「ワークスタイル変革とIT」で掲げたビジョンの背景

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「ワークスタイル変革とIT」で掲げたビジョンの背景

2014/03/13

「ワークスタイル変革とIT」で掲げたビジョン

 今回は、前回紹介した「情報サービス産業におけるワークスタイル変革の実現に向けて」という報告書で掲げた「ITを活用して情報サービス産業のワークスタイルを場所と時間に縛られない形態に変革し、企業競争力強化と就労者のクオリティ オブライフ(QOL)向上を同時に実現する。」というビジョンの背景について述べる。

 企業競争力強化は、ある意味で漠然とした目標であるが、就労者のQOL向上はしばしば個々人の火急の課題となる。私事ではあるが、5年前にニューヨークに赴任した際、妻に同行してもらった事で生じた妻のキャリアの中断を忘れることができない。それまで働いていた職場を退職し、渡米。幸い、米国でも労働許可は下り、類似の職場での就労もでき、さらに幸いなことに帰国後元の職場に復職できている。しかしながら、途中に中断があった事から、キャリアの一部がリセットされてしまった。妻の仕事はITではなく、人に接する仕事なので、赴任帯同による離職は避けられないものだったが、ITエンジニアの場合、職務によってはその場所にいなくても遂行できる。

“企業競争力強化”や“就労者のQOL向上”との関係

 実際、オフショア開発以外でも、複数の国にまたがって遂行するプロジェクトは存在する。オープンソースコミュニティでは、地域分散などめずらしい事ではなく物理的に会った事のないエンジニアと協働する事もある。生産性を上げるためには、並みのエンジニアと顔をあわせて仕事を進めるより、遠隔地にいてもできるエンジニアと進めたほうが良いとケースは明らかに存在する。できるエンジニアと物理的にも近くで一緒に作業できた方が望ましいのは言うまでも無いが、今後の介護負担の増加、女性活躍の進展は企業側にもいつまでもそういう贅沢を許さない。企業が場所と時間に縛られないワークスタイルを可能にすることが、結果として有能人材の活躍の機会を広げ、企業競争力を向上させることになる。それが、「企業競争力強化と就労者のクオリティオブ ライフ(QOL)向上を同時に実現する」という表現に至った経緯である。
 場所と時間に縛られないワークスタイルの行く末を考えると、日本にいなくても協働可能、フルタイムでなくても、時差があっても協働可能という未来が見えてくる。さすがに、そういったある種の完全なユビキタスワークスタイルが可能な業務は限られるだろうし、それをうまく生かせるようになるとしてもまだ時間がかかる。
 一方で、介護負荷の増大は確実に高まっており、子育てとキャリア断絶の阻止と共に解決すべき直近の課題である。まずは、それらの直近の課題への処方箋を示しつつ、本格時代に向けたステップを進めていく、その思いをメンバーで洗練してまとめたのが「ITを活用して情報サービス産業のワークスタイルを場所と時間に縛られない形態に変革し、企業競争力強化と就労者のクオリティ オブライフ(QOL)向上を同時に実現する。」というビジョンである。

 次回は、ユビキタスワークスタイルにおける場所の問題について触れたい。

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キーマンズネットとは
2013年3月に29年勤めた株式会社シーエーシー取締役を退任し、合同会社ユビキタスライフスタイル研究所を設立。新しい働き方を容易にするためのサービス開発中。2009年から2010年末までNY勤務経験あり。JISAワークスタイル変革とITプロジェクト座長(2012年度〜)。

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