IT・IT製品TOP > Key Conductors > 大岡 由佳(株式会社garbs) > ITエンジニア採用の落とし穴 (第2回)
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

ITエンジニア採用の落とし穴 (第2回)

2013/07/22

我が社の“求人応募者”がこんなにスキルが低いわけがない!

エンジニア採用の落とし穴」シリーズ。今回はその第2回です。

 前回の記事「“応募資格:JAVA業務経験2年以上”…この求人がエンジニアに不人気なワケ」では、煽り気味のタイトルをつけてしまったせいか、技術用語の大文字小文字について触れた点だけがやたらと反応があって、本題だった「なぜそういう求人ができてしまうかの背景」について指摘したところはあまり伝わらなかったようで少し反省しております…。

 ですので今回は、前回伝えきれなかったその本題について、もう少し立ち入って考えたいと思います。
まず結論から言ってしまうと“エンジニア向け求人”に大事なのは、ターゲットとしているエンジニアの目線に立って、彼らが欲している情報を的確に伝えること。…なのですが、なぜか世の中にはそうでない求人のほうが多数派を占めてしまっていると感じます。

その手のエンジニア求人は、大まかに言うと以下の3つに分けられます。

1:

 国家試験の受験要項系

2:

 意識の高い学生サークル系

3:

 キミでもなれる!SE系

■国家試験の受験要項系

 1つ目は「国家試験の受験要項系」。これは前回でも指摘したような、「プログラミング経験3年以上、Java業務経験2年以上、××の実務経験、○○の運用経験、さらに△△の経験を優遇」と応募資格を延々と書き連ねてあるタイプです。さながら大学入試か公務員試験の試験要項のごとく。法律で禁止されてなければ、間違いなく「年齢:22歳から34歳まで」とか書いてあるに違いありません。日本人には学生時代からのなじみのある方式で、採用する側も何も考えなくていいので、無意識の内にやってしまいがち。そのためエンジニア向けに限らず、世の中のほとんどの求人がこのタイプとなっています。

■意識の高い学生サークル系

 2つ目は「意識の高い学生サークル系」。最近増えているのがこのタイプ。会社の理念と仕事のやりがいを前面に押し出し(というかそれ以外書いてない)、全員笑顔の集合写真が存在感を主張している求人。完全にターゲット戦略を間違えています。
そのキラキラ感がまぶしすぎて、“イベントサークル系のノリについていけない”タイプのエンジニアは引いてしまいがち。
これの原型は「若くて活気があってアットホームな職場です系」だと思うのですが、一歩まちがうと「やりがい搾取」のブラック臭が漂うのが難点と言えるでしょう。

■キミでもなれる!SE系

 3つ目は「キミでもなれる!SE系」。とあるブラック企業のシステム開発会社に就職してしまった青年を描いた異色のライトノベル『なれる!SE』の主人公、桜坂工兵くんが引っかかった手口。

 入社2年目くらいの社員にスポットライトを当て、業務経験がなかった/少なかった自分が会社の優秀な先輩たちに導かれて、今は一人前に立派に仕事をこなしてやりがいのある日々を送ってます、という筋書きのインタビューが掲載されている求人です。
最近は、媒体にそれなりのお金を払うと、プロのカメラマンと編集者が派遣されてきて、まるで雑誌のインタビュー記事のような見栄えのいい求人ページを作ってくれます。

 これもやはりターゲット戦略を誤っています。
ウブな新卒には効果的なのかもしれませんが、曲がりなりにも即戦力を求める専門職の中途採用で使う求人手法ではないでしょう。「いいエンジニアがなかなか採用できない!」と嘆いている会社はたいてい、この3タイプの内のどれか(もしくは複数)の求人を出しています。よく聞いてみると、そういう会社は応募がほとんどないか、応募はあるんだけど見当違いの人が多くて1人採用するのに何十人も何百人も面接しているという両極端に分かれます。

 ちなみに応募がなかなかない会社は「大学の入試要項系」の求人、やたらと応募はあるけど効率が悪い会社は「俺たちが世界を変えるんだ系」か「キミでもなれる!SE系」の求人を出していることが多いように思います。
特に、お金のある会社は「キミでもなれる!SE系」の求人を出していることが多いのですが、会社の知名度と相まって合格率が1%以下…など、どこかのテレビ局の新卒採用?みたいなことになっている会社もあると聞きます。

 これら3タイプの求人に共通するのは、視点が募集企業側の1人よがりで、ターゲットの即戦力となり得るエンジニアが本当に欲している情報が掲載されていないということです。
それらの情報が掲載されていないため、ほしいと思えるような人には応募してもらえず、見当違いの人ばかりが応募してきてしまう。
特に「キミでもなれる!SE系」の求人は、敷居だけは思いっきり下げてあるのでその傾向が顕著です。

 大事なことなので同じことを2回書きますが、必要なのは「ターゲットとしているエンジニアの目線に立って、彼らが欲している情報を的確に伝えること」です。それがどんなものかについての具体的な話は、シリーズ最後の3回目に書いていこうと思います。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30006472


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 大岡 由佳(株式会社garbs) > ITエンジニア採用の落とし穴 (第2回)

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
ITエンジニア向けWebサービス「Forkwell」のプロダクトマネージャー兼エンジニア。楽天でポータルサイトの開発に携わった後、フリーランスとして活動。現在はエンジニア採用のスタートアップの取締役として、日々サービスの研鑽に励む。好きな開発言語はScala と Ruby。

ページトップへ