ワークスタイル変革とシェアードスペース(6)

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ワークスタイル変革とシェアードスペース(6)

2015/04/24

 前回の記事で、コワーキングスペース世代論について「サービス側の視点での違い」について紹介させていただいたのに関連して、今回は「ユーザ側の視点での違い」「企業側の視点での違い」を中心に解説していく。

コワーキングスペース世代論 〜ユーザ側の視点での違いは?〜

 当初のコワーキングスペースのユーザはユビキタスワークスタイルの視点ではイノベーターに位置づけるのが適切である。ちょっとヒッピー(死語?)の臭いがして、ハードルはものすごく高い。とは言え、その立ち上がりを経て、第一世代スペースにもアーリーアダプターが集まった。コワーキングスペースの夜明けである。この時期のユーザは他のイノベーター・アーリーアダプターとの出会いが重要であった。
 
 第二世代の時期を迎えると、主流は徐々にアーリーアダプターからアーリーマジョリティに移行する。現在は漸くアーリーマジョリティの先駆けが足を踏み入れたという段階であろう。この時期のユーザは、スペースのコミュニティからの刺激は求めているが、あくまで主は自分の仕事である。学生を含む若者にも認知が広がり始めている。直感的に、今の会社中心主義が終焉を迎える事を理解しているのだろう。

 本格的にシェアスペースが機能し始めるのはアーリーマジョリティの段階を越えて、レイトマジョリティが動き始める時期だろう。筆者は5年から6年後と見ている。東京オリンピック直後がスウィートスポットだ。この時期には、企業のワークスタイルも変革を余儀なくされるだろう。多様性のあるコミュニティの一つまたは複数に所属している素質にも恵まれた従業員が圧倒的なパフォーマンス差異を示すようになると思われる。

 ユーザの視点から見ると、コワーキングスペースの世代が進めば参入障壁が下がり、会社だけじゃない新陳代謝のあるコミュニティへの参加可能性の拡大を意味する。それは個人の企業依存を下げられるという事でもある。

コワーキングスペース世代論 〜企業側の視点での違いは?〜

 企業の視点でコワーキングスペース・シェアードスペースを見ると、最初に気になるのはセキュリティである。セキュリティといっても様々な視点があるが、シェアードスペースの問題として、すぐ思いつくのは盗難、覗き見、ネットワークの安全性だろう。加えて、物理的な建物の安全性も気になる場合もあるかも知れない。また、情報漏洩に内部犯が少なく無い事も考慮に入れれば、従業員本人の出来心も重大な脅威である。

 自社オフィスがどの程度安全かは企業によるが、内部犯まで考慮に入れれば、実はそれほど安全な訳ではない。同僚の目があるので出来心が起き難いという側面はあるだろうが、セキュリティ事故は起きる時には起きる。

 コミュニティが機能しているシェアードスペースには、同僚のかわりにスペースメンバーの目がある。まだ、第三世代コワーキングスペースでは、セキュリティカメラを設置したり、執務スペースのレイアウトや仕切り板の工夫を行っている。コミュニティとして機能していなくても、執務スペースの空間設計でそのセキュリティを保つ事は可能である。現在常用しているスペースの実質セキュリティレベルは前職のオフィススペースに勝るとも劣らないと考えている。

 以前ユビキタスワークスタイル成熟度モデルについて解説したが、必要となるセキュリティは業務および関連するタスク、必要となる文書や電子的情報に依存するので、仮に自社オフィスであってもその内容によって必要な施策は異なるのである。そして、従業員の担当職務によるが、多くの場合高いセキュリティ要求が本当に必要なタスクは限られている。冷静に詰めてみれば、セキュリティ問題でシェアードスペースに固有な対処項目は多く無い。

 ただし、従業員の業務上の関係者以外との接点は増える。良い面もあるが悪い面もある。それでも、もし機密を狙って近づいて来る悪者がいたとしたら、シェアードスペースを利用していようといまいと陥落する時は陥落するだろう。それぞれ、シーンを想定して検討してみて頂きたい。

 突き詰めれば企業側の意思のみが問われる。安全な利用のためには一定の成熟度に達している必要はあるだろう。プロセス面、システム面での検討、対応は避けられないが、多くはネット時代の変化と共に執務場所の問題に関わらず手をつけなければいけない事である。

【次回予定】続・シェアードスペースの今後

 コワーキングスペース・シェアードスペースの次世代、次々世代を招くためには今は無いプラットホームが必要になる。これは当社ユビキタスライフスタイル研究所のメインターゲットの最初の一つである。

 クラウド時代に直接サービスをユーザに提供する企業は囲い込みをする事はできない。主戦場はプラットホームである。言い換えると、どんなに優れたスペースであっても、どんなに資本力のあるオフィスサービスプロバイダーであっても一社で世界中の需要を満たす事はできない。競争力を維持しながら、共存を意識しない訳にはいかない。

 次回は、筆者のアイディアの一部を紹介させていただく所存である。

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キーマンズネットとは
2013年3月に29年勤めた株式会社シーエーシー取締役を退任し、合同会社ユビキタスライフスタイル研究所を設立。新しい働き方を容易にするためのサービス開発中。2009年から2010年末までNY勤務経験あり。JISAワークスタイル変革とITプロジェクト座長(2012年度〜)。

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