マルチクラウド時代に求められるバックアップ一元管理

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マルチクラウド時代に求められるバックアップ一元管理

バックアップ 2015/07/15

日本の企業におけるクラウド利用はここ数年、予想よりも早い速度で浸透している感がある。キャリアやシステムインテグレータ、サービスプロバイダの提供するプライベートクラウド利用が浸透してきたと思った瞬間に大規模環境のAWS、Office365導入のニュースが相次ぎ、基幹系、情報系問わず社内のシステムを全てクラウドに移行することを検討する企業も規模にかかわらず増えてきている。パブリッククラウド上の仮想デスクトップサービス(DaaS)も始まり、企業のICT全てを外に出すことも可能な世界になった。

そんな中、企業もICTサービスの事業者も頭を抱えている問題がある。サーバとPCのバックアップである。

全ての環境を1つのバックアップソリューションで管理できない

ひとえにバックアップといっても、企業によってやり方はさまざまである。必要なデータのみをバックアップすることもあれば、システムバックアップによってOSより上を丸ごとバックアップすることもある。システムバックアップをサーバ構築時やOSのアップデート時にのみ取得し、その後はデータのみ別にバックアップを取得するという組み合わせも存在する。業種・業態や規模によっては、ディザスタリカバリ対策を含むデータ保護方針のもと、ストレージのレプリケーションを定期的に行っている企業も少なくない。

これらはあくまで、オンプレミス環境で一般化しているバックアップであるが、クラウドの場合はどうだろう。

OSより上を提供するIaaSであれば、OS上にエージェントをインストールし、オンプレミスと同様にシステムバックアップやデータバックアップの手法をとることもできる。この場合に困るのが複数システムのバックアップの一元管理である。同一のクラウド上に全てのバックアップ対象のサーバがいれば、同じクラウド上にバックアップの集中管理を担当する管理サーバやバックアップサーバといったサーバを立てることもできるが、バックアップデータをどこに保存するかという問題が残る。クラウド上のストレージは従量課金で料金体系も日々変化するものが多く、オンプレミスで使用しているストレージと比較した場合にコストを予測しづらいという難点がある。

そして、同一のクラウド上にバックアップデータがあったとして、それが本当に有効なバックアップ手段なのかという不安が残る。オンプレミスのみにバックアップデータを置いていても、有事の際にオンプレミス環境へのアクセスが絶たれた場合、どこにも復元ができず、データの保護や保管といった目的しか果たせない。クラウドサービス内でバックアップのオプションも大抵の場合用意されているが、オプションのバックアップサービスを利用することでそのクラウドサービスにロックインされている感があり、将来的にハイブリッド環境やマルチクラウド環境への移行の際にも足かせとなるかもしれない。

さらに悩ましいケースは、さまざまなクラウド環境を利用している場合や、そこにオンプレミスの環境を組み合わせている場合である。1つのバックアップソリューションでまかなうことができずに、環境ごとにバックアップを別の方法で取得する企業もあれば、バックアップ自体をあきらめてしまい、「クラウドは障害が起きないからバックアップしなくてもよい」という、システム障害やウイルス被害、ヒューマンエラーを考慮しない高リスクな方向に舵を切ってしまう場合すらあると聞く。

本格的なクラウド時代においてバックアップに求められる条件とは

ここまで説明してきたクラウド環境におけるバックアップの悩みどころを考慮しながら、バックアップに求められる条件を以下のように定義する。

クラウド、オンプレミスに依存しないバックアップ

バックアップは本来、有事の際の復旧を目的としている、そのバックアップデータが特定のクラウド環境にあり、そのデータセンター全体で障害が発生した場合、バックアップしたデータを復旧することはおろか、退避させることすらできない。オンプレミスのNAS等に全て保存したとして、やはり同じ問題は発生する。そういった点を考慮すると、バックアップしたデータはクラウドとオンプレミスの両方に必要であり、保存先のクラウドは特定のプラットフォームに依存しないものが望ましい。

全てのバックアップを一元管理できる

複数のクラウド環境、オンプレミスのバックアップデータが全て同一の画面上で管理できれば、有事の際にも迅速に復元できる。どこからでもアクセスできるクラウド上にその管理画面があり、Webブラウザによってかんたんに直感的に操作できると、管理者がいつどこにいてもバックアップや復元の操作を緊急で行える。

異なる環境間のシステム移行にも活用できる

オンプレミスからクラウドへのシステム移行など、システムバックアップ/復元の機能を利用して様々な環境間での移行を実現できる。システムバックアップであれば移行先での再現性も高く、安心して作業を行える。

バックアップと復元の速度が速い

バックアップの速度が速ければRPO(目標復旧地点)を短くできるため、より最新のシステム状態に復元でき、復元の速度が速ければRTO(目標復旧時間)を短くできるため、より早くシステムを復旧させることができる。

企業のマルチクラウド利用がすすんでいくにつれ、すべての環境のバックアップの一元管理を求める企業の声も大きくなっていくことが予想される。クラウドサービス間の競争が今よりも更に激しくなり、将来的にAWSとAzure、AzureとvCloud Air、オンプレミスと複数のクラウドといったように、様々なクラウド間を企業が頻繁に行き来するようになった時に、クラウドバックアップは非常に重要な役割を担うだろう。

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アクロニス・ジャパン プロダクトマネージャ。コンシューマーおよび企業向けバックアップ製品、モバイルファイル共有、クラウドバックアップソリューションを担当。来たるデータ保護の新時代に向け、市場の開拓に勤しむ。

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