第6回 ICT運用部門意識と社内評価の推移

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第6回 ICT運用部門意識と社内評価の推移

開発 2013/05/30

■1960〜1970年代

 1960〜1970年代、汎用事務処理用コンピュータを管轄する部門は本社総務や経理部門の一部として始まった。
やがてコンピューターの適用業務は販売や物流等に拡がり始め、独立したEDP部門として存在するようになる。
まだシステムでなくEDP(Electronic Data Processing)と呼ばれた時代である。のちのICT部門の黎明期であるが、最先端の機器を導入し、省力化を実現してくれるという触れ込みで高度経済成長期とも重なり、経営者からも、社内ユーザからも期待される存在であった。ポテンシャルの高い人材が優先的に配属され、人員も増加の一途をたどり、将来展望が開けていたのである。

■1980年代

 1980年代に入ると、ソフトのメンテナンスや障害対応等、属人性の強い業務が災いし、人事異動が硬直化、長期滞留することにより、担当者のモチベーションが低下するという弊害が表面化してきた。加えてMIS(経営情報システム)、SIS(戦略情報システム)等の効果が見通せないシステム領域に投資を始めたことが、経営者や社内ユーザの不評を買うことになる。
 以降、日本の一般企業ではICT部門に配属されることを敬遠する風潮がみられ、外部SIerなどの台頭もあってICT部門の弱体化が始まった。

■1990年代

 1990年代から始まったオープン化等の技術変革も弱体化に拍車をかけた。中でも運用やメンテナンスを担当する部門(人)は、毎日の“地味で緊張を強いられる業務”が正当に評価される機会が少なく、トラブルが発生した時だけ注目される宿命にあった。
 その後、情報システム部門の子会社化やベンダへの売却等、企業のICT部門は、悩み多き時代に突入してしまった。この現象はどの企業も同じように進んだ訳でなく、金融や運輸等、当初から戦略性の高いシステムが必要だった企業と、社内基幹業務を中心にシステム化した企業、中堅中小企業などIT化が未熟な企業とは、幾分時間的なズレがある。

 しかし今や企業はICTを、より戦略的に、より有効に活用しなければグローバル化やダイバーシティに適応出来ない時代に入った。その為にはまず社内ICT人材を強化し、社内ICT部門のステータスを上げることが肝要である。
 その傾向を把握する為、JUASは2010年から、ICT部門が社内からどのように評価(期待)されているかを調査し、2012年は52社からの回答を得ている。図6-1に3年間の推移を示した。妥当な評価を受けていると答えた企業の割合が、右肩上がりなのは喜ばしい。
2011年、急に評価が上がっている理由は、東日本大地震の際、BCPが機能して、社内混乱を未然に防いだ事が一因との推測もある。

ICT部門が社内からどのように評価(期待)されているか

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ICT部門が社内からどのように評価(期待)されているか

 近い将来、ICT設備(含むソフトウェア)は外部から借りる方向に進む。
そうであればなおさら、企業とICTの融合を司る企業内ICT人材が強くなければならない。

 【1】

 経営者と意志疎通ができること。

 【2】

社内事業部門責任者とリスクを共有できること。

 【3】

外部のICTベンダーをマネジメントできること。

 【4】

ICTの技術動向を洞察できること。

この4つのコンピタンスは絶対に外せない。社内に育成環境がなければ外部からその人材を求めることも必要である。
社内ICT人材の強化は極めて優先度が高い経営課題である。

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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