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IT現場の道先案内人 Key Conductors

第12回 障害件数と運用費用の関係

運用管理 2013/07/17

 日本の情報システムの信頼度は世界でも群を抜いて高いが、情報システムの障害は程度の差こそあれ、発生するものである。JUASの企業IT動向調査2012に以下の報告が掲載されている。

■(1)発生頻度

 “企業のシステム障害が、役員まで報告された障害回数(年間)”は、毎年増加しているが、その結果として、事業の中断回数は減少するというプラス効果となっている。

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 企業規模が大きければシステムも大きくなり、障害件数も増加してくるのは自明のことである。そこでシステムの規模と障害件数との関係を見てみよう。システム費用を開発費用と保守運用費に大別し「事業停止障害件数÷保守運用費」を計算すると、0.06件/1億円・年間保守運用費となった。JUASのIT動向調査、ソフトウェアメトリックス調査の2種類の結果が毎年似た値を示している。分子を1にすると分母は17億円になり覚えやすい。保守費用が34億円の会社ならば2回/年、事業停止障害事故を起こしているのが平均的な姿である。
もし貴社がこの値よりも多ければ何らかの対策余地が残っていると見たほうが良い。

■(2)障害原因

 事業が中断した障害の原因“ワースト4”は、(1)ハードウェアなどの不慮の事故、(2)ソフトウェアの不具合、(3)設定操作ミス、(4)性能・容量不足であった。(回答数は262社)ハードウェアの故障とソフトウェアの不具合が多いことがわかる。

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■(3)損害額

 次に、ここ1年間で「事業が中断した最大の情報システム障害」に伴い、発生したトラブル対応費用と経営損失の概算額の記述を調査依頼した。1,039社の企業回答があった中で、この障害金額などの回答を得られたのは4%程度であり、大多数の企業は実態を把握するまでに至っていない。損害把握に努めているのは少数派の回答であるが、示唆に富んでいるので紹介したい。1つの事例として参考にして欲しい。対応費用はどこまでの範囲を含めるのか、経営損失額は風評被害などをどこまで入れるのか、事故発生以降何年間の損害を含めるのかなどの課題はあるが、直接的な被害損額で回答してもらった。この回答によると中央値は2000万円となるがケースにより異なると考えられる。

直接的な被害損額

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直接的な被害損額

 「機会損失損害額=想定損害額×発生確率」で一般には求められることが多いが、被害が人命に関わる場合、企業の存続に関わる場合は、むしろ対策案ごとの費用と残存想定損害額の差で判断し、BCPを策定することも検討するべきである。

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キーマンズネットとは
昭和35年富士製鐵株式会社(現 新日鐵住金株式会社)入社。同社情報システム部、エヌエスアンドアイ・システムサービス株式会社副社長、新日鉄情報通信システム株式会社を経て、2001年 社団法人日本情報システム・ユーザー協会常務理事に着任。2002年5月専務理事、2010年5月副会長、2011年5月より顧問となり、現在に至る。

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