関税法改正とメールアーカイブの必要性

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関税法改正とメールアーカイブの必要性

メール 2013/06/21

関税法改正の概要

 2012年7月から「関税法」が改正され、輸出入に係る電子メールなどの保存義務が導入されたのをご存知でしょうか?昨今、電子メールによる取引が一般化し、公平な課税の確保、事後調査等で電子メール確認の必要性などを目的として、電子メール及び添付ファイルに対する保存が義務付けられました。輸出入に関わる取引の関係書類を電子メール・添付ファイルでやり取りした場合、輸出入許可日の翌日から5年間、保存しなければなりません。輸出入にまつわる取引で受領・交付した注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などがその対象となります。

メールを「そのまま」保存が基本

 税関では、「電子メール等の保存について《Q&A》」という解説ページを立ちあげています。ここでは電子メールの保存方法について、「電子メールを授受したPCのハードディスクや標準的な記録先のサーバ等」とありますが、PCによる電子メールの保存は、個人のITリテラシーに基づくものとなり、確実に5年間保存できるかどうか、システム側で一括管理するのは困難です。さらに、「輸出入貨物の取引情報に係る電子メール等は、数字や字句を訂正したり、傍線などが消えたり、文字化けするような変換行為」は適切でないとしています。つまり、HTMLメールをテキスト形式に変換して保存するなどは原則として認められておらず、オリジナルの形式で保存をする必要があります。

バックアップだけでは不十分

 今回の“電子メール保存の義務化”に伴い、サーバ側での対策としてまず最初に思いつくのが、メールサーバ側のバックアップではないでしょうか。しかし、いざ書類の提出時が必要になった場合、テープや過去のバックアップデータから必要な電子メールを探し出してデータのリストア、提出に至るまで、それ相当のオペレーションと時間が要されることが想定できます。「電子メール等の保存について《Q&A》」でも、事後調査時には、画面及び書面での提出が求められる必要があり、「取引状況に応じて容易に検索できるように準備」と明記されています。つまり必要な電子メールを容易に検索することができて、なおかつ速やかにデータの提出が可能な仕組みを導入する必要があります。つまり電子メールの検索や抽出機能がないバックアップでは、対応が不十分といえるでしょう。

メールアーカイブの必要性

 メールアーカイブソリューションは、送受信メールを保存する技術で、アーカイブされた膨大なメールから、検索機能を利用して必要なメールをすぐに取り出せる機能です。記録したデータは改竄することができない仕組みで、監査目的などに用いられます。今回の関税法改正をうけて、輸出入に係る電子メールの保存対策として、メールアーカイブを導入する企業が急増しています。但し、関税法が適用されるメールの種類としては、企業の海外部門や購買部門など、輸出入関係の業務を行う部署に特定されることから、まずは関税法に関連する部署・担当者から、メールアーカイブの導入を行い、徐々に他部署まで展開するような、段階的な導入方法を検討している企業も多数、見受けられます。

ジャーナリングで段階的なメールアーカイブを導入

 そこでメールアーカイブの導入に有効なのが、「ジャーナリング機能」と呼ばれる、メールのコピーを作成する機能です。Microsoft ExchangeやIBM Notesなどの汎用的なメールサーバに標準で利用可能な機能で、特にメールサーバ側のジャーナリングポリシーにより、特定部署やメールアドレスだけのメール通信を記録しておくことが可能です。これにより輸出入業務に関連する部署や担当者だけのメールアーカイブを先行して導入することが可能です。

ジャーナリング構成によるメールアーカイブ導入

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ジャーナリング構成によるメールアーカイブ導入

 Barracuda Message Archiverを例にすると、ジャーナリング機能によりメールのコピーを「ジャーナルメールボックス」と呼ばれる、専用のメールボックスが受信するようにメールサーバ側で設定します。Barracuda Message Archiverはそのメールボックスに対して、POPまたはIMAPでアクセスして、メールの送受信に合わせて、ほぼリアルタイムでアーカイブすることが可能です。
 既存のメールサーバ上では、ジャーナリング機能を有効化し、ジャーナルメールボックスを新規でひとつ作成するだけなので、「メールアーカイブは必要と思ってはいたけれど、実際に本格導入するにはハードルが高い」と考えているシステム管理者様にも、容易にメールアーカイブを始める第一歩となります。

メールサーバはクラウド、メールアーカイブはオンプレミス

 さらにシステムのクラウド化が進む中、すでにメールシステムはクラウドで管理しており、自社内にサーバが存在しない企業も増えています。しかし、メールアーカイブとなると、関税法対策だけでなく、メールそのものに機密情報が含まれることが多いため、長期のメール保存対策はオンプレミスで実施したいという企業も多いです。Google Appsなどの一部のクラウド型のメールサービスでは、クラウドサービス上でもジャーナリング機能と同等機能を有し、メールサーバはクラウド、メールアーカイブはオンプレミスでの導入が可能なソリューションもあります。
 この場合についても、メールのコピーの受信専用のジャーナルメールボックスを用意します。コピーしたメールはPOPまたはIMAPを利用して、社内に設置されたメールアーカイブシステムがクラウド上にあるジャーナルメールボックスのメール受信することで、オンプレミスでのメールアーカイブの導入が可能となります。

クラウドメールシステムと、オンプレミス型のメールアーカイブの導入構成例

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クラウドメールシステムと、オンプレミス型のメールアーカイブの導入構成例

 関税法対策のメールアーカイブとして、自社のメールシステム構成に合わせて、ジャーナリング機能を利用した段階的な導入・検討をおオススメします。

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キーマンズネットとは
2008年バラクーダネットワークスジャパン株式会社に入社。シニアプリセールスエンジニアとして、企業・自治体を中心にネットワークセキュリティ・アプリケーションデリバリ・データ保護ソリューションを提案。2013年よりプロダクトマーケティングマネージャーに着任し、ソーシャルメディアマーケティングを担当。

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