第7回 ICT部門は、クラウドとどのように対峙するか

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第7回 ICT部門は、クラウドとどのように対峙するか

データセンター 2013/06/10

 PCがこの世に出た時、「こんなおもちゃは企業で使えない」、UNIXが大学や研究所で使われ始めた時、「こんな不安定なOSでは基幹業務は無理」、加えてインターネットも当初は、「遅くて、セキュリティはないに等しい」という評価だった。それでもこれらは、ご存じのように今はすっかり市民権を得ている。そして今クラウドが同じ道をたどりつつある。
 以下の「図表7-1」はJUASのソフトウェアメトリックス調査で3年前から運用管理者を対象に調査した「クラウドコンピューティングの活用予想」だ。この調査結果には、“システムカテゴリ別に活用予想を聞いていること現在の活用状況と併せて5年後の活用予想も聞いているところ”に特徴がある。

 調査結果では一般に考えられているよりもクラウドを利用しているようだ。但しシステムカテゴリーの中で一部でもクラウド化している場合は、「利用している」と回答する方式なので実態より利用割合が大きい数値になっていると思われる。表にはないが、「検討中」と答えた企業の理由は「コストの安さ」が一番の動機であった。
 未検討の企業はその理由を「安全性に問題あり」、「まだ実績がない」等を挙げている。この調査で注目したいのは5年後の活用予想である。 2011年に調査した5年後の活用予想と今年度調査の5年後の活用予想では、どのシステムカテゴリーでも5から10%伸びている。年々クラウドの評価が高まり、有効性が認識され始めた証左である。この勢いが続くと10年後には大半の企業がクラウドのお世話になりそうだ。

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  この先クラウド全盛期を迎えると、ICT産業に関わっている事業者の景色は一変する。当初はクラウド事業者が急激に増え始めるが、その後は大手に集約されるだろう。サーバやストレージの製造販売事業者は淘汰され、クラウドセンターにOEM提供する存在になる可能性が高い。ERPベンダは自らのERPを武器にクラウド事業者やSaaSに変身するほかない。SIerは事業規模の大きさがもはや受注への競争優位にならず、小規模で付加価値の高い集団に分裂すると予測される。その際、企業内のICT部門、特に運用部門はどのように変化、対峙していくべきだろうか?
 まず、自社センターはなくなるので、現在のインフラ基盤の監視や維持、運行業務(オペレーション)は不要になる。また業務ソフトの領域も特別なシステムを除けば従来のシステムのマイグレーションやパッケージソフトを多用するので、開発やメンテナンスが減少する。反面ユーザへのICTコンサルテーションや支援業務が増加する。そのため今以上に外部クラウドベンダやITサービスベンダのマネジメントが重要になってくる。
 ICT部門に求められる能力は、現在の専門化したIT系のスキルから、社会人基礎力(注1)のような人間系能力がより要求されるようになる。経営者や事業部門とICTシステムとの架け橋である社内ICT人材の今後が企業の興亡の鍵を握り、より多くの活躍が期待される事は明白である。
※注1:社会人基礎力−経産省政策人材室が提唱している3つの力、12の能力要素。(詳細はこちらを参照)

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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