめて宿泊してもらっていたため、民宿のオーナーたちは大会の存在すら知りませんでした。スキー場で知られる白馬村は民宿が多いので、そこに選手を泊めることで彼らにもこの大会に関わってもらい、関心を持ってもらいたかったのです。それに、畳やふとんなど日本の様式美を選手が体験できる機会も提供できるので」(中村さん)

 しかし、中村さんを待ち受けていたのは民宿オーナーの「外国人選手の受け入れ拒否」だった。白馬村観光局を通じて外国人選手受け入れの募集をかけても、なかなか集まらない。理由は言葉の壁だった。

 「通訳を用意してくれるならば」という声が多かったが、複数の宿に通訳を用意すれば多大なコストがかかる。市販の自動通訳ソフトも試してみたが、現状ではまだまだ翻訳の精度に問題があり、外国人選手とコミュニケーションをする実用的なものはなかなか見つからなかった。

 中村さんがようやく探し出したのが多言語通訳システムV-CUBE トランスレーターだ。連盟側で導入し、民宿側に貸し出すことを決めた。

誰でもすぐに使えるシンプルさ、費用は使った分だけ

 V-CUBE トランスレーターはモバイル端末やPCからコールセンターにいる通訳オペレーターにテレビ電話でつなぐことで、どこでも多言語対応の通訳サービスを受けることができる。対応言語は英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、ロシア語、日本語の8言語だ。

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V-CUBE トランスレーターの画面。左側が通訳オペレーター、右側が利用者

 本サービスの一番の特徴は「誰でもすぐに使える使い勝手の良さ」で、中村さんもそれが導入の一番の決め手になったという。実際にV-CUBE トランスレーターを使った、民宿「ペンション・カルナージュ」オーナーの渡瀬さんもシンプルなユーザーインタフェースに感心したと話す。「私でも使えるのか不安でしたが、このサービスはアプリを起動させ、相手の言語を選ぶだけですぐに通訳オペレーターを呼び出すことができるので、簡単に使えました」(渡瀬さん)

 また、本サービスが使った分だけを支払う従量課金制であることも導入を決めるポイントになった。今までは通訳を行った時間に関係なく高いコストがかかっていたが、ピンポイントで通訳が必要な場合には、本サービスを使うことで大幅にコストを削減できる。今回のように複数の通訳スタッフが必要な場合はなおさらだ。

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アプリを起動して、相手に言語を選択してもらえば通訳オペレーターに繋がる

今までできなかった納得のいく“おもてなし”が可能に

 V-CUBE トランスレーター導入の効果として、渡瀬さんは宿泊する外国人選手に納得のいく「おもてなし」ができるようになったと笑顔で話す。

 「大会期間中に泊まりに来る選手には試合で最高のパフォーマンスを発揮できるようお手伝いをしたいと思っていました。しかし、これまではどうしても細かい部分で意思疎通ができず、自分が本来してあげたい積極的な"おもてなし"ができないという葛藤がありました。例えば、食事の内容です。どのようなメニューがいいのか、どのくらいの量がいいのか、食べられないものはあるのか。そうした細かい要望をフォローできなければ「おもてなし」とはいえません。特に、スポーツ選手のコンディションを整えるには、食事が重要です。それが今回、この通訳サービスによって実現できるようになりました」(渡瀬さん)

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右側がV-CUBE トランスレーターを活用する「ペンション・カルナージュ」のオーナー、渡瀬さん

 渡瀬さんは宿の無線LANで接続しているが、音声が途切れたり、聞こえづらくなるといったトラブルもなく、また、通訳オペレータの顔を見て会話のやりとりができるので安心感があるという。今後の大会でもV-CUBE トランスレーターを活用していくそうだ。

 増え続ける訪日外国人と5年後の東京オリンピックに向けて"日本流おもてなし"を実現するためには、スムーズなコミュニケーションが重要だ。機械による自動通訳の技術も発展していくと予想されるが、画面の向こうにいる人間が対応してくれるV-CUBE トランスレーターのようなアナログ型の通訳システムの普及もまた重要な"カギ"になるだろう。

(鈴木亮平,ITmedia

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