ユビキタスワークスタイル変革実践ガイドライン(3)

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ユビキタスワークスタイル変革実践ガイドライン(3)

通信サービス 2014/07/10

今回はユビキタス成熟度達成指標の下位レベルの内容について触れる。

ユビキタスワークスタイル成熟度達成指標とは

 ユビキタスワークスタイル成熟度達成指標とは自社が同成熟度モデルのどのレベルにあるのかを自己診断するために設定した指標である。
 まずレベル1およびレベル2の判断指標を見ていただきたい。

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 内容はシンプルで、これらの問いに対してYes/Noで判断していく。最初の「業務分析を行い、テレワーク対象業務を選定している」については、対象業務のみをリストアップした文書があればYesである。全ての業務の業務分析が行われている必要は無い。
 次いで「テレワーク対象業務の業務プロセスが明確である。またはテレワーク対象業務に対して、既存業務プロセスの読み替えが可能である。」も判断はやさしい。ただ、質的には組織によって相当の差が出る可能性はある。少し深く考えると、テレワーク対象業務の業務プロセスの中には複数のタスク(サブプロセス)が含まれており、それらのタスクの中には、テレワークの対象になるものとならないものが含まれている可能性がある。それでもテレワーク対象者がテレワークでそのサブプロセスを遂行でき、全体として業務が回れば問題は無い。このレベルでは、業務が回せれば良しと考えれば良い。

  執務場所については、テレワーク対象業務の遂行場所が明示されていれば良い。もちろん、制約を設けない事もできるが、事前に登録した自宅内のみを許すという設定もあるだろう。この項は、明示する事によってテレワーカーが安心してテレワーク可能にする事を意識している。実際には「自宅のみを許す」は必ずしも現実的でなく、「通常オフィス、他の自社拠点、事前申請済みPCで画面を他人の目にさらす事無くVPN接続で利用できる場所」といった定義の方が好ましい。このレベルでは内容は問わず、定義されていれば良い。
  執務時間も同様である。実際問題として早朝に1時間仕事してから保育園に連れて行って、自宅に戻り執務、日中に5時間仕事をして、家事、その後子供を寝かしつけた後に2時間勤務といったスタイルはテレワーカーの望むところである。9時〜17時の硬直的な執務時間を強制すれば、実際にはテレワークは遂行できないという事になりかねない。誰でも体調を崩して休む時もある事を考えれば執務時間の固定化には合理性が無い。もちろん、テレワーク対象業務であっても一定の時間は連絡が取れるようになっている必要があるケースはあるだろう。例えば、「事前に上司の承認を得ている場合を除き、10時〜12時、13時〜17時は執務場所によらず勤務している事とし、テレワーク勤務中は執務時間帯によらず勤務は9時に始めて連続して勤務時間分働いた事と見なして良い」というような取り決めもあって良いだろう。文書に書く事のリスクが大きいと考える企業の場合は「執務時間は9時〜17時とする。ただし、テレワーク対象業務、テレワーク対象者については上司、本人の合意に基づいて執務時間を変更する事ができる。」というような表現もあるかも知れない。テレワークは「24時間働け!」と要求するような勤務形態であってはならないから、何らかの制度的な対応は必要である。
 
 IT対応についても、このレベルはそれほどハードルは高くない。「コミュニケーション:関係者と1対1で音声での連絡を行う手段がある」はテレワーク勤務中は勤務時間帯であるから連絡が取れなければおかしいので設定したハードルである。携帯電話または代替手段があれば良い。本人が許諾すれば個人用の携帯電話への電話を許せば良いし、携帯電話貸与という手段を取るところもあるだろう。UCまたはSkype、Google+ Hangoutを利用するという方法も考えられる。「プレゼンス:予定表が共有され、関係者が現在どこにいるかわかる」もオフィスの白板でマニュアル管理しても良い。回れば良いのである。もちろん、電子的なスケジュール共有が望ましいのは論を俟たない。「Identity:端末の利用ログとIDを管理している」は企業によってはやや難しい場合があるかも知れない。VPN等を利用していればネットワークベースで把握できる。「文書電子化:社外で業務遂行する上で、必要性の高い文書を電子化している」と「文書共有:リモートでデータの受け渡し、加工などができる」は、物理的な文書を持ち出して紛失、漏洩するリスクを軽減するために設けた項目である。テレワーク対象業務において、場合によっては“文書のスキャンと保管”というタスクを加える必要があるケースもあるだろう。「コンプライアンス:個人情報保護対策を含む情報セキュリティルールがある」は一般的なもので十分である。テレワーク対象業務においてそのプロセスが整備されていて電子化対象が定まっていれば、特段の対応は不要となるはずである。
 最後の「作業環境:PC等持ち出しデバイスに対する情報漏洩対策ができている。(データ暗号化、デバイス紛失時の対応ルール整備、使用禁止デバイスの規定等)」も常識的な範囲で問題ないだろう。

ユビキタスワークスタイル成熟度を業務、部門、全社で格付ける

 上記の指標は業務単位での評価指標であり、それだけでは部門レベル、全社レベルの評価を決定できない。そのため、業務の達成指標をベースにして、以下の部門の達成状況評価、全社の達成状況評価を行う事で、評価を完成させる。

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 本来の達成指標として、「レベル2達成指標を満たした業務が部門全体ワークロードの20%を超えている。20%を超えない場合は真性レベル1達成部門と判定する」を設定した。週1日はワークロードとして20%に相当するので、それを超えていればレベル2達成部門と設定した。業務としての達成指標を満たすテレワーク対象業務が設定されているが対象業務のワークロードが20%に満たない場合はレベル1とし、業務としての達成指標を満たすテレワーク対象業務が1つも設定されていない部署はレベル1未達成部門、つまりレベル0部門という事になる。
 企業全体として、テレワーク対象業務のワークロードが20%を超えていれば、その企業はレベル2達成企業とする。レベル0部門が残っていても構わないし、レベル1部門があっても良い。レベル2達成部門の中でワークロードが5割を超えているような部門があれば、他の部門のワークロードの低さを補って全社としてはレベル2を達成する事が可能となる。
 なお、本年度のガイドラインでは、暫定的な基準として「みなし評価基準適用」というある種の抜け道を設定した。これは、勤務実態として「週1日以上テレワークを実施している従業員が20%を超えている」を満たしていれば、経営目標として設定した「情報サービス業界のテレワーカーの割合を2020年までに20%を目指す」を満たした事になるという考え方に基づく措置である。より高度なレベルの達成を考えれば、真性評価が望ましいが、レベル2までは、まずはできれば良しとすべきだろうという考え方に立った。

 次回は、レベル3以上の評価指標について解説したい。  

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キーマンズネットとは
2013年3月に29年勤めた株式会社シーエーシー取締役を退任し、合同会社ユビキタスライフスタイル研究所を設立。新しい働き方を容易にするためのサービス開発中。2009年から2010年末までNY勤務経験あり。JISAワークスタイル変革とITプロジェクト座長(2012年度〜)。

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