第3回 CMSの効果を最大化するインフラ構築

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 小山 悟(ビッグローブ株式会社) > 第3回 CMSの効果を最大化するインフラ構築
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

第3回 CMSの効果を最大化するインフラ構築

WEB構築 2014/02/03

 第3回となる今回は、Webサイトの安定した運用や、効率的な保守を実現するためのインフラ構築のポイントについてお話しします。

システムの全体像(CMS+インフラ)

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

システムの全体像(CMS+インフラ)

円滑なコンテンツ運用には全体最適が必須

 「第1回 運用でつまずかないCMS導入」では、Webサイトの成長のためには、目指すべき姿に合わせた最適なCMSを選ぶことが大切だというお話をしましたが、それらを支える適切なインフラを構築することもまた重要です。

 CMSの新規導入時には、機能や初期導入費用に意識が集中しがちですが、長期的なインフラの運用コストや工数まで含めて検討することを忘れてはいけません。

 Webサイトの安定した運用と、費用面・工数面ともに効率の良い保守を実現するためには、そのWebサイトに求められるインフラ環境がどういったレベルか、その運用に必要な体制やコストがどの程度のものかを見極めることが重要です。

長期的な視点でインフラ運用体制や工数を見極める

 サーバ等のインフラをオンプレミスで構築するか、クラウドサービスを利用するかというのが最初の選択になりますが、昨今ではビジネスの変化に柔軟に対応ができ、運用も手軽なクラウド環境で構築するのが一般的です。

 クラウドというと、導入も運用も手軽というイメージがありますが、OSやミドルウェア、セキュリティ面などの保守が継続的に必要で、ある程度の工数やコストが継続的に発生するということを意識しておくことが大切です。最初の構築時には、性能チューニングやセキュリティ対策をしっかり行うものの、運用フェーズに入るとOS、ミドルウェア、CMSなどのセキュリティパッチを検証し適用するといった保守が継続されない企業は多くあります。そして、気づいた時に大量のパッチを一斉に適用した結果、検証不足により機能やデータの互換性に問題が生じ、CMSシステムが正しく動作しなくなったり、配信が遅い、画面が重いなど性能が劣化してしまうケースも珍しくありません。

 こうした事態に陥らないためにも、CMSの機能面だけでなくミドルウェアも含めたCMSシステム全体として検証でき、運用や保守を長期的に維持できる体制を作ることが重要です。

セルフ型か、マネージド型か?

 クラウドサーバには、ハードウェアやネットワーク以外は自分たちで運用する“セルフ型クラウド”と、OSやミドルウェアも含めて保守運用を業者にトータルでアウトソーシングする“マネージド型クラウド”があります。導入時の費用だけをみれば、保守範囲が限定的で、要員の対応コストが含まれないセルフ型のほうが安価ですが、継続的な運用コスト、工数考慮したうえでの慎重な検討が必要です。

■セルフ型クラウド

 インフラの設計構築から運用保守までを自社で行います。OSがインストールされたサーバはクラウド事業者から提供されますが、CMSで構成するWebサイトに必要な設計構築は自社で行います。また、初期導入時だけでなく、OSやミドルウェアの保守や継続的なセキュリティ対策も自社で行わねばならず、あらかじめ運用体制を整え、コストを見込んでおく必要があります。専門的なスキルや工数が求められますが、サーバのroot権を利用でき自由に設計できるため、自社のポリシーに沿った運用ができる点が魅力です。また、マネージド型に含まれる保守要員の費用がない分安くなるため、社内の情報システム部門があり、クラウドを運用できる場合は効率的と言えます。

 しかし、体制構築が不十分だった企業からは「CMSアプリケーションの構築や性能のチューニングが想定以上に時間がかかり、プロジェクトが遅延してしまった」、「セキュリティ対策など、予測が難しい脅威に対して、継続的に対処できる体制が維持できなかった」、「定期的に発生するパッチ適用対応に調査も含めると結構な工数がかかり、手が回らない」といった声を聞くこともあります。セルフ型クラウドの場合には、保守には専門的なスキルと工数が必要になることを考慮しなくてはいけません。

■マネージド型クラウド

 専門知識が求められるOSやミドルウェアのパッチ適用やバージョンアップなどの保守作業、性能チューニング、継続的なセキュリティ対策などを業者に一括してアウトソースすることができます。そのため、企業は限られた人的リソースをWebサイトの企画やコンテンツ制作・運用に集中させることが可能になります。

 また、インフラだけでなく、CMSのテンプレート開発や操作トレーニング、パッチ・バージョンアップの検証や適用作業まで一括で保守を任せられ、技術的な問合せなどにも対応してくれるサービスも提供されています。CMS運用では、インフラ側の問題か、CMS製品側の問題かの判断が難しいトラブルが発生することも少なくありません。インフラの委託先、CMS運用の委託先それぞれに問い合わせをしていると解決に時間がかかりますが、インフラとCMSの保守を一括してアウトソースしていれば、普段の問い合わせ時にも障害発生時にもスムーズな対応が期待できます。

クラウドの運用範囲

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

クラウドの運用範囲
BIGLOBEの「Webホスティング Pattern Style CMS」ではCMSやテンプレートまで含めた一括運用が可能 
      

 セルフ型、マネージド型それぞれの特徴を理解した上で、自社にとってどちらが効率的な運用を実現できるのかを長期的な視点で見極めることが大切です。なお、BIGLOBEでは、インフラCMS、サイト制作まで導入から保守までトータルに支援するクラウドCMSサービス「Webホスティング Pattern Style CMS」を提供しています。

動的なWebサイトか、静的なWebサイトか

 インフラの構成やスペックを決める際のポイントとして、動的なWebサイトを作るのか、静的なWebサイトを作るのかという点が挙げられます。

■動的なCMSを使ったWebサイト

 アクセスする度に、動的 (ダイナミック) にWebページを生成します。設計次第で利用者1人ひとりに、都度最適な情報を動的に出しわけることができるほか、リアルタイムのシステム連携など作りこみが可能ですが、構築・運用の難易度やコストは高くなります。
動的なWebサイトを構築できるCMS製品は特定の開発言語で作りこむタイプが多く、CMS 製品独自の専門知識が必要ですし、運用面においては、サーバの負荷が大きく、ページの表示が遅くなりがちなので、サーバ構成やアプリケーションの性能チューニングに専門的な知識が必要です。そのため、構築保守ともに専門のエンジニアを確保する必要があり高コストになりがちです。

■静的なCMSを使ったWebページ

 事前に静的 (スタティック) ページとして生成しておき、アクセスに応じてできあがったページを表示します。動的なCMSと比較すると運用負荷が低く、コストメリットが高くなります。また、静的CMSでは、WebサーバとCMSサーバが独立していることが多く、万が一CMS サーバがダウンしても、Webサイト閲覧者に影響を及ぼすことがなく、Webサイトの安定運用を実現できる点が大きなメリットです。動的CMSではなくても構築運用できるサイトであれば、安定した運用をする、コストを抑えるという点から、静的なCMSがおすすめです。

 なお、動的なページと静的なページの両方に対応したCMSもあるため、ページの役割に応じて使い分けるという使い方も可能です。

 Webサイトの作成においては、コンテンツの運用ばかりに意識が行きがちですが、サイト訪問者がいつでも快適に、安心して利用できるWebサイトを作るためには、インフラ面の十分なメンテナンスが不可欠です。充実したコンテンツを取りそろえても、サイトが不安定では、利用者が定着しません。CMSとインフラは密接に関連していますので、運用・保守に関する専門知識や体制に不安がある場合はインフラからCMSまでをトータルに支援してくれる業者に相談するとよいでしょう。

次回は、スマートフォンやタブレットの利用が爆発的に広がり、注目を集めているマルチデバイス対応についてお話します。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30007037


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 小山 悟(ビッグローブ株式会社) > 第3回 CMSの効果を最大化するインフラ構築

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
金融業務システムの開発・プリセールスを経て、2009年からNECビッグローブでクラウドサービスの企画開発を行なっている。主にクラウドプラットフォームとCMSの導入・運用に関するプランニングや、Webサイト制作のディレクションを担当。趣味は「カピバラ参拝」。

ページトップへ