IT運用の将来像を考える 〜標準化と自動化の進展〜(第7回)

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IT運用の将来像を考える 〜標準化と自動化の進展〜(第7回)

運用管理 2013/04/02

今回は前回の続きとして米国での先進的な取り組みの例示を行い、最終回とする。

欧米で進むIT運用の変革

以前から、欧米のITは標準化・自動化のレベルが高いと言われてきた。ビジネスやITに対する変革に臨む際に、全体最適を念頭に置いてアーキテクチャを構想し、トップダウンで瑣末な意見を切り捨てながら突き進むという姿は、日本で多く見られるボトムアップ型で、ツギハギでITを積み上げるスタイルとは真逆である。
また、単にトップダウン型であるとか、全体アーキテクチャからスタートするとか言うことだけでなく、欧米での取り組みでは「ビジネス視点から見てITはどのようにあるべきか?」というチャレンジを果敢に行う。

ここで紹介するのは BMC ソフトウェアが、欧米で幾つかのユーザ企業と協力して試行し、最終的に昨年商品化した「My IT」というIT運用管理の機構である。残念ながら詳しい資料は翻訳されていないのだが、英語力に自信のある方はこのリンク(「My IT」)をご覧頂きたい。

ざっと概要だけ伝えると、私が過去の記事で述べたようなこと(ITサービスの自動的な配布や制御、モバイル・SNSを使ったヘルプデスクサービス等など)が、全て組み込まれている。
ユーザが利用する端末は、もはやモバイル(iPad等)が前提となっており、ユーザがあるオフィス・会議室に入ると、そこで必要なITサービス(瑣末なものではネットワークやプリンタの設定など)は自動的にモバイルに対してプロビジョニング(配布・設定)される。
また、ユーザがいる場所に合わせて参照可能なドキュメントのセキュリティも制御され、特定の場所から離れると自動的にドキュメントへのアクセスが出来なくなる。
ITサービスに関する状況(例えば特定のサービスがダウンしている等)は、リアルタイムにモバイルに通知され、リカバリも自動的に行われ、通知される。ITサービスに関して困った事があれば、モバイル・SNSから簡単に問い合わせを行う事が出来、進捗もまた自動的にモバイルに通知される。

勿論、この機構の背後ではヘルプデスクシステムやプロビジョニングシステム等を駆使した高度な自動化が行われているのは言うまでもない。

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私が、米国でこの機構に関するプレゼンテーションを受けたのは昨年の春であったが、その際、これは明らかにiPhone, iPadを参考にしていると感じた。
私達が、日常的にiPoneでアプリを利用するように、ビジネス上のITサービスにおいても、ビジネスユーザの利便性に重点をおいて、簡単に使いたいものを必要な時に使い、感覚的に使いこなし、不要になれば削除する。個人の生活上で、これほどITサービスが感覚的に、リーズナブルに利用されているのだから、「当然、ビジネス上のITもそうであった方が良いでしょう?」とシンプルに問いかけているように思われたのだ。

BMCソフトウェアは、もう30年近く運用管理のソリューションをグローバルに製造・販売してきた。ただ、過去のソリューションは運用管理者を便利にするという視点で作られてきたように見えたのだが、ここ数年、特に「My IT」では、技術開発の方向性を「ビジネスユーザにとってITサービスはどのようにあるべきか?」という視点に大きく転換したように感じている。

ITの技術を積み上げるとビジネスがどう変わるかでは無く、ビジネスユーザが快適である為には、どのような姿にIT全体として変わるべきかを考えられるか否かは、今後、ビジネス上で IT がどれだけ活用されるかに大きく影響するであろう。

冒頭で述べたような、トップダウン・全体最適・徹底的にビジネス視点でのIT戦略といったものは、日本では到底望めないという感じる方も沢山おられると思う。とあるセミナーでは、日本の組織の特徴は、「サイロ化していて横断的な意思決定が不得意である」事と「失敗を極端に恐れる」事であると述べていた。

しかし、欧米だけでなく、韓国・シンガポールを始めとするアジア圏や、中南米など急速に発展する国々・地域を見た場合に、むしろトップダウンの方がスタンダードではないだろうか?世界の常識が日本の非常識であり、日本の常識が世界の非常識であるという状態は、私達が日常で感じている以上にこれから脅威になると思う。チャレンジしなければ経験できない事、失敗を通して学ぶ事は多々あるにもかかわらず、リスクを回避し、無難に、今日と似たような明日を思い描いていても何の進歩も無い。  

世界(グローバル)では、ビジネス上での IT サービスの提供のされ方が急速に変化・進化して行く。私達、日本のIT運用管理に携わる者は如何にこれに対峙して行くのだろう。私は、読者の皆さんがITサービスの提供者として果敢に未来に向って挑戦していく事を切に願っている。

以上で、私の記事は終了である。
読者の皆さんには多くのフィードバックを頂き、心から感謝している。
第1回から第7回(今回)まで、かなり概念的なレベルで標準化や自動化について述べてきたが、読者の皆さんからは、具体的な事例をベースに詳細を知りたいという趣旨のフィードバックを多々頂いた。
そこで、次回から新たに、弊社で自動化に精通したコンサルタント(井上聡一郎)にバトンタッチし、標準化や自動化を進め方について、より具体的な記事を開始する予定である。是非、次回もご覧頂きたい。

読者の皆様、今まで本当に有難うございました。

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キーマンズネットとは
1997年BMCソフトウェア株式会社に入社。以降15年に渉り、IT運用に関する様々な領域でソリューションの提案やコンサルティング業務を行ってきました。2004年以降数年間 itSMF の分科会活動(事例研究分科会・SLA分科会・ガバナンス分科会)にも参加させて頂きました。

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