タクシー配車アプリからそのまま経費精算、コンカーが描く未来

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タクシー配車アプリからそのまま経費精算、コンカーが描く未来

基幹系システム 2015/09/18

 「領収書の電子化が進めば日本全体で1兆円ものコスト削減効果が見込める」――そう語るのは旅費や経費精算のためのクラウドサービスを提供するコンカーの三村真宗社長だ。タクシー配車から航空券やホテルの宿泊予約など、あらゆるビジネスシーンで発生する経費を自動的に取り込むという同社のオープンプラットフォーム戦略はどのような未来を目指すのか?

▼後編「経費精算のクラウド化、企業が得られるコスト削減以外のメリット

野村や三井物産、ファストリ――国内500社以上が導入するコンカーとは?

 経費や出張の精算処理は、とりわけ現場で動く社員にとって「面倒な作業」だと感じることだろう。経費精算のための書類を書き、ホテルや航空券などの領収書を証跡としてのり付けして、必要に応じて上司の印鑑を押してもらい、関係部署に送付する――通常の仕事とは大きく異なる作業に注力しなければいけないのは、企業の生産性を下げることにつながる。

 ここに目をつけたのが米コンカーだ。1993年に創業した同社は、出張処理や経費精算を自動化するクラウドサービスを提供。日本法人も2011年から活動を始め、野村證券や三井物産、ファーストリテイリングなど、すでに500社を超える国内企業が同社のサービスを利用している。そのコンカーが「パーフェクトエクスペンス」とうたう新たな戦略を打ち出した。具体的に何ができるようになるのか見てみよう。

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コンカーはクラウド上で出張、経費精算処理を自動化するサービスを提供する企業。1993年に設立、2014年に独SAPが買収した。

 これまでコンカーは、法人カードの利用履歴や出張実績を取り込んで連携する「明細の自動登録サービス」や、交通系ICカード(Suica)の記録を取り込んで自動的に交通費を精算するといった「入力支援サービス」を提供してきた。全ては紙が中心であり続ける経費精算処理を全自動化するための機能として提供してきたが、コンカー1社だけでは限界があることにも気づいていた。

 すでに世の中には、スマホからタクシー配車を手配できるアプリ、手書きの領収書をカメラで撮影すると数分後にはデータ化されるアプリなどが存在する。同社が新たに打ち出したオープンプラットフォーム「Concur App Center」には、App StoreやGoogle Playのようにコンカーと連動する外部アプリが並ぶ予定だ。すでにタクシー配車アプリ「全国タクシー」を提供するJapanTaxiや、撮影した領収書をデータ化するサービス「STREAMED」を提供するクラビスなどが手を挙げている。

 「タクシーに乗ればその乗車料金が、出張でWi-Fiルーターを借りればその利用料金がデータとなってコンカーに自動的に流れてくる。もう経費精算で無駄な時間を使わずに済むようになる」(三村社長)

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これまで提供してきた明細自動登録、入力支援サービスに加え、外部のサービスをあたかもコンカーと一体で使えるような仕組み「Concur App Center」を提供する

コンカーが実現すること:従業員にとってのメリットは?

 実際にコンカーを使うと従業員にどのようなメリットがあるのだろうか? まずは「For Me」という従業員向けの機能を紹介しよう。

 タクシーを利用するシーン。これまでであれば、タクシーで支払いをしたときにもらう紙のレシートを大切に保管しておかなければならなかった。なぜならば、それをA4サイズの台紙などに貼り付け、経費として申請する金額をシステムに手入力するというのが一般的だからだ。今回、コンカーのプラットフォームを使うと、次のように変わる――。

 まず、スマホアプリ「全国タクシー」を使い、配車を依頼する。ご存じのとおり、アプリ内の地図を使ってタクシーを任意の場所に呼び出せる。乗車後、支払いをクレジットカードで行うと“電子領収書”が発行され、コンカーに自動登録される。ユーザーが経費入力を行う必要はなく、登録済みの明細を確認して提出ボタンをクリックするだけでいい。現行法ではレシートを原本として保管しなければならないが、将来的には法律が改正されてペーパーレスな経費精算ができる日がくるだろう。

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スマートフォンアプリ「全国タクシー」とコンカーの連携で領収書が電子化され、明細が自動的に登録される。従業員はその確認と提出だけを行えばいい

 この連携アプリは10月16日にリリースされる予定だ。JapanTaxiの川鍋一朗社長(日本交通の川鍋社長といったほうが通りが良いだろうか)は、「10年以上前からシステムを接続したいという企業が何社かあった。しかし、それぞれの企業のシステムに合わせた作り込みが障壁となり実現には至らなかった。コンカーの登場により、これまで10年間果たせなかった思いがようやく実現できた」と振り返る。今後は、日本交通以外のタクシーとの連携拡大や、アプリによる配車依頼をせずに乗った流しのタクシーでも同様の処理ができるような仕組み作りにまい進する意向を示している。

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スマートフォンアプリ「全国タクシー」の利用イメージ。このアプリから配車、クレジットカードなどによる決済までが可能。決済時にコンカー連携をするかどうかを指定できる

手書きの領収書も「人の目」を通じてアプリでデータ化

 もう1つ経費精算で面倒な作業は、領収書の処理だ。サイズもフォーマットもバラバラ、そして手書きであることが多いため、コンピュータで自動認識しようにもなかなか自動化が進まない。OCRをしてもその精度は思ったほど高くなく、必ず人の目によるチェックが必要となる。

 そこで、最初から「人力」で文字を読み、手書きの領収書のデータ化をアウトソースできるサービスが「STREAMED」だ。スマホカメラで領収書を撮影すると、その画像データは主にベトナムに送られる。そしてベトナム人オペレータが支払先や金額などを入力し、勘定科目なども振り分ける。最長でも1営業日、平日昼間なら数分でデータ化が完了する。

 入力者、確認者、そして必要に応じて日本人スタッフという3人の「目」を通じて電子化されたデータの精度は高い。そしてこのデータがそのままコンカーへと自動的に取りこまれるようになる。同サービスを提供するクラビスの管藤達也社長は「領収書を撮影し、認識が行われたらそのタイプを選ぶだけで経費入力が自動化できる。ストレスフリーな領収書精算が可能になる」という。

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STREAMEDが提供する機能。送られる領収書は主にベトナムでデータ入力し、入力とは別の担当者が確認まで行う

 ここで取りあげた「For Me」は従業員にとってメリットが大きい機能だ。経費精算プロセスの自動化は、ムダを減らしたい企業、主に財務部門や経理部門にとってもプラスとなり得る。不正申告の防止、出張費の最適化などガバナンス強化やワークフローの可視化など経営に資する機能――「For My Business」については後編で紹介したい。

▼後編「経費精算のクラウド化、企業が得られるコスト削減以外のメリット

(宮田健)

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