第9回 ICT運用品質の指標と具体化への提案

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第9回 ICT運用品質の指標と具体化への提案

開発 2013/06/24

 ICT運用品質を議論する時の指標として、「システム基盤の非機能要件」が真っ先に挙げられる。
非機能要件とは、対象業務の業務機能要件以外の要件を指す。具体的にはシステムの稼働率(MDT)や平均障害回復時間(MTTR)、クライアントへの応答時間などである。SLAの中に組み入れて利用されることも多い。

 しかし今や、ICT運用の本質は「正確で安定的な運用」を担保した上で、ユーザへの「適正なサービスの提供」という次元に入ったと考えるべきである。業務システムの実現は、以前のように単一のシステム基盤に沢山の業務システムを乗せるのでなく、業務システムごとの品質要件にあったシステム基盤を選ぶことも可能になりつつある。

 そうした場合、ICT運用の品質管理やその指標はどのようにすればよいだろうか。まず業務システムごとのプロファイリングから始める必要がある。その際に考慮する要素は、業務システムの重要度と事業継続リスクである。その視点から要求運転時間、許容障害回復時間、セキュリティレベルなどが決められるべきである。
 加えて「第3回 ICT運用コストの最適化(1)一番の近道はコストの見える化」で記述した、業務システム毎の運用コストや連鎖コストがあると更に充実する。図9-1ではその関係を図示した。プロファイリングの結果、業務が要求する運用品質と大きなギャップがある場合は早急に是正する。逆に過剰な運用品質であった時は、次回の再構築(マイグレーション)などで適正化を図りICT運用コストを下げることができる。
 このようなプロファイリング情報を経営者やユーザ責任者と共有して、企業の中長期ICT計画に取り入れることでICTの運用品質は確実に適正化に向かうだろう。更にクラウドの導入判断やその際のSLA擦り合わせ、サーバ仮想化のグルーピングなどにも役立つ。

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 このような方策で業務システムごとに最適な運用品質を適性コストで実現できたなら、更にサービスの品質を測ることも考えなければならない。ユーザや経営者も共有できるモニタリング指標として「ユーザの迷惑度(満足度)」を目標に掲げてはどうか。
 例えば、業務システムの重要度との兼ね合いでポイントを決め、月間(又は四半期)ごとのトラブルを“ポイント”に換算して目標管理を実施する。トラブルごとに再発防止の工夫を続けることで必ず運用品質は向上する。一種のZD運動である。

 今後のICT運用部門はユーザ部門やその主管部門に対して、ICTシステムをツールとしたサービスを提供するという側面が強くなる。
「サービス品質」を意識するためには、まず業務システムのプロファイリングがその一歩である。

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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