第8回 ICT運用品質はどのように定義出来るのか

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第8回 ICT運用品質はどのように定義出来るのか

運用管理 2013/06/17

 ICT運用品質の把握は、従来あまり意識されておらず、コントロールもされてこなかった。しかしより正確に、より安定的な運用を目指すためには、ICTシステムの運用品質管理も重要な要素であることは自明である。

 JUASでは5年前から運用実態調査の中で、ICT運用の品質問題にも取り組んでいる。
 まず、【1】稼働に関する品質である。これはユーザニーズを基に定義されるサービス提供時間(稼働時間)とそれに付随する幾つかの指標で評価できる。
 次に、【2】運用の容易性もICTシステムの重要な運用品質になる。運用担当者にとっては、安定・安全運転を継続するため、操作ミスが起きにくく、セキュリティ問題等を未然に防ぐ仕組みがあることは大変心強い。
 更に、システムのハードやソフトウェア、オペレーションミス等の【3】障害時対策と、地震や火事、テロによる【4】災害時対策がある。これらの運用品質はすべてシステムの重要度でその深さが決まるので、一律に調査、評価ができない難しさがある。

 現在のJUASの調査方法は、上記4つの視点を幾つかの評価項目に分け、それぞれに対し、(1)目標値があり、実行されている。(2)目標値はあるが、実行不十分。(3)目標値はなく、実行もされていない。という三択回答を求めている。
 以下2013年版の調査結果を掲載する。

運用品質の実態

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運用品質の実態

 「サービス提供時間」については、大多数の企業が目標をシステム要件定義で定めており、その通りに運用しているという結果が出ている。しかし、稼働品質率の目安となる「クレーム数」は、半数の企業で目標値もないのでPDCAサイクルを回す事ができない状況におかれていると推測できる。
 次に、運用容易性を測る“4つの項目”について考察を加える。結果はほぼ(1)と(3)に回答が割れている。これはしっかり運用品質の管理をしている企業と、野放し状態の企業に分かれている事を表すが、おそらく企業の中のICTシステムの重要度の差がそうさせているのだろう。
「運用容易性」はシステムの設計段階で、その品質レベルの大半が決まることが多い。しかし本番の運用が開始された後に、設計の瑕疵対策や環境変化に対応することで、容易性が更に高まるので日常の意識が大事である。「障害対策」「災害対策」は、いずれも(1)が比較的多数ではあるが、平均的に回答がバラついている。対策が後回しになっているとすれば由々しき事である。本質的に障害原因が何であれ、システムによるサービス停止が企業の事業継続にどの程度影響するかによって、対応レベルを決めて実行しなければいけない。
 ICTシステムの運用品質は、システム基盤のアーキテクチャ設計とシステム毎の設計で決まることが多い。しかし本当にそのシステムに適した運用品質を実現するのは、本番稼働後の日々の運用業務を通じた改善意識が最終的な決め手になる。その為にICT運用の品質管理を強化することで、担当者の改善努力やその成果にスポットライトが当たるので、運用担当者のモチベーション活性化にもつながる。運用マネジメント責任者に期待したい。

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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