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ITエンジニア採用の落とし穴 (第1回)

2013/07/16

「応募資格:JAVA業務経験2年以上」…この求人がエンジニアに不人気なワケ

 “エンジニア採用”をテーマにして3回くらいのシリーズで記事を書かせていただきます。今回はその第1回目。エンジニア経験のない人事の人がやりがちな、エンジニアに馬鹿にされる求人を作ってしまわないためのアドバイスをさせていただきたいと思います。

 さて、見出しにあるような「応募資格:JAVA業務経験2年以上」といった求人を、エンジニアの方なら一度は目にしたことがあると思います。この手の求人を見るたびに、「本気で採用する気があるんだろうか?」と他人事ながら心配してしまうわけですが、恐らく書いた採用担当者は真面目に自分の仕事をこなしているつもりなのでしょう。

 しかしまともなエンジニアが見れば、この短い文章からその会社のイケてなさ加減を感じ取り、その会社を事前に知っていて「好印象を持っていた」とかでなければ、即座にページを閉じて読み飛ばしてしまうだろうと思います。

技術者を大事に思っていない

 ダメな点の1つ目は、「その会社が技術(者)を大事に思っていない」ことが文からにじみ出ていること。「JAVA」って何ですか「JAVA」って。正しい表記は「Java」です。いや同じじゃないかと思った方、本気でそう思っているなら、反省してください。

 人の名前って間違えたら失礼じゃないですか。たとえそれが同音異字であっても。 お得意様の「仲嶋」さん宛てのメールに「中島」と書いたら、上司に怒られますよね。「中島美嘉」は「なかまみか」じゃなく「なかまみか」なのです。

 できるエンジニアは、技術とそれを作ってくれた人をリスペクトしています。その名前をぞんざいに扱うような会社で働きたいと思うわけがありません。技術を大事に思っていない会社なら、技術者も大事に扱われていないと、普通なら思うでしょう。

 ですので、技術用語はちゃんと事前に下調べして、つづりや大文字小文字を正確に記述するようにするべきです。よく間違えがちなのはキャメルケース(複合語をひとつづりとして、要素語の最初を大文字で書き表す方式)の単語。「JavaScript」は「Java(のような…ってことは全くない)Script(言語)」と言う意味で「Java + Script」なので、「S」は大文字です。

 あと日常的にコードを書いている人間は、半角全角に敏感です。まちがっても技術用語を全角英数字で書かないようにしましょう。

要件の妥当性が不明

 ダメな点の2つ目は、要件の妥当性が意味不明なところです。
なぜ1年でもなく3年でもなく「2年」以上なのか?また、会社で何も考えずぐぐってコピペを2年繰り返しただけの人は資格があって、仕事では「C++」を使いながら、趣味でEclipse(Java製の統合開発環境)のプラグインを作るような人に資格がないのはなぜなのか?
 どうせ適当に考えたのでしょうが、その適当感と一方的な足切り基準の腹立たしさが相まって、これまたページをすぐに閉じられる原因となっているように感じます。人事も忙しいので、スキル不足の人に来てもらって貴重な時間を無駄にしたくないから、ある程度足切りをしたいという思惑があるのでしょうが、そもそも「マッチング精度が悪い原因は自分たちにある」ことを自覚してください。

 たとえば、サッカーチームの入団テストに野球選手が来ることはありません。また、プロ野球の入団テストに、草野球好きの商店街の中年店主が来ることはまずありませんよね?それは、そのチームが何の球技をどんなレベルで行っているかが、誰にもわかる形で公開されていて見ることができるからです。
応募資格を一方的に書き付けてあるような求人はたいてい、採用されると具体的にどんな技術を使って仕事をすることになるかという肝心なことが書いてありません。でも「不用意にそんな情報をネットで公開したら、自分がセキュリティ部門に怒られるかもしれないし、どうしても知りたかったら面接に来て聞いてくれたらいいじゃないか」といったところが採用担当の本音でしょう。

 いや、だから面接に行くまでの“検討段階”でその情報が欲しいのですよ。現場で使っている技術やそのレベル感が伝わる情報が書いてない、見当違いの求人票だから見当違いの人が応募してくるのです。
応募する側のエンジニアの立場に立って、検討のための十分な情報を提供する。それができて初めて、まともなエンジニアが入社を考えてくれるスタートラインに立つことができます。

「そんなこと言われたって、自分はエンジニアじゃないからエンジニアの考えることなんてわからない」と、そう思われましたか?
だからこそ、現場のエンジニアに積極的に採用活動に協力してもらうのです。上記のような指摘は、本当なら自社のエンジニアにしてもらうべきものです。最初からそうしていれば、そんなみっともない求人を出す羽目にはならなかったはず。
採用のプロセスに現場のエンジニアがほとんど関わっていないために「JAVA業務経験2年以上」のような求人が出来上がってしまうわけで、エンジニアが採用に影響力を持たない会社であればそもそもロクなエンジニアがいないだろうと、見る側にはそこまで見透かされてしまっています。

 求人票の文章の第一稿は、できれば現場のエンジニアに書いてもらうべきで、ヒヤリングしてそれを人事が文章化というプロセスを踏んでしまうと、人事が理解できない技術的な事項は本人がつっこまれるのが嫌で、無難な当たり障りのない記述になってしまいます。
もし、開発の人間にそれを頼むことに気が引けたり、逆に頼んでも嫌な顔をされるようなら、その企業風土から変えていかないと、いいエンジニアはいつまでたっても採用できるようになりません。
弊社の営業先の企業様では、求人票作成の際に必ず現場のエンジニアの方にご協力いただくようになっていますが、ほとんどの方が喜んで積極的に関与してくださいます。自社に合わない人が入社して苦労するのは現場のエンジニアですから、普通は頼んで嫌な顔をされることはないはずです。

以下がまとめになります。ご参考になりましたら幸いです。

まとめ

1.

技術用語はつづりを正確に全て半角文字で

2.

一方的な「応募資格」ではなく、使っている技術とそのレベル感がわかる情報を記述する

3.

これらを実現するためにも、積極的に自社のエンジニアに協力を仰ぐ

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ITエンジニア向けWebサービス「Forkwell」のプロダクトマネージャー兼エンジニア。楽天でポータルサイトの開発に携わった後、フリーランスとして活動。現在はエンジニア採用のスタートアップの取締役として、日々サービスの研鑽に励む。好きな開発言語はScala と Ruby。

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