ユビキタスワークスタイル変革実践ガイドライン(8)

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ユビキタスワークスタイル変革実践ガイドライン(8)

スマートデバイス 2014/10/09

 今回は、前回に引き続きワークスタイル変革プロジェクトの実行計画の構成について解説する。

プロジェクト計画の構成例(3)

 なお今回で、プロジェクト計画の構成例の解説を終える。ここで改めて、プロジェクト計画の構成例を再掲しておく。

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  前回までに「4. IT環境整備計画」、「5. オフィス環境整備計画」のドラフトの検討方法案について解説した。残るは、「3. 制度整備計画」である。
 社内規定については各社それぞれ異なるが、特に関係が深いのは人事労務関連規定、賃金や評価(考課)に関連する規定等となる。一般的な規定類は、インターネットでも雛形を掲載しているサイトが複数あるので参照されたい。ユビキタスワークスタイル実現にあたっての制度的インパクトを理解する時に、まず参考にすべきなのは日本テレワーク協会の「テレワークに関する勤務規則例」であろう。ユビキタスワークスタイル実現の観点で読んでも、オフィス外勤務が週1、2日程度であれば、テレワーク勤務規定を導入すれば就業規則の大きな改訂を伴わずに対応できると考える。
 就業規則の改訂は従業員との合意を必要とするためハードルが高いので、付加的な規定を導入する事で対応する方法には合理性がある。しかし、本格的なユビキタス勤務を念頭におくと、そもそも何をもって勤務していると判断するか、あるいは何が仕事なのかといった問題に注目せざるをえなくなる。旧来の規定は、オフィスに来ていれば仕事をしている、勤務していると見なす、という前提で作成されており、それに外出時はどうするか、出張はどうするか、在宅勤務をどうするか、といったケースを組み込んで対応するという考え方を取ってきた。本質論に立てばユビキタスワークスタイル時代の規定は根本的に見直されるべきだろう。中核的な議論は執務時間の計測と業務成果の計測の分離である。テレワーク対象業務の棚卸しが終わり、業務プロセス定義ができれば、場所や時間と密接に関わるタスクとそうでないタスクは明らかになる。したがって、それらのタスク毎の管理手法が確立できればタスク毎の執務時間の計測、業務成果の計測は可能になる。そのデータが集まれば、いよいよ本格的な規定改定の準備が整うと考えるのが適切だろう。本格的な規定改定は、思想に基づいた方針設定ではなく、その合理性がデータによって裏打ちされていて初めて労使が合意可能になると考える。

 上記の観点を踏まえれば、関連規定、特に就業規則の改訂はできるだけ小さくするという方針で取り組むのが適切であろう。同時に、執務時間の計測、業務成果の計測を明文化するか否かは別にして実施するべきである。人事考課に関する変化は、就業規則改訂同様に慎重さを要する。最初は、計測された執務時間や業務成果を参考情報として利用する事から始めても良いだろう。上司からの視点でも自己管理の視点でも、生産性が計測できるようになれば、自然と改善策も立案できるようになる。生産性の向上は、就労者、経営者、いずれから見ても良い事である。
 あえて触れるとすれば、サービス残業も計測されてしまうという問題はある。計測データの位置づけは慎重に考慮した上で、とにかく正しくデータを収集するというのがスタートラインとなる。
 現実的な範囲での規定改定の方針を決め、システムの実装範囲、計測データ要件を決めれば、「4. IT環境整備計画」、「5. オフィス環境整備計画」も確定させる事ができる。ここまでこぎ着ければ、プロジェクト計画を完成させる事ができる。蛇足となるが、計測データ要件は将来の本格的な規定改定を見据えた何らかの仮説に基づく設定となるはずである。議論の過程は丁寧に記録しておくと良いだろう。

 以上、今回でユビキタスワークスタイル変革実践ガイドライン」策定時の、私の想いについて、ほぼ全て述べ終わった。13年度版では、レベル2の達成を念頭において簡略プロセスを記載している。次回は、その簡略プロセスに触れ、まとめに入る予定である。

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キーマンズネットとは
2013年3月に29年勤めた株式会社シーエーシー取締役を退任し、合同会社ユビキタスライフスタイル研究所を設立。新しい働き方を容易にするためのサービス開発中。2009年から2010年末までNY勤務経験あり。JISAワークスタイル変革とITプロジェクト座長(2012年度〜)。

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