第2回ICT運用コスト、最近の傾向〜低廉化の要因を考える

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第2回ICT運用コスト、最近の傾向〜低廉化の要因を考える

運用管理 2013/04/17

 前回(第1回)は、過去10年間の売上高に占めるIT費用比率の変化を示した。
見事なまでの減少である。この間日本のGDPはほぼ横ばいなので、乱暴な言い方ではあるが、企業の売上は増えていないと仮定すれば、比率の減少は絶対額の減少を意味する事になる(※注1)。
 更に保守運用費と呼ばれるコストは、IT総予算の70%弱(2003年当時)から53%(2012年)に下がっている。
保守運用コストに限るならば、この10年間で約1/3に減少したと言える。
 やはり一番の貢献はハードウェアの技術進歩である。

 先ずネットワークは専用回線から、VPNやインターネット利用の割合が増え急速に費用が逓減した。
そして最も影響したのはダウンサイジングと称して、汎用大型機(メインフレーム)がオープンシステムに置き換えられた事だろう。
これには単なるハードウェアの価格だけではなく、付随するソフトウェアの価格や保守料、関連サービスの価格とも連動してくるので、
結果、絶対額の減少に大きく影響する。クライアントPCの価格低下や集中購買、リース料と保守・サービスのパッケージ化等も大いに貢献している。
以下の図は、売上高100億円以上、1兆円未満の企業15社の保守運用コストの内訳である。
(JUASソフトウェアメトリックス調査2013に加筆)

売上高100億円以上、1兆円未満の企業15社の保守運用コストの内訳

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売上高100億円以上、1兆円未満の企業15社の保守運用コストの内訳

前年比較でもハードウェア費用、外部委託のハードメンテナンス費用、通信回線費用等は10%強が下がっているので、この現象はまだ継続中と判断してよい。加えて最近のサーバの仮想化技術も減少に拍車をかける一因である。更に読み取れる傾向がある。

 「前年比較で社内人件費の割合が約27%減少し、外部委託運用費の割合が約12%程度増加していること」
である。

実際の運用現場は外部委託を活用し、自らの社員は企画業務やユーザとの調整機能に携わる傾向にあることが伺われる。
このような調査は企業のICT運用現場を分析する上で、非常に有益な情報を提供してくれる。これらの活用がICTコストの最適化や次への投資判断の糸口になる。
 しかし、今後のICT利用形態はより複雑化し、このような調査や分析が難しくなる事が予想できる。
例えば、PCのリース料と保守料が一体化したパッケージサービス、昨今流行りのクラウドを利用する場合の外部委託サービス料(ハードやインフラソフト、ミドルソフト、業務ソフトやその保守料、運用人件費等すべてが包括されている)等のケースも出てきている。ICTコストの内訳が同じ土俵に乗らなくなり、調査に更なる工夫が必要とされるだろう。

 やはり、ビジネスへの貢献に直結するサービスレベルの評価値を用意して、費用対効果の測定も可能な仕組みの構築が、今後の運用業務に携わる責任者には求められている。

次回は運用レベルの評価について書いていきたい。
(※注1):この間日本のGDPは増加していないが、調査対象企業のM&Aや関連会社の合併等で、企業当たりの売上が増加している可能性がある。今回はそこまで踏み込んで確認していない。

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キーマンズネットとは
1972年株式会社CAC入社。SE、PM経験後、子会社でSI事業責任者として技術者育成、事業企画、顧客開拓を担当。1994年合併新会社株式会社シーエーシー取締役。1998年同社常務取締役。2006年政井技術士事務所開設、IT系コンサルに従事、専門分野ITアウトソーシング。JUASソフトウェアメトリックス調査検討委員

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