人手不足の転職市場でエンジニアはどう動くべきか?2015 春 概況編

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人手不足の転職市場でエンジニアはどう動くべきか?2015 春 概況編

2015/03/18

 エンジニア、あるいはIT部門担当者として活躍している皆様ならご存じの通り、今のIT業界では空前の人手不足が起きています。そのため、大幅な待遇アップを勝ち取ったり、目指す仕事にキャリアアップできたりするチャンスが皆様の想像以上にたくさん転がっているのです。この状況を是非知っていただきたくて寄稿しました。
 今、エンジニアはどう動くべきか?転職志望者のパートナーとして様々な角度からサポートを行う「キャリアアドバイザー」の立場から、アドバイスをさせていただきます。

転職志望のエンジニアにとって、現在は空前の売り手市場

 私がキャリアアドバイザーの仕事を始めてから7〜8年が経ちますが、現在のような「売り手市場」は初めてです。

 背景のひとつは、「アベノミクス」をきっかけとした景気回復でしょう。各社の業績が上向きになったことで、ITシステムへの投資にお金が回るようになりました。またリーマン・ショック以降の日本企業は採用を絞り込んでいたため、IT関連企業・部門では人材が不足がちでした。その反動もあって、現在、エンジニアへのニーズが爆発的に増えているのです。

 幅広い分野で求人件数が増えているのも、ここ1年ほどの特徴です。会計・人事システムを始めとした基幹システムは、企業にとって欠かせない機能であるため当然この分野にお金をかける企業は多いものです。しかし今は、上記のような「基幹システム以外の分野」への投資も着実に増加しています。例えば監査法人は、「システム監査」「システムリスクコンサルタント」といった職種で積極募集を展開中です。2014年には大規模な情報漏洩事件が起きましたが、その影響もあってガバナンス・セキュリティ・リスク等のキーワードに関連する人材募集は爆発的に増えています。

 また大企業を中心に、情報システム部門の人員を増やす傾向も現れています。お客様に対してITサービスを提供する企業が、自社のSEやコンサルタントを採用するのは、彼らが自社に利益をもたらす「プロフィット・センター」として機能するのでごく自然なことです。
 一方で社内の情報システム部門は、直接的な利益貢献が見えにくいと言われており、また最近は徐々に変わってきましたが、「コスト・センター」と考える風潮が少なからずあり、その観点から採用を手控える企業様が多かったように感じています。しかし昨今、情報システム部門の採用も大手・中堅を問わず急増しており、やはり現在は空前の売り手市場であると感じています。

インターネット専門職とSEの求人倍率

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インターネット専門職とSEの求人倍率
本データは2013年のものであるが、筆者の感覚値から現在も高水準で推移していると推測できる。
株式会社リクルートキャリア調べ  有効求人人数÷有効登録者数(2013年7月現在)

経験の浅い人でも、ベテランでも転職に成功

 こうした活況は、もうしばらくは続くかもしれません。昨年の4月〜6月、7月〜9月、GDP実質成長率がマイナスとなりました。実はこれにより、リーマン・ショック以来、景気動向に敏感になっている大手企業を中心に、採用を控えるのではないかという予測も出ていたのです。ところが、実際にはそうなっていません。私が耳にしている範囲では、多くの企業が15年4月以降も積極採用を続けていきそうです。

 多くの企業が採用の門戸を広げているため、人材争奪戦は激しくなる一方です。そのため、採用のハードルを例年と同じ高さに設定すると、企業が必要とする人数を採用できない状況となっています。例えば、以前なら「5年以上の実務経験をもつ人」を求めていた企業が、「2〜3年しか実務経験のない人」を採用するケースは珍しくありません。あるいは、従来は35歳以下の採用実績がほとんどだった企業が、実務経験20年以上のベテランを採用するケースもあります。「こういう条件の人が、こんな待遇・職種で採用されるのか!」と驚くことが、目に見えて増えています。

 特に目立つのが、これからニーズが高まりそうな「新職種」で、経験の浅い人を採用する動きです。先ほど取り上げた、監査法人の「システム監査」「システムリスクコンサルタント」といった仕事は、そもそも経験者がごく少数しかいません。だから、ある程度のシステム開発経験とポテンシャルさえあれば、転職の可能性が十分にあるのです。

 ただし、エンジニアにとって未来は100%バラ色というわけではありません。例えば、大手企業の中には社内の情報システム部門を売却したところもあります。終身雇用制度が崩壊を迎えた今、状況は常に変化しており、知見を磨かなければ生き残れないということは、全てのIT系職種に関して言えることだと思います。

転職が年収アップや専門性向上などに結びついた人が続出!

 空前の「売り手市場」が続く中、有利な条件で転職を果たした人が続々と登場しています。私がこの半年ほどで手がけた転職案件の中から、典型的な事例をピックアップしてみました。

【転職で年収アップに成功】

28歳 ERPパッケージソフトメーカーから、大手日系コンサルティングファームに転職。
転職によって、年収が550万円から800万円に大幅アップ。

【転職で大企業に移った】

45歳 某電力系IT子会社のPM職から、大手電機メーカーの事業企画職に。
40代後半からのチャレンジで、1,000名弱規模の企業から100,000人規模の企業への転職に成功。

【転職で専門性を磨けた】

33歳 某通信系SIerで2年ほどビッグデータ関連のPLを担当していたが、グループ売上1兆円企業にてビッグデータ専門エンジニアに転職。
ビッグデータ分野の専門職に就き、「強みのないエンジニア」から脱却した。年収も100万円以上のアップを実現。

【転職でやりたい仕事に 〜1〜】

27歳 大手銀行企画職から、某大手企業リサーチャー・マーケッターに転職。
大学時代のゼミ活動でのマーケティング勉強を活かし、キャリアチェンジを実現。

【転職でやりたい仕事に 〜2〜】

27歳女性 某SIerのシステムエンジニアから、某大手企業の社内SEに。
面接で女性の長期就業の可能性を訴え、その条件にて内定を取得。

【転職でやりたい仕事に 〜3〜】

33歳 開発会社のアプリケーションエンジニアから、大手会計系ファームのコンサルタントに。
30歳以上でコンサルタント未経験というハンデを乗り越え、かつキャリアアップ・年収アップを実現。

 これまでの経験上、IT業界で“転職して年収がアップ”する人は、10人中3人くらいと言われています。10人中5人が現状維持でしょうか。年収が非常に高い方はダウンするケースもありますが、例年よりダウン幅が低いように感じます。やはり、今は景気がいいのでしょうね。また、「大企業で働きたい」「専門性を磨きたい」「やりたい仕事に就きたい」という希望を叶えた方も、たくさんいらっしゃいます。エンジニアにとって、今はまさに、転職の大チャンスなのです。

 もちろん、必ずしも転職する必要はありません。「転職活動」と「転職」は、イコールではないのです。いろいろな企業・職種を検討し、結果的に、今の職場にとどまることが正解だというケースだってあるでしょう。ただ、転職市場の情報に触れておくことは、必ずプラスになると思います。エンジニアの世界でも、終身雇用制は崩壊しつつあります。今後は、自分自身で自らのキャリアを考え、つくり上げていく必要があるでしょう。そのためには、転職市場の実態を知り、自らにどんな選択肢・可能性があるのか知っておくことが重要なのです。

“いい時”を逃すのは、もったいない

 今の職場に不満がなくて「まだ自分はいいかな」と思っている方も、この“いい時”を逃して、先送りする理由はないかと思っています。ピークと言われるこのいい時の市場を一度ご覧になってはいかがでしょうか?

 求人情報は企業の機密戦略に紐づくのものがほとんどですので、ほぼ非公開になっています。もし興味がおありでしたら、「リクルートエージェント」より一度ご登録されてみてはいかがでしょうか?こんな求人があるのか、とびっくりしますよ(笑)。 

 ●リクルートエージェントのHPはこちらから

 次回は裏ワザ編。大幅な待遇UPを勝ち取るエンジニアは皆実行している!?“自分の客観的価値を知る方法”や“転職エージェントを使い倒す”裏ワザをご紹介します。
人手不足の転職市場でエンジニアはどう動くべきか?裏ワザ編」をご覧下さい!

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キーマンズネットとは
新卒にて外資系ITベンダと日系シンクタンクの合弁会社に入社、営業職として勤務。その後、日本オラクルの営業職を経て大手人材サービス企業に転職。主にハイキャリア層の転職支援業務に従事した。2013年リクルートキャリアに入社。キャリアアドバイザーとして転職を検討しているエンジニアを始めとしたIT系キャリアの方の支援を担当。

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