マイナンバーのリアル 〜第8回 本人確認〜

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マイナンバーのリアル 〜第8回 本人確認〜

メール 2015/08/06

 マイナンバーの提供と収集にかかる第2の話題が本人確認です。キーマンズネットにも数多くのマイナンバー関係の記事が掲載されていますので、まずは「マイナンバー 本人確認」というキーワードで検索してみました。

本人確認の方法として、通知カードと身分証明書(運転免許証等)等、あるいは個人番号カードを確認することになる予定だ。
本人確認=番号確認+身元確認
番号確認には、個人番号カード、または通知カード、または個人番号が記載された住民票の写し。身元確認には、個人番号カード、または公的機関が発行した書類(写真あり)1つ、または公的機関が発行した書類(写真なし)2つ。

 いずれも間違いではありません。番号確認と身元確認を合わせたものを本人確認と呼びますし、運転免許証やパスポートを身元確認に使うことができます。これらの説明は全て正しい。しかしですよ、運転免許証のどこを見れば良いのでしょうか? どの記載事項を何と突き合わせれば身元確認が完了したといえるのでしょうか?

 私のセミナーでこの質問をすると、「免許証番号を控えるのではないか」とか、「写真と本人が同一かを調べるのではないか」とか、さまざまな答えが返ってきます。確かに対面での確認であれば、目の前の本人と写真を見比べることができます。ところが番号法は、書類での確認も認めていますし、本人確認業務を外部に委託することも認めています。本人なしで何と何を照合するのでしょう? ということで今回のテーマは、マイナンバー収集における本人確認です。

番号確認+身元確認=本人確認

 政府広報資料「マイナンバー 社会保障・税番号制度 民間事業者の対応 平成27年5月版」を見てみましょう。24ページが本人確認に関する説明です。

 本人確認は、番号確認と身元確認から成り立っていることが明記されています。番号確認とは「正しい番号であることの確認」であり、身元確認とは「手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認」です。

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図1:マイナンバー取得時の本人確認

 番号確認のためには、通知カード、個人番号カード(裏面)、またはマイナンバーが記載された住民票を用いることができます。マイナンバーは住民票にひも付いていますから、マイナンバーが記載された住民票とマイナンバーが記載されていない住民票という2種類の住民票が交付されるようになるはずです。ですから「通知カードを受け取っていない」と言う従業員がいたら、マイナンバーが記載された住民票を受け取ってくるよう依頼することになります。

 番号確認の実務とは、「人を一意に特定することができる公開のIDに対して、マイナンバーをひも付ける作業である」と言い換えることができます。従業員であれば、従業員番号が「人を一意に特定する公開されたID」になります。しかし、社宅賃料の支払先である不動産オーナーの管理ではIDを用いていないかもしれません。その数が多い場合にはIDを新たに設定することをお勧めします。

課題は身元確認だ

 さて、問題は身元確認です。そもそも前掲図にしてからミスリーディングです。右下の枠内を読んでみてください。「雇用関係にあるなど、人違いでないことが明らかと個人番号利用事務実施者が認めるときには、身元(実存)確認書類は要しない」と書いてあります。

 これを読んで、「何だ、従業員の身元確認に書類は要らないんじゃないか。そりゃそうだよな。雇っているんだから人違いでないことは明らかだろう」と思った人は1人や2人ではないはずです。でも、残念ながらそうではないのです。ここに「個人番号利用事務実施者が認めるときには」と書いてあるのを見逃してはなりません。

 税に関する個人番号利用事務実施者の1つである国税庁は次のように述べています(「国税分野における番号法に基づく本人確認方法【事業者向け】」平成27年3月 国税庁)。「雇用契約成立時等に本人であることの確認を行っている雇用関係その他これに準ずる関係にある者であって、知覚すること等により、個人番号の提供を行う者が本人であることが明らかな場合」は、身元(実存)確認書類の提示が不要と。

 つまり身元確認書類が不要であるためには、「雇用契約成立時に本人であることの確認を行っていること」という条件を満たしていなければならないのです。さらに国税庁は、「本人であることの確認」のためには「番号法や税法で定めるもの、国税庁告示で定めるものと同程度の本人確認書類による確認を行う必要があります」と明記しています。

 人事の実務からいうと、正社員が入社するときには間違いなく年金手帳を確認しています。年金手帳は身元確認書類として認められていますが、写真が付いていませんから、もう1つ別の身元確認書類が必要です。

 例えば、住民票を入社時に取得している企業は少なくないでしょう。従って、今働いている全ての従業員から入社時に年金手帳と住民票の提示を受けて「身元確認を行っている」のであれば、マイナンバー収集に際して改めて身元確認を行う必要はありません。

 そうでない限りは、番号法が「厳格な本人確認」を求めていることを思い出していただき、収集に際してしっかりと身元確認を行うことをお勧めします。

身元確認は個人識別事項によって行う

 ここでやっと最初の質問にお答えできます。身元確認は、「通知カードに記載された個人識別事項と、身元確認書類に記載された個人識別事項を照合する」ことにより行うのです。

 個人識別事項とは、「氏名及び住所又は生年月日」と説明されています。氏名と住所の組み合わせ、または氏名と生年月日の組み合わせということです。つまり身元確認の実務とは、「通知カードに記載された氏名と生年月日と、免許証に記載された氏名と生年月日を照合する」ことです。これらが一致していれば「身元確認を完了した」と言い切ることができるのです。

 もちろん、氏名と住所の組み合わせを照合してもよいのですよ。しかし、通知カードに記載された住所は住民票住所です。比較する身元確認書類に記載された住所が住民票住所であるかは確実ではありません。それに比べて生年月日は「ブレ」がないという意味で、使いやすい個人識別事項なのです。

 そこで私流に前掲の図を説明すると次のようになります。

身元確認のためには、通知カードと同じ氏名と生年月日が記載されている公的書類を探しなさい。それが写真付きであれば1種類。写真なしであれば2種類必要です。

 国税庁は、次の書類を身元確認書類として使えるとしています。「本人の写真の表示のある身分証明書等(学生証又は法人若しくは官公署が発行した身分証明書若しくは資格証明書をいう。以下同じ)で、 個人識別事項の記載があるもの(提示時において有効なものに限る)」

 つまり、有効期間内であって個人識別事項が記載されていれば、学生証や社員証も身元確認書類になるのです。しかしながら、多くの学生証には生年月日が記載されているものの、多くの社員証には生年月日は記載されていません。生年月日の入った学生証は身元確認書類として使えますが、社員証は使えないケースがほとんどでしょう。

 今回の「マイナンバーのリアル」はここまでです。次回ももうちょっと本人確認が続くと思います。個人識別事項の説明が出てくるマイナンバー解説は初めてではないかと思うのですが、参考になりましたでしょうか。

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富士通、ソフトバンクを経て、2005年にラクラス株式会社を設立。「クラウドを活用した人事BPO」というビジネスモデルを磨き上げてきた。ITをツールとして使い倒すことで、人材という経営資源のattraction、retaintion、motivationを考える「ゆとり」を、人事部に与えていきたいと考えている。

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