ウォルマートも導入に乗り出したブロックチェーンは何がうま味か

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ウォルマートも導入に乗り出すブロックチェーンは何がうま味か

基幹系システム 2017/09/13

 日本IBMはブロックチェーンを使ったネットワークシステムの構築および運用のためのマネージドプラットフォームである「Blockchain Platform」の提供を2017年10月から開始する。    

 Blockchain Platformは、Linux Foundationの下でオープンソースソフトウェアとして開発されているブロックチェーン実装の1つである「Hyperledger Fabric 1.0」をベースにしたPaaSであり、IBM Cloudのフルマネージドサービスとして提供される。PaaSのバックエンドには、「Secure Service Container」機能などのセキュリティ機能を実装したメインフレーム機「z Systems」と、z Systems専用のLinux OSである「LinuxONE」を採用する。

 IBM Blockchain Platformでは、いままで「IBM Blockchain β」として提供してきたブロックチェーン実装の基本要素である「分散台帳」「スマートコントラクト」「合意形成」や「暗号技術」に加え、アプリケーション開発環境「Hyperledger Composer」や「コンソーシアム型のブロックチェーンネットワークの形成と運営を支援するツール群」を含む。
 
  実証実験向けの「エントリー・プラン」は実証実験向けで、1時間あたり52.5円程度で利用できる。複数メンバーによるコンソーシアム運用などの機能は含まれない。      

 本番業務向け「エンタープライズ・プラン」では、コンセンサスやオーダリングなどの機能を含むコンソーシアム型のブロックチェーンネットワーク管理ができる。ピア課金とメンバー単位の基本料金が必要だが、およその目安として、シングルテナントでの利用ならばトータルで1カ月あたり30万円程度だという。    

 この他、より高い性能要件やセキュリティ要件に対応する規制業種向けの「エンタープライズ・プラス・プラン」も2017年中のリリースを予定している(価格は未定)。ブロックチェーンは、分散処理や暗号化などの技術を利用することで、低コストでトレーサビリティーを保ちながら、データの改ざんを防止できる。こうした特性は金融取引以外でも有効だ。    

 Hyperledger Projectの成果をビジネスに生かそうという考えは、日立製作所や富士通などの日本企業でも盛んだが、日本IBMとしては、グローバルでの導入実績を基に、アセットやノウハウを活用して短期間で構築できる点、バックエンドにハイエンドミッションクリティカル系システムでの実績が多いz Systemsを使い、セキュリティを強化した独自のLinux環境が利用できる点などを強みとしていく考えだ。

ブロックチェーンはどの業界で、どう使えるのか、日本市場の注力分野は3つ

 日本IBM 執行役員 インダストリー・ソリューション事業開発担当 鶴田規久氏は、ブロックチェーン技術を「新たなインダストリー・プラットフォーム」と説明する。

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日本IBM 執行役員 鶴田規久氏

 従来、「各業界が個別に情報を持ち、それらを随時照合する」という、業界に閉じた情報を膨大な手間をかけて連携してきたが、ここにブロックチェーンネットワークを活用することで、データの健全性を保ち、権限などのコントロールを行いながら、産業横断での情報照合や契約、取引を効率化できるためだ。

 システムをネットワークとして持つことで、企業や業界ごとに重厚長大な「台帳システム」を抱えなくても、信頼性や権限管理ができ、情報の参照や紹介に掛かるシステム開発や運用のコスト負担も低減できる。

従来型の取引とブロックチェーンを使った取引の実装の違い

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従来型の取引とブロックチェーンを使った取引の実装の違い

 こうしたことから、ブロックチェーン技術には多くの企業が関心を寄せているが、日本IBMでは、特に2018年までに、(1)グローバルでの貿易を含むサプライチェーン管理(SCM)、(2)地方創生、(3)公共サービスの3つの領域での展開に注力する計画だ。   

 「ドバイやシンガポールなどでは既に貿易取引でのブロックチェーン活用を推進、『Global Trade Digitalization』を構築している。日本IBMであれば、そのアセットを日本国内でもすぐに活用できる。ペーパーレス化やトレードプロセスの可視化も可能になる。地方創生に関していえば、地銀を中心に11の金融機関が参加するブロックチェーン活用コンソーシアムでは地域通貨の実証実験などの取り組みも進んでいる」(鶴田氏)

 公共サービスについても、内閣府がまとめた『未来投資戦略2017』で「革新的電子行政の実現」が提言されており、ブロックチェーンを行政・公共サービスの基盤とするトレンドが生まれつつある。これについては、「例えば法人登記、不動産登記、医療情報管理などの領域でブロックチェーン基盤を活用できると考えている」(鶴田氏)という。

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食品、ソフトウェアのトレーサビリティでも検証が進む

 同社の最初の注力領域は上記3つだが、実際には他の業界からの問い合わせも多いようだ。

 日本IBM 執行役員 サーバー・システム事業部長 浅海 孝氏は「トレーサビリティーが求められる業界であればブロックチェーンの特性が生きる」として、食品や組み立て加工系の製造業における部材およびソフトウェア管理でも有効であると語る。  

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日本IBM 浅海 孝氏

 「実際にある大手自動車メーカー様では、ソフトウェア管理とトレーサビリティー確保にBlockchain Platformの採用を検討している。複数の組織をまたぐ大規模なソフトウェア開発も、追跡しやすく改ざんしにくいというブロックチェーンの特性が生きる領域の1つ」(浅海氏)

 この他、食品分野では北米ではウォルマートを中心に、ドールやネスレなどの複数の大手食品メーカーが参加する食品トレーサビリティのための大規模なブロックチェーンコンソーシアムの実験をIBMと共同で進めている。食品に何らかの問題が発生した際の原因究明にかかる時間を削減でき、また、厳密な追跡が可能になることが期待されている。

ブロックチェーンデザインパターンなどのナレッジも展開中

 ブロックチェーン技術は、Hyperledgerプロジェクトの開発が進展したことで、ようやく仮想通貨ブームの影響を脱し、多様な業界で具体的な導入検証が進展している段階といえる。

 このように新しい技術を展開する際には、実証実験やPoCに取り組むにせよ、本稼働を目指した開発を進めるにせよ、実装をになう技術者がどれだけそろっているかが課題だ。

 これについて、鶴田氏は、「大手を含め、関心のある開発パートナーは多く、現在は技術者の育成を進めている段階」と説明する。技術者コミュニティーではブロックチェーン特有のデザインパターンなどの情報交換を進め、知見を広めているという。

 同社では前述の通り、コンソーシアム型のブロックチェーンプラットフォームをPaaSで提供、検証環境の立ち上げから実運用までを効率よく展開できる環境を低価格で提供することに加え、同プラットフォームの技術者を育成していくことで、「2020年には国内ブロックチェーン市場の半分程度のシェアを目指す」(鶴田氏)としている。

(キーマンズネット編集部:原田)

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