第10回 重要インフラシステムの信頼性

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第10回 重要インフラシステムの信頼性

開発 2013/07/01

 経済産業省では「重要インフラ情報システム」を、以下のように定義している。
「他に代替することが著しく困難なサービスを提供する事業が形成する国民生活・社会経済活動の基盤であり、その機能が低下または利用不可能な状態に陥った場合に、我が国の国民生活・社会活動に多大な影響を及ぼすおそれが生じるもの、人命に影響を及ぼすもの及びそれに準じるもの」

 もっと簡単に言えば、この情報システムが停止した場合にはマスコミが大事件として取り上げ報道されるシステムのことである。
日本ではほんの少し停止しただけでも「XXシステムが停止しました」とCIOが頭を下げる姿が報道されるが、米国ではこのような事象を見ることはまずないそうである。しかし、その影響からか日本の重要インフラシステムの信頼性は米国と比較すると“8倍”も高い。
(ガートナーとJUAS企業IT動向調査2008年度調査を独自に比較)

 米国の大企業を訪問したときに「貴社のシステム稼動率は何%ですか」と質問したところ「99.2%」と答えてくれた。
それならばクラウドで99.5%を保証すると言われたなら魅力を感じるはずである。では日本の実態はどうか?
「JUAS企業IT動向調査2010」によると、企業の基幹業務システムの稼働率99.99%以上の割合は54%であるのに対して、重要インフラシステムは76%である(以下図参照)。稼働率99.99%は、年間で50分しか停止していないことを意味し、国際的にも非常に高いレベルにある。

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 システムの停止がどのフェーズの作業に原因があったかを分析すると、開発29%、保守27%、運用44%となった。(JUAS高信頼性プロジェクト2010報告より)
 従来は「運用停止原因はベンダが開発時に正確堅牢にシステム作りをしていないからである」と仮説を立てて対策をとっていたが、「稼働率確保のためには保守・運用フェーズの対策が重要である」ことを改めて認識させられ、基準は改変された。
 この運用条件は稼働率の向上を含めて品質向上に影響するが、発注時にはどの程度関心を持たれているのかも調査した。重要インフラだけでなく、企業の基幹業務システムを含めての値であるが、以下の変化を示している(図表10-2)。
 図表10-2はISOの指定項目6種類とJUASが補足した5項目で、対象は企業基幹業務システムと重要インフラシステムを合わせた値である。2008年度は86件、2012年度は531件のプロジェクトデータを元に分析した。【件数は該当項目を選択した件数(複数回答)】

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 いずれも品質に関心を持ち、非機能要件を指定する割合は増加している。30%以上のプロジェクトが指定した非機能用件は、機能性(セキュリティを含む)、信頼性、効率性、保守性、運用性、であった。ISOには含まれていなかった運用性が重視され始めているのは興味深い。

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キーマンズネットとは
昭和35年富士製鐵株式会社(現 新日鐵住金株式会社)入社。同社情報システム部、エヌエスアンドアイ・システムサービス株式会社副社長、新日鉄情報通信システム株式会社を経て、2001年 社団法人日本情報システム・ユーザー協会常務理事に着任。2002年5月専務理事、2010年5月副会長、2011年5月より顧問となり、現在に至る。

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