経費精算のクラウド化、企業が得られるコスト削減以外のメリット

IT・IT製品TOP > Key Conductors > キーマンズネット 編集部(アイティメディア株式会社) > 経費精算のクラウド化、企業が得られるコスト削減以外のメリット
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

経費精算のクラウド化、企業が得られるコスト削減以外のメリット

基幹系システム 2015/09/24

 前編「タクシー配車アプリからそのまま経費精算、コンカーが描く未来」では、これまでどうしても紙に頼らざるを得なかった経費精算や出張処理を電子化し、自動的に処理を行うコンカーのソリューションの一部を紹介した。例えば、タクシーを使った場合の経費精算処理や領収書の入力作業が、スマホアプリを通じ自動化できるようになると従業員は本来やるべき業務に注力でき、生産性が向上するというものだ。

 しかし、その自動化によるメリットは従業員よりも、むしろ経営者にとってプラスに働くとコンカーは考えている。なぜなら経費処理とはお金の流れに他ならない。「ガバナンス」「最適化」……、後編ではコンカーが企業側のメリットを強調する機能群「For My Business」を紹介したい。

自動化で可能になる“ムダの可視化”

 繰り返しとなるが、コンカーのソリューションは、これまで紙ベースで行われていた経費や旅費の申請や承認、精算といった一連の作業をクラウド上で電子化することで自動化するというものだ。当然、各種情報は電子データとして蓄積される。それを単なる経費精算だけで終わらせてしまってはもったいないという視点が「For My Business」を理解する切り口になるだろう。

 例えば、データがあれば企業活動が可視化でき、振り返りも容易になる。パッと思いつくのは出張や経費精算における従業員による不正の検出、あるいはもっと適切な使い方はなかったのかという検証だ。これまで眠っていた各種データから戦略的なコスト削減も可能になるというわけだ。

 まず登場するのは、アビームコンサルティング。彼らが提供するサービスは、コンカー上に登録された経費精算のデータだけでなく、経費を使った社員それぞれの営業成績や支払までの期間などを多次元解析した上で、同社のコンサルタントが経営者に対して分析リポートや制度設計の提言を行うというもの。2015年内のスタートを予定する。

 例えば、トップセールスマンがどのくらいの経費を、何のために、どのタイミングで使っているのかを可視化できれば、営業力全体の底上げにつなげられるという発想だ。往々にして、現場の営業スタッフは売上だけを追いかけてしまい、利益を度外視することもある。経営者からすればトップライン(売上)は重要だが、ボトムライン(純利益)も同じか、それ以上に大切な数字だ。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

アビームコンサルティングが提供する、経費精算データを基にしたコンサルティング。経費の使い方を営業成績を解析し、ハイパフォーマーな従業員の行動を分析することも可能だ。

 経費の最適化とともに、出張などの旅費の最適化も可能になる。グローバル企業では、出張全般を専門とする「トラベルマネージャー」を置くところも多く、彼らがコスト管理や出張規定の管理を行っている。しかし、日本の中小企業ではその役割を総務人事や購買担当が兼務していることがほとんどだ。

 出張に特化したコンサルティングサービスを提供するトップレップは、コンカーから出張関連データを抽出し、同社が持つナレッジベースを連携させて、出張管理規定に問題はないか、リスクマネジメントやサプライヤ契約に問題がないかなどを把握し、提言する。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

図:コンカーとトップレップの連携

海外出張時に払った付加価値税の還付――6時間で25万ドル削減も

 処理があまりにも煩雑だ――海外で使った旅費や宿泊費などの付加価値税(VAT)の還付だ。海外出張で使った経費を精算する場合、多くの企業で付加価値税が含まれたまま処理される。なぜならば、手続き方法が分からなかったり、手順が複雑だったりすることから、ほとんどの企業が還付を諦めている状態だからだ。

 この処理もほぼ全自動で簡単に処理できるとしたら? その例として、Concur App Centerで提供されるソリューションの1つ、タックスバック・インターナショナルの機能を紹介しよう。同社は、各国で異なる付加価値税や消費税など「税還付」に関する申請書を作成し、還付までの処理を代行する。今回の連携では、コンカー上にある経費の明細から税還付に関係する明細を抽出し、申請データを自動的に作成、最終的に還付された金額から手数料を控除し、払い戻すまでをサービスとして提供する。

 同社のジョン・ヒーリー氏(ストラテジックパートナー ディレクター)によると、欧州のある企業では年間10億円の経費のうち約4000万円が還付できた例があるという。また、ワーナーミュージックグループのように「6時間で25万ドルを削減できた」という事例もある。「大企業ほど恩恵を受けるように思われるかもしれないが、むしろ資金が少ない中小企業にこそ価値があるサービスだ」とコメントする。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

タックスバック・インターナショナルとコンカーの連携例。これまで諦めていた還付金の一部が返ってくる

経費データ処理を「企業活動データのハブ」に

 さらに、データが蓄積されたコンカーを企業システムのハブにすることも考えられる。例えば人事データやSalesforceの営業活動記録をコンカーに登録したり、コンカーから会計システムやERPへのデータ連係や銀行向けの全銀データファイルの作成に使ったりできる。

 この部分で手を挙げている富士ソフトは、「経費精算システム単独のリプレイスでは首を縦に振らない経営者であっても、既に企業内で使われているシステムとのスムーズな連携を実現する『コネクター』の役割も果たすとなれば、クラウド化への障壁を下げられるのでは」とコメントする。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

富士ソフトが手掛けるコンカーを使った企業システム連携

コンカーは今後何十年でも日本にコミットする

 今回のオープンプラットフォーム戦略の発表にあたり、米コンカーのCEOで、SAPのグローバルマネージングボードメンバーのスティーブ・シン氏も来日した。

 「現在、日本はグローバルにおいても最も成長している市場の1つ。その傾向は何十年と続いていくと考えている。コンカーはSAPグループの一部として、SAPの顧客にもサービスを提供が可能になった。旅費精算だけでなく、生産の現場にいる人、人事部、財務部、調達部などカスタマーエンゲージメントに関連する場所に向けてパーソナルなサービスを提供する。今後何十年にわたり、われわれは日本にコミットする」

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

コンカーにおけるグローバルでの処理トランザクション数の増加率。日本は前年同期比95%増だという

 今回の発表では詳細が明らかにされなかったが、同社のオープンプラットフォームには複合機メーカー、スキャナメーカー、インターネットサービス、国内ホテルチェーン、国内交通機関、国内旅行会社などが参加を予定している。例えば、複合機メーカーでは複数枚の領収書をまとめてスキャンするだけで、AIが自動的に個別の領収書を識別し、コンカー上に登録する機能を計画しているそうだ。

 経費精算はどうしても手作業を減らせず、電子化が遅れる分野。余計な作業を続けざるを得ない企業がほとんどだ。この部分を思い切ってクラウドの向こう側にアウトソースし、自社だけではできなかった自動化、可視化を行うことも可能な時代になったといえよう。

(宮田健)

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30008209


IT・IT製品TOP > Key Conductors > キーマンズネット 編集部(アイティメディア株式会社) > 経費精算のクラウド化、企業が得られるコスト削減以外のメリット

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
キーマンズネット編集部スタッフです。よろしくお願いいたします。キーマンズネットは企業・法人のIT選定・導入をサポートする総合情報サイトです。IT初心者から上級者まで、みなさまのさまざまなニーズにお応えします。

ページトップへ