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IT現場の道先案内人 Key Conductors

第14回 シンクライアントの評価

仮想化 2013/07/31

シンクライアントの評価

 最近あまりこの言葉は使われないが、通常の端末は「リッチクライアント」と呼ばれる。その反対が「シンクライアント」である。
シンクライアントでは、端末にはデータを一切持たないので、個人情報などのセキュリティを重視する場合には、この方式が使われる。
シンクライアント端末はかつて30年前に使われていた「ダム端末」と同じで、データ処理機能はホストサーバですべて行われる。そのため、重要データが端末に流れだすことはなく、データの安全確保の点では優れている。

 シンクライアント端末を処理するサーバのOSは様々であるが、データ数が少ないので、下の表ではシンクライアント一括として扱っている。さて今回は、この処理方式の評価はどうなっているのかを企業IT動向調査2012年度のデータに基づいて眺めてみよう。

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 一部でもシンクライアントを導入していた企業は、1,030社中で80社の8%であり、利用率は高くはない。
シンクライアントを導入していない企業の評価(DI)は「+4.8」で高くないが、導入済み企業の満足度は、リッチクライアントのWindows XP、Windows 7と同じように高い。未導入企業の満足度の低さについては、検討段階で「機能が不満足」、「コスト高」と判断した企業が
入っている事も考慮して、この値を判断する必要がある。
 また、リッチクライアントのWindows Vistaは極めて満足度が低い。これはシンクライアント、リッチクライアントという使い分けをする以前に、OSとしての評価が「重すぎる」と不評であった点が影響している。Windows 8もマンマシーンインターフェースが不評で、満足度が低いと推測できる。

シンクライアントの長所

 シンクライアントの長所は、以下の事項である。

 1.セキュリティを重視するデータはサーバ側で処理されるため、情報が端末側に流れ出て流失するなどの恐れはない。
    また端末をサーバー側で集中制御することが可能となるため個人仕様のソフトウェア使用で事故につながることが減少する。

 2.本社、あるいは地方の事務所内で使用する場合は特定の端末に依存する必要がないので、自分のシンクライアント端末が故
     障した場合でも他の代替端末で処理が継続できる。あるいは別の会議室に配置された端末からでも自席の端末と同じように
       使用できる。災害時にも復旧は簡単である。

  3.導入時の端末設定の負荷がかからない。

  4.端末ごとのバックアップ処理などが不要で「端末が壊れてデータが無くなった」などの事故も起こらない。

  5.USB使用を禁止することにより、データの外部持ち出しなどの監視が不要となり、業務部門管理者は端末管理作業から解放さ
       れる。

  6.サーバの導入費用は増加するが、シンクライアント端末は機能がほとんどないため大量使用の際は安く購入することができ、
       端末管理作業を含めると総費用は安くなる。ただし使用条件が複雑な場合や端末台数が少ない場合は、かえって高くなる場
       合もあるので、個別ケースで試算する必要がある。

シンクライアントの短所

 一方、シンクライアントの短所は、以下の事項が挙げられる。

 1.外部に持ち出して顧客前でデモンストレーションに使うことは難しい。携帯端末の処理は別方式で対応する必要がある。

 2.ネットワーク負荷がかかる場合があり、動画処理などには現状向いていない。多くの使用者が集中して使用する場合は、レス
      ポンスタイムが遅くなる。

 3.グローバルシステムでシンクライアント方式を使う場合はネットワークの故障による切断や、携帯しての端末作業ができないな
      どの理由から難しいといえる。

 ちなみに米国では個人情報保護などのための対策として、このシンクライアント方式が採用される場合はほとんど無いそうだ。各機能の特徴を正しく理解し使い分けることが肝心である。

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キーマンズネットとは
昭和35年富士製鐵株式会社(現 新日鐵住金株式会社)入社。同社情報システム部、エヌエスアンドアイ・システムサービス株式会社副社長、新日鉄情報通信システム株式会社を経て、2001年 社団法人日本情報システム・ユーザー協会常務理事に着任。2002年5月専務理事、2010年5月副会長、2011年5月より顧問となり、現在に至る。

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