シリーズ「業務改革」〜第6回 最初から風呂敷を広げすぎない〜

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シリーズ「業務改革」〜第6回 最初から風呂敷を広げすぎない〜

データ分析 2015/08/03

■シリーズ「業務改革」コンセプト編 〜第1回 業務改革とは〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007575/

■シリーズ「業務改革」コンセプト編 〜第2回 誰が得する業務改革〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007637/

■シリーズ「業務改革」コンセプト編〜第3回 経営者と現場とのギャップ〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007783/

■シリーズ「業務改革」コンセプト編〜第4回 業務改革リーダーにふさわしいのは〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007904/

■シリーズ「業務改革」コンセプト編〜第5回 意外と出来ていない業務の統一化〜
http://www.keyman.or.jp/kc/30007938/

 前回「当社の業務はこうあるべきだ」という『あるべき業務プロセス』を描く必要性を書きましたが、これを作成する際、経営戦略に有効活用できるようなプロセスを入れたいというリクエストがよく出てきます。

 業務改革の大きな目的が「中期経営計画の実現」ということもあり、至極当然のリクエストともいえますが、そこにはデータ入力やデータ収集のプロセスが入り、そのデータを活用した分析結果などを利用して、次の業務プロセスに移るといった流れが必要となってきます。

 実はここに業務プロセス改革の足を引っ張る落とし穴があるのです。

データの活用範囲

 ひとくちに「データ分析」といっても、「商品別売上表」や「期間別予実対比表」のような数値データの分析、「製造ライン別完成時間推移」や「見込案件の成約確度を元にした成約分析」のような更新が必要なプロセスの分析などがあります。

 ここでは、成約確度の分析を例に、どのようなデータを何の目的の為に利用しているのかをみてみましょう。

1. 成約確度別の見込み金額の把握
→予算達成に結びつける
2. 成約確度別、顧客別の案件確認
→成約予定金額などで優先順位をつけ営業戦略を練り集中営業をかける
3. 成約確度の更新時期の確認
→業種業界別の季節変動や前年実績などを捉え集中営業(キャンペーンなど)の時期を事前に決定する
4. 最終的に、どの成約確度から受注に至ったのか、集中営業によって成約した案件は全体成約率のどのくらいだったのかを把握
→次期予算編成や今後の営業戦略に活用する

 1.と2.は現場で「今」どう動くかを分析し、3.と4.は「この先」どう動くかを分析するために活用されています。

 このような分析要件を業務改革時に取り入れる場合、運用を考慮せずに「こんな分析もできたらいいな」という希望的思考で風呂敷を広げすぎてしまうと、本当に必要とされる分析結果も得られなくなってしまいます。

 なぜかというと、今まで営業現場では成約確度分析を見込み客の要求度や感触、予算感などを手帳に書いたり、頭の中で分析したりして活用してきたとします。

 しかし、これでは属人的で今後の戦略には生かせず、『あるべき業務プロセス』からも逸脱してしまいます。そこでBI ツール(BI=ビジネス・インテリジェンス)等を利用し、データを集中管理した上で分析をしようということになります。

 求める分析要件を実現するために確度要素が「Aランク」〜「Zランク」まであったとすると(こんなに多い会社はありませんが)、確度要素を「A」にするか「B」にするかで考え込んでしまったり、局面が少し変わるだけで確度要素を頻繁に変更したりしなければいけなくなるため、入力が面倒になり更新頻度が落ちてしまいます。

 「確度を更新する」という業務プロセスのフローは『あるべき業務』になっているのですが、集まったデータは低精度で即時性に欠けたものになります。タブレット端末やスマートフォンを利用して入力できたとしても同様です。

 正確でタイムリーな分析データを収集するには、入力プロセスをスムーズにさせる必要があります。そのためには、確度要素を最初は少なく行動とリンクするような要素のみ(例えば「案件」で確度A〜Dの4段階ぐらい、「見積提出」「金額等交渉中」「内示」「受注」「失注」)にして、感覚的に入力しやすいように始めることが重要です。

 また、ダッシュボードと呼ばれる視覚的な経営指標表示も、コンセプトをよく吟味して風呂敷を広げすぎないように、必要な結果と活用方法、データの種類と収集プロセスをしっかりと検討することが最重要です。

 次号からは、「業務改革」“実務編”と題し、これまでお話してきた内容を前提に、実務に落とし込んだ、より具体的な業務改革プロセスに関する内容をご紹介していきます。

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