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IT現場の道先案内人 Key Conductors

運用現場の課題と解決 第一回

運用管理 2012/12/12

クラウドを見据えた今、運用現場が行うべきことは?

システム運用において100点満点はなかなか無く、常に満点を目指した運用改善が求められている。現状の改善だけでも大変だが、中長期的にはクラウド到来にも備える必要もある。当面はこれまで築き上げたオンプレミス環境と、新たなクラウド環境が混在することが想定され、その両方を効率的に運用していくことが必要になる。クラウドの運用で求められる課題としては以下のことが想定される。

クラウドの運用で求められる課題

【スピード】
  - セルフポータル
  - オートプロビジョニング
  - サービスデスク(SPOC)
【安 心】
  - サービスレベル管理
  -  プロセス標準化(ライフサイクル管理)
  - 既存IT資産の活用・障害影響把握、構成管理
  - 人的ミス防止
【コスト】
  - 既存IT資産の有効利用
  - オンプレミスとの一元管理
  - リソース管理(課金管理)
  - 環境変化への順応

クラウドコンピューティングは様々な面でメリットがあるが、そのメリットを活かせるかは運用次第である。クラウドの運用には「標準化」や「自動化」が必要であるが、クラウドが本格活用されていない現時点での反応はそれほど良くない。「標準化」や「自動化」に対する運用現場の声としては、

   - 「利用者側の事情による属人的・特別運用が多く残っており、当分標準化できない。」 
   - 「標準化されているような作業は現在もそれほど負荷がかかっていないので自動化の効果が少ない。」 
   - 「そもそも対応が判っている事象なら事前に対応できる。事前に対応できない事象への業務を軽減したい。」

などがある。理想は理想であって、運用現場の悩みや課題はより現実的なところにある。日々の業務が忙しくて将来の事まで考えられない状況もある。また、現状のままクラウドに突入してもそれなりに運用できると考えられている部分もある。一方で、クラウドの本格活用が進むと現状のままでは対応できない課題認識もある。

運用現場が追求していること

実際に運用の問題をヒアリングしてみると以下のような課題が挙げられた。これらはすぐにでも解決していきたい事ではあるが、クラウドを見据えて一つずつ根気強く取り組んでいく必要がある。特にコミュニケーションについての課題は根深いものがあり、今後関係者が増えていくと属人的な運用が破綻する恐れもある。

■業務や技術の問題

  - 定常業務に加え、緊急の依頼が多い 
  - 日々の業務に追われて、反省や改善ができていない
  - 忙しい時と暇な時の差が激しい
  - テープ交換や手作業がたくさんある
  - 覚えるべき技術やツールが多い

■ドキュメント・手順書整備の問題

  - 運用手順がしっかり定義されておらず対応が不明
  - ドキュメントが更新されておらず、情報が陳腐化している
  - ドキュメントの書き方や文言がバラバラ

■モチベーションやコストの問題

  - モチベーション維持がたいへん
  - コスト削減がなかなかできない
  - 課題認識の度合いがバラバラ

■情報・ノウハウ共有の問題

  - 開発からゴリ押しされた特殊運用は特定の人しか判らない
  - 役割が明確になっておらず、タスクが放置される
  - 運用のノウハウが蓄積できていない
  - パートナーが多くてノウハウが貯まらない
  - パートナー社員は雇い主に改善依頼を言いにくい
  - 電話でのやりとりでは細かな間違いが発生する
  - メールでのやりとりでは真意が伝わらない
  - 過去の履歴が管理しきれない
  - 現場の教育ができていない

立場によって異なる運用改善テーマ

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 これらの課題を集めてみると、運用の課題といってもひと括りには出来ず状況や立場によってまちまちであることが判る。これらを「運用責任者」「チームリーダー」「現場担当」の3つの立場に分けて整理してみると以下のテーマが見えてくる。
■運用責任者 : 全体を把握したい

  - システムが複雑化していて把握しにくい
  - 顧客や社内利用者にITサービスを見える形で提供したい
  - 継続的に改善するための指標を設定したい

■チームリーダー : 運用プロセスを整備したい

  - 開発と運用の対応範囲が不明確で調整が大変
  - 無駄な作業が多く、業務負荷が減らない
  - 運用手順が煩雑で管理しきれない

■現場担当 : ミスを無くしたい

  - 運用手順を間違いなく確実に実行したい
  - 平均スキルを上げたい
  - 現場で感じたヒヤリ、ハットを今後に活かしたい

次回以降、この3つの立場にごとに現場の課題と解決について解説していく。

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インソースシステムにおける運用改善が専門。2006年より統合運用管理ツールSenju Familyの企画を担当。システム運用現場が嬉しいことを追求し、現場の視点に徹したツール提供やプロセス改善、人材育成支援を行っている。 ITIL Expert(V3)

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