無線LANにおける“電波干渉の影響”とは?

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無線LANにおける“電波干渉の影響”とは?

ネットワーク機器 2014/12/17

 企業において、ここ数年、スマートフォン、タブレット端末の利用が拡大しております。これらのモバイル端末は、無線LANを経由して基幹系システム、情報系システム、インターネットなどにアクセスしております。また、無線LANの企業内での普及率は5割を超えております(注1)。
 無線LANの普及に伴い、電波干渉等により通信速度の低下、通信不安定が課題となっております。今回は、その電波干渉の状況と対策について紹介します。

(注1)キーマンズネット 無線LAN導入調査(2013/2/12)

1. 無線LANのチャンネル干渉による電波干渉状況

 無線LANは、現在2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数が使われております。特に2.4GHz帯は100MHzの帯域幅しかなく、チャンネルは14ありますが、チャンネル14は日本独自のため、一般的に同時に使えるチャンネルは、3チャンネルしかありません。(図1参照)

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図1. 2.4GHz チャンネル配置

 そのため、チャンネルが重ならないように使用すると、電波干渉は発生しません。しかし、現状では、公衆無線LAN、会社、個人で多数のチャンネルを使用しているため、電波干渉がかなり発生しております。言い換えると、2000ccの自動車を、わざと坂道で使用して、実質1500ccの車の性能ななっております。それでは、それぞれの無線LANの現状について紹介します。
■(1) 公衆無線LANの電波干渉状況

 公衆無線LANは、主に携帯通信会社とその関連会社により設置されております。NTTグループ(NTTドコモ、NTT東西)、KDDIグループ(au,wi2)、ソフトバンクグループ(ソフトバンクモバイル、SWS)の3グループになります。ほぼ主要なスポットでは通信可能です。基本的に有料サービス(携帯会社とスマートホンなどの契約している場合は、無料で使えます)になります。電波干渉の状況は、特に、2.4GHz帯は特にひどい状態です。銀座駅周辺の状況を示します。(図2参照)
 電波干渉の原因は、使用できるチャンネルが3チャンネルに対して、多くの通信会社が、それぞれ独自に無線アクセスポイントを設置しているため、電波干渉が発生しております。

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図2.公衆無線LANの状況(銀座駅周辺)

■(2) 企業及び個人での無線LANの電波干渉状況

 次に、企業及び個人の無線LANの電波干渉の状況です。まず、企業は、それぞれの会社がきちんと設計し、導入しておりますが、公衆無線LANの影響を受けて、電波干渉が発生してしまいます。最近では、窓に、無線LANの2.4GHzの帯域のみを遮蔽するシートを貼って自己防衛している会社もありますが、高価なのと、携帯の2.1GHz、2.5GHzも同様に減衰してしまいます。
 個人の無線LANは、特にマンションなどの集合住宅は、非常に電波干渉がひどい状況です。私の自宅では、無線APが7個確認でき、ほとんどの部屋で電波干渉が発生しております。(図3参照)

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図3.集合住宅の状況

2. 外部機器における電波干渉状況

 1項では、無線LAN同士のチャンネル干渉について紹介しましたが、ここでは外部機器による電波干渉の状況を説明します。

■(1) 電子レンジによる電波干渉状況(2.4GHz帯)

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図4.電子レンジによる電波干渉

 2.4GHz帯はISM(Industry, Science, Medical)バンドと呼ばれて、いろいろな産業で使われております。特に家庭で影響を受けるのが、電子レンジになります。2.4GHzのCH7−CH14が影響を受けます。かなり強い干渉波が発生します。電子レンジから15m以上離れて無線LANを使うか、CH1, CH6のみを使うように設定するかのどちらかになります。(図4参照)
 他にも古いコードレス電話、医療機器などが使用しておりますので、無線LANを導入する前に電波調査を実施し把握する必要があります。
■(2) 気象レーダによる電波干渉状況(5GHz帯)

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図5.気象レーダによる電波干渉

 2007年の電波法改正により5GHzの周波数が拡大されましたが、5GHz帯は気象レーダが使う帯域があるため、無線LAN側で屋内のみの使用制限、DFS機能(注2)の備え付けの条件があります。気象レーダの電波(図5参照)は250kwとかなりの高出力となっているため、距離が50km離れても無線LANに干渉します。無線LANの機器はDFS機能により、気象レーダを避けて通信しますが、構築前に電波調査を行って、現状を把握し、無線LANのチャンネルを決める必要があります。

(注2)DFS機能とは、Dynamic Frequency selectionの略で、無線LANのアクセスポイントは通信する前に、その周波数で気象レーダの電波が受信できるかの有無を確認し、気象レーダが受信できた場合は、周波数を変更する機能を備え付けることが義務付けられております。

3. 電波干渉を改善するには

 電波干渉を改善するには、(1)周波数を変更する。又は、(2)チャンネルの帯域幅が40MHz以上になっている場合は、干渉を受けにくい20MHzに変更するの二つしかありません。帯域幅を広くすることは、他のユーザに対して、干渉を及ぼしますので、共通の資源である電波の節度ある使用をお願いします。

■(1) 周波数変更する場合

・2.4GHz帯の場合は、CH1, CH6, CH11のうち、一番干渉のないチャンネルに変更する。但し、自動設定にすると、干渉の少ないチャンネルに切り替わりますが、CH1,6,11以外のチャンネルになる場合もあるので、企業内で使う場合は、手動で設定してください。2.4GHz帯の全てのチャンネルで干渉がある場合は、帯域の広い5GHz帯に変更してください。
・5GHz帯で屋内で使用する場合は、W52(CH36,40,44,48)を選択すると気象レーダの影響もありません。

■(2) 帯域幅を狭くする場合

 特に2.4GHz帯で40MHzの帯域幅を選択している場合は、干渉の影響を受けにくい、20MHzに設定する。但し論理的な伝送速度が低下しますが、干渉を受けるよりも、実効伝送速度は、早くなります。また、他のユーザに対して、やさしい設定になりますので、協力をお願いします。

4. 電波干渉を改善した場合、約3割の伝送速度が向上

 チャンネル変更により、干渉を受ける場合と、干渉を受けない場合では、約3割の伝送速度が改善されます。当初、干渉受けた場合は、15Mbpsの伝送速度でしたが、干渉を改善すると20Mbpsまで向上しました。干渉レベルにより改善効果は変わりますが大幅に改善されます。集合住宅環境での改善例を参照ください。(図6、図7参照)

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図6.チャンネル変更による改善例(受信レベル、干渉レベル)

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図7.チャンネル変更による改善例(伝送速度)

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キーマンズネットとは
大手通信会社で、マイクロ通信、衛星通信の運用管理を8年間行い、その後、法人営業で主に製造、金融系のLAN/WAN、音声ソリューションの営業、構築を20年以上行いました。現在、無線LANの電波診断、セキュリティ診断を行う会社を起業し、中堅中小のお客様に無線の可視化により快適な無線環境の提供を目指している。

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