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IT現場の道先案内人 Key Conductors

第5回 ICT運用コスト、妥当性の検証

開発 2013/05/21

  「我社の運用コストは他社と比較して妥当なのか?」企業のICT部門責任者が長年悩んできた課題である。
そもそも運用コストの妥当性を評価する時、どこに“よりどころ”を求めればよいか。経営者からは「ITは金食い虫」と揶揄され、ユーザからは「動いて当たり前」と歯牙にも掛けられない。
 ICT運用業務の地味な努力が適切に認められる日を、待ち望む関係者が如何に多いことだろうか。

 今回は、この課題に取り組んだ“JUAS 2012年ITサービスマネジメント研究会”の成果を紹介しよう。まだ途上ではあるが企業システムの運用規模をポイントで表現し、そのポイントと年間の運用コストの相関係数が0.8を超えた事が確認できた。
 この方式の正当性が証明されれば、自社のICT運用コストは他社と比較して、「どんなポジションにあるか」客観的に判断することができる。今後は更に調査対象を広げ、より多くのデータを集め、精緻な相関を求めようとしている。

  下図5-1は企業の運用規模(横軸)と実際の運用コスト(縦軸)の関係を表示している。
運用規模を表すポイントは(1)メインフレームの数×100、(2)オフコン/UNIXの数×10、(3)Win/Linuxの数×1で算出する。
仮に自社の位置が赤線より左上に位置していれば、他社の平均より高い運用コストであることを示している。(逆に右下のケースでは他社より低いコストとなる)。

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 下図5-2は他社平均と比較した結果の考え方を整理してみた。平均的なコストを上回っている理由としては、高い信頼性を要求され、運用手順等も重装備であることが考えられる。逆にシステムの運用効率が悪い可能性もある。また比較的大企業はシステム投資が許される状況で、システムの冗長度が高いので、右上に位置する傾向にあるようだ。
 この研究成果の価値は、今まで横並びで比較する事ができなかったICT運用コストを同じ土俵、同じルールで、ある程度比較できるようにしたことである。その上極めて簡易に調査ができることが素晴らしい。

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 本研究結果は2013年4月25日にJUAS研究会活動成果報告会で発表された。今後はJUASソフトウェアメトリックス調査2014(2013年秋実施予定)にて広くデータ提供を呼びかけ、この知見の精度向上、他要因との因果関係について追跡調査を行う予定である。
ぜひ調査に参加し、一度自社のポジションを試されることをお勧めする。

 企業、というより業種によってICTシステムの戦略的な位置付はかなり違っている。ICT運用コストの真の妥当性評価は、ビジネスにどう貢献しているかで決まる。まだそのレベルにはほど遠いが、他社との比較がある程度可能になるということで、ICTシステムの社内ステークホルダーに対する説得力の強化となったり、コスト最適化の目標等に利用できることは間違いない。

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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