2014/11/27
今回のテーマ「誰が得する業務改革」ですが、「そもそも損得の問題ではない」といきなりお叱りを受けて話が終わってしまいそうですが、今回は、業務改革実施後に、各担当者(経営者も含む)が「自分にとってよかった」と思えるような改革をスタートさせる前提についてお話しさせていただきます。
経営者または改革を主導しようとする人は、何かのきっかけ(法改正や事業再編、M&A、事故、クレーム、外部からの指摘など)によって「今のままではいけない」と業務改革などを実施しようと決断します。そして、それを指示された従業員は
などと考える人が結構います。これは「今やっている仕事を否定された」と感じるからです。そもそも全ての従業員に「常に変化に対応できる柔軟な姿勢で仕事に臨め」などと説いても、抽象的すぎて正確に理解し行動できるはずもありません。ところが、改革の方向性を示すときに、「今の仕事に満足しない考え方」を持つような指示をしてあげると
といった気持ちに切り替えることが出来ます。
そして、なにより改革の結果「やってよかった」と実感できることができ、次なる改革に取り組む上でも重要なことになります。「やってよかった」感がない改革は、向上心も持続せず何度実施しても失敗します。
では「やってよかった」と実感させるためには何が必要なのでしょうか?
それは「改革の目標とその伝え方」です。
よく「一製品の完成時間を10%削減せよ」といった効率化の目標が与えられることがあります。現場では、
「なぜ10%なの?」
「10%削減したら何がよくなるの?」
「残業減って給料減ってしまう」
といった「今やっている仕事を否定」された時と同じような抵抗感が生まれ、結果的に生産時間を今までよりも10%短縮したとしても、他の業務にムリ・ムダが発生してしまい根本的な改革には至らないことがあります。
そこで、目標の伝え方を少し変え、
「現在、おかげさまで当社の人気商品の売れ行きが好調で品薄感が市場に蔓延している。そこで、各ライン内の仕掛数が工程によって滞っているところがないか。自分の工程だけでなく他の工程で気づくことがないか。次の工程に渡したときに仕掛品が多く積み残されているところがないか。など、ライン単位で見直し、生産効率を110%にアップして欲しい」
といった伝え方にすると、
「うちの商品は売れているから、頑張ればもっと売れる」
といった考え方になります。
この伝え方だと顧客や自分のために改革に取り組むということが明確になり、更に改革の結果、顧客が品薄感を感じずに、当社の素晴らしい商品をどんどん買ってくれている事がわかれば「やってよかった」を実感することができます。そして、次の改革への意欲にもなります。最も重要なことは、抵抗感を持たせず、結果をイメージさせ、モチベーションを維持することです。
「そもそも損得の問題ではない」というのは事実ですが、「やってよかった」=「自分にとってよいこと」が返ってくるように導けば、会社も従業員もある意味で得をするということになります。
次回の第3回目では「業務改革における経営者と現場のギャップ」を取り上げます。
※第1回 業務改革とは
http://www.keyman.or.jp/kc/30007575/
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