第3回 ICT運用コストの最適化(1)一番の近道はコストの見える化

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第3回 ICT運用コストの最適化(1)一番の近道はコストの見える化

運用管理 2013/04/25

 経営者やユーザ部門責任者との相互理解を深め、納得性の高いICTコスト管理を推進するには、俗にいう「コストの見える化」が重要である。その上で経年の変化を見据え、技術動向を見定めた計画を立て、実施することが最適化の王道である。

 しかし大半の企業では、日常の運用業務やトラブルに振り回され、必要に迫られてのパッチ的なシステム対応や、緊急時の対症療法的機器の購入等が優先され、ICTシステムの適正化はほど遠い状態になっている。  
見える化はおろか棚卸しさえも実施していない企業もある。ある企業ではシステムのハード・ソフトの棚卸し結果、業務システムに組み込まれたパッケージソフトのメンテナンス料を既に利用されていないにもかかわらず、何年にも渡って払っていた事が判明したという。思い当たる読者も多いのではないか。 

■ ICT運用コストの見える化のレベルは、ICT担当部門の運用成熟度を反映する

見える化の第一ステップはICTシステム資産(ハード、ソフト)の棚卸しと、それぞれの保守契約内容を反映した年間の費用を把握し、加えて人件費やその他設備関連費用を確認することである。
この費用総額と内訳の割合等を把握すると、他社とのベンチマーク等により自社のウィークポイント等が判断できるようになる。そしてこれらの費用が新たに発生したり、変更された時、自動的に更新されるよう業務プロセスに組み込む事で経年の変化が読み取れる。

  第二ステップでは、これらの費用を業務システムと連動させることである。この時注意を要するのはインフラ(システム基盤)や業務共通の費用をどのように扱うかである。どこの企業も論理的な配賦はおそらく難しい。
現在は資源の利用割合やシステムの重要度等を勘案して人為的に決定することが正しい配賦に近いと思われる。
このレベルで見える化ができれば業務システム毎の投資対効果という視点で最適化を測る事ができる。

  さて第三ステップの見える化はどうするか。ICTコストには連鎖コストが存在する。例えば、サーバーやそのOSをバージョンアップした時、その費用だけでなくその下で動いていたパッケージソフトの買い替えや、業務ソフトの修正等が頻繁に発生する。このような連鎖の関係をときほぐしてコストを把握するのが第三ステップである。
ここまでの管理は過剰であるとの意見もある。しかし近い将来に予定されるインフラの更新やクラウドの導入判断は、目先の導入効果に惑わされてはいけない。中長期の経営計画と連動したICT中長期計画に基づいて決定されるべきものである。
その場合この第三ステップのコスト見える化は、計画作成の水先案内をつとめるだろう。是非とも見える化に挑戦してほしい。

以下の図は見える化のステップを間においた資産とコストの関係概念図である。

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  ICT運用コストの適正化は、見える化を実施すると同時に、既に明らかになっている適正化項目を睨んで改善運動を続ける必要がある。JUASは「ソフトウェアメトリックス調査2013年版」から運用費用の適正化取り組み状況を調査対象に加えた。その結果をみると、まだまだ適正化の実施は甘いと言わざるを得ない。
 次回にICT運用コストの最適化(2)として報告をする。

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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