“場所”に注目してユビキタスワークスタイルを考える(3)

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“場所”に注目してユビキタスワークスタイルを考える(3)

2014/05/15

 前回に引き続きユビキタスワークスタイルを場所から考える。今回は、在宅で問題になる「必要な時に集中して執務できる」「行き詰まりを打破できる」「居場所があって安心できる」は果たして企業に職場に求めることなのか?今後も求め続けられる事柄なのか?を検討する。

必要な時に集中して執務できる

 まず、以下のホワイトカラー業務を前提とした場所の執務環境特性について参照されたい。

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 集中して執務する時には、静粛性があって必要な機器等が揃っており、雑用に煩わされない環境が望ましい。比較表の個々の評価について人によって意見の違いはあるだろうが、それを考慮に入れたとしても、自宅は執務には向いていないのである。書斎があれば状況は改善するが、集中作業という観点では喫茶店よりはましという程度のレベルと考えるのが適切だろう。ホワイトカラーワーカーにとって、在宅勤務はライフイベント等に起因する問題を解決するために、本来働く場所ではない所で働く働き方と考えるのが適切なのである。もちろん、在宅勤務が可能になれば、従来は働き続けることができなかった局面で勤務を継続できることになりメリットは大きい。しかし、効率的に働くという視点に立つと最適な解とは言えない。静粛スペースを提供しているコワーキングスペースやシェアオフィスは複合機等の設備は通常オフィス並に整っている。都市部のスペースであればプリントショップへのオンラインでのリクエストやスペースへの配送等、仕事の一部アウトソースまで可能な環境となる。場合によっては、自社オフィスより環境が良い可能性もある。

 企業側がユビキタスワークスタイル成熟度を上げ、どこでも執務できるようになると、俄然注目すべきなのがコワーキングスペース等のサービスである。例えば、託児所から数分以内の場所に利用可能なスペースがあれば、子供を預けてすぐにビジネス品質のスペース環境で執務を行うことができるようになる。
 企業のオフィスは「必要な時に集中して執務できる」執務環境を提供することができるが、企業オフィスでなくてもシェアサービス事業者は同等以上の執務環境を固定席専有の場合より安価に実現可能である。さらに、託児所の近くであるとか、その日の訪問先の近傍であるとか、出張中であるとか、働く人のおかれている状況によって適宜スペースが選択できるようになれば、自社スペース限定の執務形態よりはるかに大きな利便性を享受でき、生産性向上も期待できるのである。

場所とコミュニティ

 「行き詰まりを打破できる」「居場所があって安心できる」はコミュニティの問題と密接に結びついている。この観点では、自社オフィスでの執務には大きな優位性がある。自社オフィスであれば、ちょっとした会話は自席でも可能だし、休憩場所まで足を運べば他の気分転換中の同僚と会話をすることができる。そういった何気ないコミュニケーションは執務効率上、無視できない。この点においては在宅勤務や公共スペースでの執務は遠く及ばない。
 ICTの力を借りて、在宅中やその他の場所で勤務している時でも、TV会議呼び出しで軽いブレーンストーミングは可能になる。本物の対面には及ばないが、企業側の取り組み次第である程度は乗り越えることができる。
 別の観点で、クラウドソーシングやフリーランスという働き方の台頭とコワーキングスペースの結びつきは興味深い。例えば、特定のCMSに精通した人の集まるコワーキングスペースも存在する。勉強会や発表会が開催されていたり、お互いに得意な技術を紹介し合いながら助けあっている事例も目にする。クラウドソーシングやフリーランスというある意味で孤独を強いられる働き方もコワーキングスペースのような第三の場所、あるいは第二の場所と第三の場所を兼ねる場所があることで、様相が変わるのである。コミュニティは人のつながりであり、それは必ずしも職場のコミュニティである必要はないケースもある。企業に勤めるユビキタスワークスタイルワーカーも、ある時期は特徴のあるコワーキングスペースでの執務機会を増やすことで生産性を向上させられる可能性があるし、社内にいるよりも成長できる可能性が大きくなる場合もある。また、生産性を上げるために必要なコミュニティは必ずしもプロフェッショナルコミュニティだけではないのである。先に述べたHatch Cowork+KIDsのような場所には働くお母さんやお父さんのコミュニティが結びつき、育児時期のQOLが向上することが職務の生産性向上に寄与することも容易に想像できるであろう。

 企業が全部をケアし、全部を準備するというのは既に現実的な選択肢ではない。仮に大企業であっても従業員の住居は分散しているし、その地域のコミュニティの大きさには敵わない。プロフェッショナルコミュニティにしても汎用的な対象に関しては一企業がリードできる範囲は狭いのである。企業が責任をもつ範囲と従業員が責任をもつ範囲、シェアードサービスを活用する範囲は時代と共に変化する。それぞれが、先を見て手を打たねばならい問題である。  

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キーマンズネットとは
2013年3月に29年勤めた株式会社シーエーシー取締役を退任し、合同会社ユビキタスライフスタイル研究所を設立。新しい働き方を容易にするためのサービス開発中。2009年から2010年末までNY勤務経験あり。JISAワークスタイル変革とITプロジェクト座長(2012年度〜)。

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