東急電鉄の遅延トラブル対処にBoxが採用された理由

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発生する電車遅延、乗客からの問い合わせ殺到……
東急電鉄の遅延トラブル対処にBoxが採用された理由

ストレージ 2017/09/13

 情報共有に悩む職場は多い。特に本社と支社、あるいは現場などが遠隔地にある場合、タイムリーな情報共有は難しいもの。

 東京都と神奈川県で鉄道事業を展開する東京急行電鉄(以下、東急電鉄)も以前はそんな課題を抱える企業の1つだった。同社は事故や設備故障などのトラブルが起きた際、関係各所での情報伝達が非効率なことから、乗客だけでなく現場の従業員にも多大なストレスを与え続けていたという。同社がモバイル端末とクラウドストレージを使って解決したその軌跡を紹介しよう。

トラブル時の連絡手段が古く、非効率的だった

 東急電鉄は、鉄道や不動産、リテール事業など幅広い業務を手掛ける「東急グループ」の中核企業。渋谷と中央林間を結ぶ東急田園都市線、渋谷と横浜を結ぶ東急東横線などを運営しており、首都圏に住む人々にはおなじみの企業だ。また、「渋谷ヒカリエ」に代表される不動産事業などでも広く知られている。    

 東急電鉄ではここ数年、ITを活用して顧客に情報を届け、満足度を高める取り組みに積極的だ。その象徴が、スマートフォン向けアプリの「東急線アプリ」だろう。電車のダイヤが乱れ気味な時でも、目的地までのリアルな所要時間を確認できる「駅間time」や、駅ホームなどの混み具合を映像で見られる「駅視-vision」などの機能を搭載(駅視-vision は2017年8月時点で69駅にて展開中)。全ての情報を包み隠さず届けることで顧客の役に立とうというのが、同社の基本的な姿勢だ。    

 これに対し、「社内向けのIT活用、特に現場での情報共有は遅れていた」というのが、鉄道の電気施設の新設、改良、保守管理を担当する電気部に所属し、計画立案を手掛ける「計画課」で課長を務める矢澤史郎氏の見立てだ。特に、大きな遅延や運行停止などのトラブルが起きた時は、その課題があらわになっていたという。    

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東京急行電鉄 鉄道事業本部 電気部 計画課長 矢澤史郎氏

 「設備故障などが発生した場合、まずは電気部の技術員が現場に駆け付け、本社にある電気部のオフィスに状況を報告します。そして、本社と現場が連絡を取りながら、原因究明、復旧作業を進めていくわけです。同時に、電車の運行をつかさどる『運輸司令所』にも状況を伝え、電車を動かしながら復旧するのか、それとも、一度全ての電車を止めて復旧をする必要があるのかを関係各所と調整、判断しながら、対処を進めていきます」(矢澤氏)    


 従来、同社はこうした連絡に電話を使っていた。しかし、口頭の連絡だけで状況を的確に伝えるのが難しい場合は、技術員が画像や映像を撮影して本社に送信する必要があり、最寄りの事務所に移動して画像や映像をPCに取り込み、ファイルサーバにアップロードするしか方法がなかったという。手間がかかる上に対応が遅れ、復旧までの時間が長びく状況になっていた。またこれに加え駅や他部門からは「状況はどうなっている」「いつ頃復旧しそうか」などの問い合わせも殺到。これらへの対応も電話で行っていたため、トラブル時、現場にのしかかる負担は大変大きかったという。

 「当時は駅などでお客さまの対応を行う駅係員にも、重い負担をかけていました。スマホとSNSなどを使ってリアルタイムに情報を得るお客さまもいる一方で、駅係員は駅務室で流れる旅客情報(無線)などから断続的に得られる情報しか入っていませんでした。つまり、状況説明を求めるお客さまより、対応にあたる駅員の方が『情報弱者』に陥っていたわけです。われわれ電気部としては、こうした状況を何とか改善したいと、以前から思っていたのです」(矢澤氏)

トラブル対応力向上を目指して社内を説得

 以前は各部署が独自に集めた時系列情報を部署ごとに設置されるホワイトボードに書き込むなどして状況を把握していた。しかし、それでは余分な手間が多すぎる。そこで同社が模索したのが、iPhoneやiPadなどのiOS端末を使って情報共有を行うことだった。現場と電気部とのやりとりをiOS端末上で行い、その場で状況を可視化、そして、その状況を他部門のスタッフも確認できるようにすることで、情報共有をスムーズにしようというものだった。    

 「他の鉄道会社の中には、自前でシステム開発し、情報共有を行っているところもあります。しかし当社の場合は、そこまでの予算・人的リソースをつぎ込む余裕がありませんでした。そこで、既存のサービスとiOS端末を組み合わせる道を選択。その中から浮上してきたのが、クラウドストレージサービスの『Box』でした。当社のグループ企業でケーブルテレビ事業を行う『イッツ・コミュニケーションズ』が二次代理店を務めている縁で、2015年の9月頃にBoxの存在を知りました」(矢澤氏)    

 Boxは多彩なファイルをクラウドに保存できる他、スマートフォンで撮影した画像をすぐにオンライン上で保存・共有できる「Box Capture」、複数のメンバーでメモを共有できる「Box Notes」などの機能を持つ。モバイルアプリをiOS端末にインストールし、技術員や駅係員などに配布すれば、スピーディーな情報共有が可能になると分かった。そこで矢澤氏は約1カ月と短期間のうちに社内を説得、2015年11月には導入を決めたのだ。    

 実は当時、東急電鉄のイントラネットでは、Microsoftの「Office 365」が稼働。情報システム部門は「OneDrive」を全社的に導入しようと検討していた時期だったという。そのため、矢澤氏の部門でもOneDriveの利用をまず検討した。しかし、全社的なプロジェクトとして進行している分、導入に至るまで時間がかかるのが難点だったという。  

 「2015年、われわれは大きなトラブルをいくつか経験しました。7月にはゲリラ豪雨で渋谷駅の一部が水浸しに、8月には電気トラブルで東横線・目黒線・多摩川線がストップしたこともありました。そのたびにお客さまにご迷惑をおかけしたので、一刻も早く現場のオペレーションを改善したいという思いが強かったのです。iOS端末+Boxという改善策なら、すぐにでも導入してお客さまの役に立てる。そう考え、社内を説得しました」(矢澤氏)

狙い通り、トラブル時の情報共有がスムーズにできた

 Boxの導入により、トラブル時の情報共有はとてもスムーズになった。その情報共有のフローについて、同社佐藤智仁氏は次のように話す。

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東京急行電鉄 鉄道事業部 電気部 計画課 佐藤智仁氏


 「先に述べたように、現場に出向いた技術員が故障箇所の写真・映像を電気部に送る際、以前は最寄りの事務所などに移動してPCに取り込む必要がありました。ところが、iOS端末からBox Captureを使えば、現場に居ながらにして、すぐに写真や動画を共有できます。これにより、各部署での情報収集の手間が省け、トラブル時の対応時間はかなり短縮できました。また、現場での対応内容や本社から現場への指示などは、『Box Notes』を使って行うように改めました。


 その手順としては、あらかじめ決められたフォーマットに、各担当者が記入していく形をとり、その流れを他部門のスタッフでも確認できるようにしたのです(下写真参照)。その結果、他部門などから電気部に寄せられる問い合わせの数は、劇的に少なくなりました」(佐藤氏)

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