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第1回 運用でつまずかないCMS導入

WEB構築 2013/12/12

 CMS(コンテンツマネジメントシステム)は、Webサイトの効率的な運用に欠かせないツールとして多くの企業で導入が進んでいます。コンテンツの制作、配信、管理といった基本的な機能に加え、Webマーケティングを強化するためのアクセス解析やSEO対策など、CMSでできることは大きく広がりました。また、数十種類のCMS製品が提供されており、導入する企業では、自社の目的を果たすために最も適したCMSはどの製品かを見極めることが必要になっています。

 NECビッグローブでは、2010年からCMSと自社のWebホスティングを組み合わせたクラウド型CMSサービス(詳細はこちら)を提供し、Webサイトの、デザイン・制作からサーバ構築などのインフラ周りまでをトータルにサポートしています。本サービスは、CMSを新規に導入されるお客様だけではなく、既にCMSを使っている企業からに数多くのご相談をいただきます。その多くは、「CMSを導入したが、期待した効果が得られない。なんとかしたい」といったものです。ビッグローブがこうしたお客様と一緒に解決策を模索してきた経験を元に、今回の連載では失敗しないCMSの選び方をご紹介していきたいと思います。

機能の多さではなく、目的に合ったCMSを選ぶ

 近頃のCMSでは、コンテンツの制作、承認、配信、管理といった基本的な機能のほか、アクセス解析、自動SEOといった多数の機能が提供されており、なかにはEC機能を提供する製品もあります。

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CMSとして本当に必要になるのはピンクのサークル内。それ以外は周辺機能であり、導入の目的によって必要な機能が異なる。

 どのCMSを導入するかを検討する際、予算内で利用できるCMSをピックアップし、機能の有無を○×表にまとめて、○が多い製品を選択するという方法が多くの企業でとられています。しかし、機能が多ければ優れたCMSということではありません。機能が多ければ、使いこなすために勉強する手間が必要となり、リテラシーの高い人に利用が限定されるといったデメリットもあるのです。優れたCMSとは、自社の課題をより効率的に解決してくれる製品だということを忘れずに、製品を選定することが大切です。

 「企業サイトを複数部門の担当者で運用しつつ、コンテンツは厳密に管理したい」という企業なら、承認フローや権限管理機能が使いやすいCMSを、「世界各国の支社にいる担当者によって必要最低限のコンテンツ管理をしたい」という企業なら画面やマニュアルの多言語対応や、サポート体制からCMSを選定するといった具合に、目的によって重視すべきポイントは大きく異なります。「何のためにCMSが必要か。解決したい課題は何か。それは必須か。」という導入の目的や優先順位を明確にしたうえで、自社にとって最も優れているCMSはどの製品かを検討することが重要です。

 なお、実際にWebサイトのデザインやテンプレート(ページを作成する上で雛形となるデータ)のカスタマイズを行うのは、制作会社やシステムインテグレータなどのパートナー企業である場合が多いので、経験豊富なパートナーの意向も聞きながら選定を進めるというのもおすすめです。

■見落としがちな保守費とベンダロックイン問題

 CMSを選択する時には、ライセンス体系やサポート面についても十分な確認が必要です。サイトが成長し、CMSの利用者数、管理するサイト数などが増加した場合、製品によっては“ライセンス料の追加”が必要になることがあります。予想外の出費を防ぐためにも、成長を見据えた運用コストの確認をしておいたほうがよいでしょう。また、CMSの導入実績や、その製品を扱うことができるパートナー企業が一定数いるかも確認しましょう。特定のパートナー企業しか扱うことができない製品は、いわゆる“ベンダロック”状態になるため、注意が必要です。デザインとテンプレート開発を複数のパートナー企業で分担して進める可能性や、将来的なサイト改修も視野に入れて検討することが必要です。

誰がどのように運用するかを考える

 CMSは導入するだけで、自動的にWebサイトを更新してくれる魔法のツールではありません。より効率的にWebサイトを運用・管理していくためのツールですから、自社での作業が増えるケースもあり得ます。「タイムリーな情報公開」を目的としてCMSを導入する場合、これまで業者に依頼していたコンテンツの登録・公開の作業を自社で行えるようになるので、スピーディなサイト更新が可能になりますが、自社での作業は増加することになるのです。『CMS導入は、業務フローの変更である』ということを理解し、導入前に業務フローの見直しや運用体制作りを行っておくことがスムーズな導入のポイントです。

 例えば、広報部門にWebサイトの更新作業が集約されていた企業がCMSを導入する場合も、様々な運用方法が考えられます。

(1)

CMS導入後も従来通り広報部門のみで更新作業を行う

(2)

積極的な情報発信ができるよう各部門での更新を可能にする

(3)

各部門がコンテンツを登録するが、更新(公開)は広報部門の承認制とする

 CMS導入の目的を果たすためには、どの運用がふさわしいのかを検討するとともに、(2)や(3)とする場合には関係部門の理解と協力を得ることも大切です。
 CMSの導入時はデザインも機能要件も満たし、Webサイトのリニューアルは成功したが、社内における運用や体制の調整が不十分だったために、運用がうまくいかなくなってしまった、コンテンツの更新フローを複雑化しすぎて、業務効率が悪化してしまったなどといった失敗を防ぐためにも「誰がどう使うのか」をあらかじめ検討することが重要です。

まとめ

 繰り返しになりますが、CMSの導入時には、「何のために導入するのか」「解決したい課題が何か」をよく検討し、目的をはっきりさせることが重要です。

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 製品選定に迷った時や、運用方法がまとまらないといった時にも、導入目的を明確にしておくことで、方向性を間違うことなく結論を出せるはずです。


 今後の連載では、CMSによるサイト構築・運用の話を中心に、マルチデバイス対応、コンテンツ運用、セキュリティ対策、負荷対策といった視点で、運用フェーズで失敗しないCMSやインフラの選び方のポイントを紹介していきます。

次回は、コンバージョンを意識したWebサイトをCMSで運用するためのポイントをご紹介します。

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キーマンズネットとは
金融業務システムの開発・プリセールスを経て、2009年からNECビッグローブでクラウドサービスの企画開発を行なっている。主にクラウドプラットフォームとCMSの導入・運用に関するプランニングや、Webサイト制作のディレクションを担当。趣味は「カピバラ参拝」。

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