ワークスタイル変革とシェアードスペース(2)

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ワークスタイル変革とシェアードスペース(2)

スマートデバイス 2015/02/18

 シェアードスペースといっても利用経験の無い人にとってはイメージが湧かない。私自身、2年程前までは言葉は知っていたものの自分の人生には関わりの無いものだと思っていた。今では、シェアードスペースなくしてビジネス成り立たずといった思いに至っているから、人間変わるものである。今回は、筆者のシェアードスペースとの出会いから始めたい。

突然届いたメンバーカード

 最初に訪問したシェアードスペースは横浜のRegusだった。10年程前のことで詳しくは覚えていないが、インドの会社が日本に進出するにあたって、そのオフィスをRegus内で立ち上げた所に打ち合わせで行った。Regusという会社もシステムも知らなかったので、ビルのディレクトリーで目的の社名が見つからず、とにかくそのフロアに上がってみるとRegusの受付がある。そこで始めて訪問先がRegusの中にあるという事に気がついたのである。3人分の小さな部屋だったように思う。こんなオフィス形態があるのか、と驚いたのであった。

 次の接点もRegusであった。ある航空会社経由のプロモーションでRegusのbusinessworldのgoldカードが送られてきたのである。今の価格で月49ドルのプログラムが一定期間無料で使えるという事で、ニューヨーク出張の際にビジネスラウンジを使ってみた。マンハッタン中心部のRadio Cityそばの超高層ビルの低層階にあるラウンジで自分のPCをWifiに接続し、メールのチェックや資料の確認等で実用性を確認した。ただし、その時には常用者になるとは全く思っていなかった。

 これらが、私の最初のシェアードスペースとの出会いである。

独立準備段階で検討対象として本格浮上した

 前職で企業のワークスタイル変革に取り組み始めた頃は、シェアオフィスは高いというイメージがあって、どちらかと言えばインターネットカフェや漫画喫茶が一時的な作業場所として使えるのではないか、移動の多いビジネスパーソンにとって有効な解なのではないかと考えていた。まだその時点ではコワーキングスペースは目に入ってはいなかったのである。

 私が独立を決意したのは2012年の12月。このタイミングで視点が大きく変わった。2004年に前職で取締役になった時から、契約は1年だし、いつ次を目指すべき時が来るか予断を許さないと考えていた。やるなら、何らかのシェアードビジネスとIT/インターネットに関わる仕事と思っていろいろと考えていたが、ただ考えているだけの時期と具体的に動くのは全く違う。暖めていたアイディアから概ねの方向性はほぼ即日に決まったが、どうやってそれを進めて行くかは慎重に考えなければいけない。会社の形態であるとか、ワークスタイルをどうするか、雇用をどう考えるかといった決断をしていかなければならない。

 スタート時は一人で始める事にして、自宅と職場は分けたかったので、まずはオフィスを探しにかかった。たまたま友人に借りた起業関係の書籍にバーチャルオフィスを利用していた事例が出ていたので、とにかく行ってみようと思った最初の一件目は秋葉原のレンタルオフィス(株)イーシエンスであった。http://www.esience.biz/akiba.html

 3万円台から登記可能なオフィス(小部屋)が借りられる。マンションの一室を借りるよりはずっと安くつくと驚いたのを覚えている。そういうシステムが一人創業でも手に入るという事に気がついたので、早速いろいろ調べてみる事にした。そういう目的で検索すると、すぐ、コワーキングスペースという存在が目に入る。自宅が千代田線沿線なのでちょっと遊び心が出て表参道とか青山辺りはどうだろうと探してみるといくつも候補が出て来る。既に、無くなってしまった所もあるので名前は上げないが、いろいろな種類のスペースがあるのが分かって来る。下北沢オープンソース・カフェ http://www.osscafe.net/ja/のようにITエンジニアを引きつけるようなコンセプトを持っている所もあれば、パーティルームを日中に解放しているようなケースもある。

 当初は、登記可能なオフィススペースから探し始めたのだったが、いくつも訪問しているうちに、オフィスの検討はワークスタイルの検討である事にも気がついた。人によるだろうが、私には閉鎖された一人のオフィスで仕事をする気持ちにはなれなかったので、登記可能で執務可能なオープンスペース型の場所を選ぶ事にしたのである。もちろん、場所も価格も重要なポイントである。結果として選んだのは、パズル芝浦であった。http://www.scs-puzzle.com/

 毎月のコストは5000円程度で登記と郵便物転送が受けられる。応対して下さった方も明るく印象が良かったし、執務用のオープンスペースの印象も良かった。スペースの利用には時間辺りの従量制の料金がかかるプランだが、利用し放題のプランにも変えられるのでその時期の要件は十分満たしていたのである。

 前職の株主総会が2013年の3月28日。総会終了後、法務局に行って登記手続きを行って私のシェアスペース人生が始まった。

登記事務所と働く場所のアンバンドル

 登記を終えて、次に考えたのは、実際にどこでどのような働き方で仕事を進めるかだ。一人会社の企画段階であれば、紙に関わる部分を除けば場所の制約は受けない。自宅でも良いし、喫茶店でも良い、もちろんコワーキングスペースでも、シェアオフィスでも良い。登記のためにパズル芝浦を選んだし、パズル芝浦は作業環境としても特段の問題は無い。しかし、自宅からの交通費が東京メトロと都営線の乗り継ぎで片道269円(現在のSuica価格)必要である。毎日の事だから、できれば地下鉄基本料金範囲の165円が望ましいと考えた。自分で費用負担すると考えれば1日208円の節約だって馬鹿にならない。移動時間も馬鹿にならない。もちろん、効率的な作業が可能である事は最低限譲れない条件である。執務に適した環境であるか否かは、交通費の多寡や移動時間、利用料金とトレードオフの関係となる。

この時期に訪問したのは、以下の場所である。
Creative Lounge MOV(渋谷 )http://www.shibuyamov.com/
Jelly Jelly Cafe(渋谷)http://jellyjellycafe.com/
Hatch Cowork+KIDs(赤坂)http://hatchcowork.com/
COWKS赤坂 http://co-wks.com/
PAX Coworking(経堂)http://pax.coworking.jp/
Azito(竹橋) http://www.vanfu.jp/azito/
Connecting the Dots(渋谷) http://dots.bz/
パズル南青山(表参道 撤退)
平河町ライブラリー(永田町)http://www.academyhills.com/library/hirakawa/
Nomad New’s base(乃木坂) http://newsbase.in/
Chanto Shigoto Suru Space(秋葉原) http://css-space.jp/

 いくつかについてはドロップイン利用等の会員登録をし、今も利用している所もあるが、既に閉鎖してしまった所もある。あくまで自分の好みである事を断っておくが、集中して執務に専念するのに最も適していると感じたのは、森ビルの平河町ライブラリーであった。静粛性が高くマネジメントも丁寧でビルも施設も奇麗、椅子が良質で長時間の執務でも疲労を押さえられる、利用者の身なりも態度も立派で安心感も高いという印象で、自宅からのドアtoドアで35分、交通費も165円(現在)と申し分無かったので5月から契約した。価格は月額約3万で、他のスペースと比較すれば高額であるが、今振り返っても満足いく選択である。結局、契約更新を行い、2014年度も継続利用、今もベーススペースとしている。登記オフィスであるパズル芝浦も継続的に利用している。

 その他にも、この時期に訪問したスペースの中には、強く心引かれるスペースが複数含まれるが、今は個別には触れない事にする。ただ、どうしても触れておかなければならない出会いがあったのがPAX Coworkingである。日本では神戸のカフーツに続く、2番目のコワーキングスペースで東京初。かなりカジュアルというか、アウトサイダーっぽい(失礼)雰囲気のある興味深いスペースであると共に、十分に執務可能な環境となっている。オーナーの佐谷さんは「つながりの仕事術~「コワーキング」を始めよう」http://www.amazon.co.jp/gp/product/4862489168/という書籍を書かれており、サンフランシスコのCitizen Spaceの話などを彼から学んだ。執務場所としてのコワーキングスペース、シェアードスペースではなく、コミュニティとしてのコワーキングスペースという思想に出会ったのはこの瞬間であった。
 まさに自分のワークスタイルを根底的に見直す必要があると思った瞬間である。

今後の執筆予定

 次回は、deskmag社のすぐれた記事から、世界のコワーキングスペースの歴史を学ぶ。

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キーマンズネットとは
2013年3月に29年勤めた株式会社シーエーシー取締役を退任し、合同会社ユビキタスライフスタイル研究所を設立。新しい働き方を容易にするためのサービス開発中。2009年から2010年末までNY勤務経験あり。JISAワークスタイル変革とITプロジェクト座長(2012年度〜)。

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