シリーズ「業務改革」〜第3回 経営者と現場とのギャップ〜

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シリーズ「業務改革」〜第3回 経営者と現場とのギャップ〜

2015/01/30

業務改革における“経営者”と“現場”とのギャップ

※第1回 業務改革とは
http://www.keyman.or.jp/kc/30007575/ 
※第2回 誰が得する業務改革
http://www.keyman.or.jp/kc/30007637/

前回、業務改革を実行する際に漠然とした目標を伝えるのではなく、以下のように伝えることにより、実行した後で「やってよかった」=「自分にとってよいこと」が返ってくることを実感させ、次の改革へモチベーションを維持することもできるというお話をしました。

◆改革に至る理由を告げる
◆最終的な効果の受託者(お客様への貢献など)を説明する
◆実際に改革する上でのヒントを与えた上で、ネガティブな表現ではなくポジティブな表現で目標を伝える

今回は、この目標に対して経営者と現場で向かう方向にギャップがあると、改革の実施にあたり支障が生じるというお話を致します。

改革の目標をどう捉えるか

業務プロセスの改善や業務改革を実行する上での目標は、最終到達点であり、何よりも結果を分析するための重要な道標です。

しかし、経営者サイドや改革を指示する人が、現場の観察やヒアリングを怠って「なぜ、何
の(誰の)ために、何を、どうしよう」を指示すると、曖昧な指示になったり、指示された現場から具体的な指示が欲しいという不満が出たり、現場との歪みが生じて、結局改革は中途半端なものに終わるか失敗します。

ここで、ある製造業の会社の、経営者と現場とが方向をひとつにして改革を行った例をお話ししましょう。

この会社の社長さんは赴任してきたばかりで、まず会社全体の業務を知るために製造現場に抜き打ちで視察を繰り返していました。抜き打ちで行ったのは、現場に構えさせず本当の業務を知るためでした。
視察の結果、あるラインの金型の交換に一回1 時間かかっていた工程があり、社長さんはその据付作業を標準化することにより作業を5分程度に出来ると考えました。

しかし、そのときの改善の指示は…

「金型交換時に要する時間のおかげで、次工程での待ち時間が非常に長くなっている。待ち時間はその間の光熱費や人件費の無駄につながり、その分、みんなの給料となるお金が無駄に使われることになる。
そこで交換作業を5分で終え、工程間の延滞を解消して欲しい」

というものでした。

このとき据付作業を標準化すれば交換作業を5分にすることが可能であることは告げませんでした。
目標の伝え方で従業員の意識を上げ、現場の自主性を重視したのです。
そして1年後、見事に5分で交換することが出来るようになったそうです。
そして同じようなことが、他の作業でも行われていないか、従業員自らが探すようになったそうです。

もし社長さんが現場の視察をせず、金型据付作業の問題に気づけなかったら、その製造ラインのボトルネックは発見できなかったでしょう。
そして、日々改善に努力していると自負している現場の従業員達に「もっと、もっと」というだけの指示になってしまったかもしれません。
さらに、目標達成時のイメージが持てないまま、だらだらと長期間にわたって、やる気も起こらず、それなりの結果を持って改善は終了することになったでしょう。

そこには当然「やってよかった」感は全く生まれず、次に改革の機会が訪れても同じような結果になるでしょう。

方向性の一致

経営者は現場に降りていき、新たな気づきを改革のヒントとして与え、実施者は与えられたヒントを元に目標を達成したときのイメージを持ち、自主性を持って改革に取り組む。

これこそが改革実行に際してギャップを生まない
「やってよかった」=「自分にとってよいこと」
が返ってくる改革といえます。
経営者も従業員側もこれらをどちらか、または双方とも怠るとギャップが生まれてしまい改善効率が悪化し成果も上がらなくなります。

次回は、第4回「業務改革のリーダーにふさわしいのは」についてお話しいたします。

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