第6回 これからの“アジャイル開発”に必要なこと

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第6回 これからの“アジャイル開発”に必要なこと

開発 2013/11/13

 これまで5回に渡り、NECビッグローブで行ってきたアジャイル開発の経験を元に、その考え方をお話してきました。
今回は、その内容をふりかえり最終回といたします。

大切なのは人とチーム

 5回の連載で色々なことをお話しましたが、アジャイルな開発を成功させるために重要なことをまとめるとこの3点に集約できます。

1. 

 ビジョンを共有し、プロダクトの価値を重視する

2. 

 協働できるモチベーションの高いチーム作り

3. 

 自律的なカイゼンの継続

 お気づきのことかと思いますが、この3点は開発手法の話ではなく、どれもチームとしてのあり方です。現時点のソフトウェア開発はロボットや機械ではなく、人によって行われますから、技術や手法を活かせるかどうかは人次第なのです。アジャイル開発も、単純に開発手法としての「やり方」を変えるだけで効果が得られるものではなく、人にフォーカスし、いかにチームがパフォーマンスを上げるかを考えることが大切です。
 アジャイルを取り入れてうまくいかなかったという事例をよく聞きますが、その原因の1つは、開発手法だけを取り入れ、人やチームへのフォーカスが不十分だったということではないでしょうか。

 そこで、スクラムの元になった論文「The New New Product Development Game」を書かれた、野中郁次郎先生の言葉をご紹介したいと思います。

■スクラムを前に進めるために
1.不安定な状態を保つ

メンバーには高い自由裁量と同時に、極端に困難なゴールを与える

2.プロジェクトチームは自ら組織化する

 設立したばかりの企業のように、「情報ゼロ」の状態から始めると、メンバーは自立、自己超越、相互交流を自ずと始める

3.開発フェーズを重複させる

開発フェーズを重複させることで、「分業の共有」という状態を作り出し、メンバーはプロジェクト全体に責任感を持つようになる

4.「マルチ学習」

メンバーの学習は、職位と昨日の2つのレベルで行われる。

5.巧みにマネージする「マルチ学習」

放任せず、自己管理、メンバー間管理、と愛情による管理を強調する

6.学びを組織で共有する

過去の成功・失敗から学びの習得・忘却を組織内で浸透させる

 この考え方は、どのようにチームを運営していくか、暗黙知をどうチーム・会社内で共有していくかという点にフォーカスされています。人と人との協調、共感といった感情的な側面も含めて、チーム作りや組織づくりまで考えることが必要なのです。アジャイルという開発手法は、このような組織やチームを実現するためのフレームワークです。まずは決められた通りに実行しながら、このようなチームを目指す。あくまできっかけであり、最終的にはアジャイルの開発手法を超えたチームになることが目標です。

これからのアジャイルな開発

 「第1回 アジャイル開発にまつわる誤解」も申し上げましたが、ソフトウェア開発は、設計図通りに作れば良いというものではなく、変化に適応し、常に答えを探しながら開発を行うことが求められています。こうした状況では、これまでのようにルールで縛るような硬いマネジメントでは対応しきれなくなるため、チームを活性化し、パフォーマンス最大化するマネジメントに考え方を転換することが必要です。

毎日行っている朝会の様子

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毎日行っている朝会の様子
 NECビッグローブでは、メンバーをルールで縛ることによる管理文化からの脱却するために、組織的にマネジメントの変革に取り組んでいます。
 具体的には出荷(リリース)判定をチームに委譲する、グループ構成を現場のメンバーで検討するといったことにより、フラットな組織、現場主体で動く文化が育ち始めています。

 ここまで色々なことをお話しましたが、第1歩を踏み出すことがなにより大切です。まずは朝会から始めてみませんか?何か1つのことを継続するだけでも、チームのコミュニケーションが格段によくなり、問題の早期発見やカイゼンのきっかけとなるはずです。

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キーマンズネットとは
基幹業務システムの開発を経て、2011年よりNECビッグローブでアジャイルな開発を行なっている。チームの立ちあげ、スクラムマスター、アジャイルコーチなどのチーム作りから、チームメンバーとしてコーディングも行なっている。最近のマイブームは「ドメイン駆動設計」。

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