「ストレスチェック制度」って何なの?

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「ストレスチェック制度」って何なの?

基幹系システム 2015/09/16

 前回前々回と日本企業におけるメンタル不全の現状や、メンタル問題がもたらす企業リスクについて紹介をさせていただいた。
 今回は今年12月1日から施行される、いわゆる「ストレスチェック制度」の概要について説明していこう。まずは下図を見ていただきたい。

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  まず、一年に一度、企業は従業員に対してストレスチェックを実施する。ストレスチェックとは、自分のストレスがどのような状態にあるかを知るためのテストである。厚労省は次の三つの要素についてチェックするように定めている。
 一つ目は心身の自覚症状(「ストレス反応」という)についてだ。疲れた・眠れない・いらいらする、などストレスによって引き起こされる心身症状が出ているかを確認する。
 二つ目はストレス反応の原因を問う質問だ。「たくさんの仕事をしなければならない」とか「自分のペースで仕事ができる」「やりがいのある仕事だ」など業務の量、質、やりがいなどストレス反応に影響を与える要因を測る。
 三つ目が「ソーシャルサポート」だ。上司や同僚、家族などが困ったときに頼りになるかどうかを聞く。

 結果は本人に通知が行く。ストレス反応が基準値より高く医師などの面接指導が必要な従業員(全従業員のおおよそ10%程度と想定されている)については、本人が希望する場合会社(人事部)を経由して医師面談を申し出る。医師は面談により働く上での配慮が必要であれば、その内容を意見として人事部にフィードバックする。人事部はそれを踏まえて労働時間の短縮やその他必要な措置をとらなければならない。ストレス反応が高い段階だけではまだ疾患ではないが、そのまま放置するとメンタル不調化する恐れがあるので、適切な配慮をすることによって未然に防止するのである。また、ストレス反応が基準値に達していなくても、各従業員は個人にフィードバックされた結果表を見てどのような項目に問題があるのか、改めて自分のストレスについて気づく機会ともなるだろう。  

 また個人結果のフィードバックとは別に、事業場の結果を統計的に集計分析して、その傾向をもとに職場改善につなげることも求められている。ストレスチェックの結果は、部門ごと、男女ごと、役職ごとなど色々な切り口で分析できるので、職場環境の特定の項目について悪い項目があった場合、それを手がかりに管理職研修やコミュニケーションを促すワークショップを行うなど解決策(ソリューション)を打っていくことができる。ストレス反応を軽減させる根本治療として有効と考えられるが、職場改善対応は法令では“努力義務”とされている。    

 「チェックの情報が不利益に使われるのでは?」という懸念も出てくるであろう。これに対して、ストレスチェックの実施は会社の人事部ではなく、守秘義務を持った実施者(産業医や外部の専門機関の医師等)やその補助者があたり、本人が面談を申し出るなどの場合を除き、個別結果のデータは会社側には共有されない、とすることで守秘性は担保されている。

  本制度により実現することとして以下にまとめると、
 
  ○従業員自身のストレスへの気づきを促す
  ○ストレスが高い場合、本人の希望により医師の面談を受け、会社は就業上の配慮を行う
  ○ストレスの原因を集計・分析することにより、職場環境改善につなげる
  ○これらを通して「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止(=1次予防)する

 となる。

 改正法の施行日は2015年12月1日だ。そこから1年以内(2016年11月末)までに、企業は初回のストレスチェックを実施しなくてはならない。検討がまだの会社は産業医や外部専門機関と早急に検討を開始し、トライアル実施なども含めた全体スケジュールを構築すべきだ。ぶっつけ本番で新制度を迎えると社内の混乱も考えられるし、外部専門業者に依頼を考える場合でも、特に今年・来年は、法改正1年目で顧客対応が殺到し対応できないケースなども考えられる。しかも、法令は必要最低限の枠組みを示しているにすぎない。本当に自分たちの課題がどこにあり、ストレスチェックを実現するのかをきちんと見通しを付けなければ単なる形式的な実施に終わってしまうので、入念な事前準備が不可欠だ。 

 次回は、実効性のあるメンタルヘルスケア対策を行うために、制度が持つ問題点とその解決策を考える。  

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キーマンズネットとは
(株)アドバンテッジリスクマネジメント 取締役 常務執行役員。東京大学法学部卒業、文部省(現文部科学省)入省。2001年にアドバンテッジリスクマネジメント入社。経営企画を中心に、メンタルヘルスケアや就業障がい者支援などの分野で現在の事業の柱を作る。

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