サービスマネジメントを実現するための5つのステップ(2/3)

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サービスマネジメントを実現するための5つのステップ(2/3)

運用管理 2012/12/19

ステップ3:プロセス構築の第一歩として全体的な情報の流れを整理する

弊社では、いきなり各プロセスの細部の作りこみに着手するのではなく、まずサービスのライフサイクルを通じた“情報の流れ”を整理した。例えるなら、人間の体は全ての器官が連携して機能することで健康な体を保つことができるが、例えば胃だけが元気で食べ物や飲み物をどんどん受け入れられても、小腸や大腸が栄養や水分を十分に消化吸収することができない状態だと、かえって体を壊してしまいかねない。これと同じように、サービスマネジメントでは各ライフサイクルステージのプロセスがお互いの状態を理解して連携しないと、ライフサイクル全体で一貫したサービスによる価値の提供ができなくなる。
そこで、まずサービスライフサイクル全体を通じた重要な情報を定義して、各プロセス間のインプットとアウトプットが円滑に流れるようにすることを目標にした。また、弊社ではITIL V3の全プロセスを独立して利用するのではなく、管理上の効率性を考慮し、プロセス・オーナが同一のプロセスは1つのプロセスとして利用することにした。更に、実際のサービス設計フェーズとサービス移行フェーズは、サービス開発プロジェクトとして進めるので、プロジェクト管理上の各フェーズにITILのプロセス管理で必要な活動と情報をマッピングした(図4)。

図4. サービスライフサイクルステージとプロセスおよびプロジェクト管理の相互関係 (弊社版)

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図4. サービスライフサイクルステージとプロセスおよびプロジェクト管理の相互関係 (弊社版)

ステップ4:体系的な人材開発プログラムでリーダーシップを発揮できる人を育てる

弊社では、お客様に価値を提供するための仕組みとして、ITIL V3をベースにしたサービスマネジメントシステムの構築を進めているが、その中で欠かせないのが、価値を生み出すための仕組みだけでなくお客様に価値を提供できる素養を持つ人だ。そこで、お客様に価値を提供できる素養を持つ人を、リーダーシップを発揮できる人としてとらえ、ITIL V3®や技術的なことの知識やスキルだけでなく、誠実さや責任、正直、思いやりといった人格を持ち、左脳と右脳のバランスが取れた人を育成する人材育成プログラムを作った。そして、右脳の強化として必要な人格を築くための研修として、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社が提供する「7つの習慣」を採用し、全社員に対して実施することにした(図5)。

図5. 体系的な人材育成プログラム

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図5. 体系的な人材育成プログラム

社員一人一人が「7つの習慣」を実践できるようになることで、個人でもビジネスでも長期的かつ継続的に期待通りの良い結果を出すことができるようになり、ひいては会社のミッションと企業理念を実現することができると考えている(図6)。

図6. KVH(弊社)のビジネスに関わる人全てに価値を提供する

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図6. KVH(弊社)のビジネスに関わる人全てに価値を提供する

ステップ5:コーポレート・ガバナンスへ組み込む

コーポレート・ガバナンスでは「コンプライアンス」と「事業の効率性」の2つの側面を考える必要がある。弊社ではその2つの側面をどのようにモニタリングしコントロールするべきかを考えるために、まず“監査”と“アセスメント”という2つの違った方法について整理した(表4)。

表4. 監査(Audit)とアセスメント(Assessment)の違い

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表4. 監査(Audit)とアセスメント(Assessment)の違い

その結果、「コンプライアンス」に関しては監査を、「事業の効率性」に関してはアセスメントが適していると判断し、コーポレート・ガバナンス・フレームワークに組み込むことにした(図7)。

図7. 弊社のコーポレート・ガバナンス・フレームワーク

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図7. 弊社のコーポレート・ガバナンス・フレームワーク

なお、図7の中央にある文書管理体系は、ガバナンスの目的である事業を、あるべき姿に継続的に維持するために管理すべき文書のことであり、各種基準や規程だけでなく業務プロセスや手順、記録を含めた文書体系だ。管理すべき文書を定めることにより属人的仕事を排除し、業務品質を保証することができる。コンプライアンスとしての経営者によるトップダウンの内部統制では、法律・社内規定・会社のミッションや企業理念・投資家の方針などが遵守されていることを、各種監査によりモニタリング&コントロールし、リスクを管理する。つまり、事業上必ずできていなければならないことを保証するための内部統制(コントロール)の仕組みとなる。
一方、事業の効率性に関しては、ITIL V3のプロセスをベースにして、各プロセスの有効性と効率性を管理し、アセスメントにより定量的かつ定性的にモニタリングしコントロールする。 ITIL V3®では継続的サービス改善(CSI)において、プロセスの有効性と効率性を管理することになっており、弊社ではCSIの推進機能としてサービスマネジメントオフィス(SMO)を作り、アセスメントのみならず定期的なサービスレポートによりプロセスの有効性と効率性をモニタリングし、コントロールしている。

次回は最終回(3/3)。ITIL V3をベースにしたサービスマネジメント導入の効果と、その苦労をご紹介する。

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キーマンズネットとは
KVH株式会社において、BPRやComplianceなどガバナンス強化を主要業務とし、ITILをベースにしたサービスマネジメント導入では推進役として従事。KVHの電気通信主任技術者としても責任を持つ。ITIL V2 ManagerおよびITIL V3 Expert、TIPA Lead Assessor for ITIL資格を保有。

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