急成長のSmartHRはなぜ入退室管理にスマートロックを選んだか

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急成長の「SmartHR」はなぜ入退室管理にスマートロックを選んだか

物理セキュリティ 2017/06/14

 もしかすると「物理的な鍵」は、管理が煩雑で、時として巨大なリスクになったり、入退出管理システム全てに影響する面倒な存在だったりするのかもしれない――。近年、スマートフォンや「Suica」などのICカードを使って施錠・解錠ができる「スマートロック」がにわかに注目を集めている。「ただの施錠アプリ」「スマホがあるから、取りあえずやってみた」というわけではなく、入退出管理や従業員管理、オフィスセキュリティの仕組みを大きく変えるポテンシャルを持っているようだ。

ISMS認証に向けてスマートな入退室管理を探す

 社会保険や雇用保険の手続きを自動化するクラウドサービス「SmartHR」を展開するSmartHR(旧KUHU)。「テクノロジーと創意工夫で社会構造をハックする」をモットーに2013年に創業した同社は、面倒な労務管理をシンプルに自動化できるユニークさが受け、クラウド労務サービス分野をけん引する企業に成長している。キーマンズネットでも、導入企業の事例を紹介した

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SmartHRは複数のスタートアップコンテスト、ピッチイベントなどで高く評価されている

 急成長を続ける同社が抱えていた課題の1つが「セキュリティ認証の取得に伴う入退室の管理」だった。同社では、早い段階からセキュリティ認証の1つであるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム、ISO/IEC 27001、JIS Q 27001)認証の取得を目指していた。こうした認証を取得していることを示せると、新規取引先との事前確認などの行程が効率化できるため、事業を成長させる上で、各種認証の取得は必須だったという。    

 例えばISMS認証では、取得要件の1つとして、オフィス内で機密性の高い情報を扱うエリアを特定し、そのエリアへの入退室を適切に記録することが求められる。    

 ISMS認証では一律の基準があるわけではなく、入退室を記録すればよいので、もっとも原始的な方法はであれば、「誰がいつ入室したか」をあとから確認できるよう、紙に記録すれば十分ではある。実際には、タイムカードへの印字やICカードの履歴を使った管理方法も多いだろう。この他、サーバ上に電子データとして記録を保管することもできる。SmartHRのカスタマーサクセス担当執行役員である高橋昌臣氏は、当時の様子をこう振り返る。
 
 「会社を設立してすぐに人員が3人から7人へと増え、1年もたたないうちに数十人規模に拡大することが見込まれました。人員が増えると入退室管理の負担は大きくなります。ISMS認証に対応していながら、紙やICカードに代わるもっとスマートな入退室管理ができないか検討しました。そんななか出会ったのが『Akerun』です」(高橋氏)

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SmartHR カスタマーサクセス担当執行役員 高橋昌臣氏

「検討1日、設置1時間」誰もが使えるスマートロック

 Akerunはスマートフォンなどのデバイスを使ってスマートロックを実現する企業向けクラウドサービスだ。オフィスドアの鍵穴部分に専用機器を設置し、スマートフォンのBluetooth/NFCを使って非接触で施錠/解錠ができる。誰がいつ解錠したかといった記録はクラウド上に保存され、担当者がいつでも確認することができる。    

 高橋氏は、米国を中心にスマートロックの機器やサービスが提供され始めていたことは知っていた。日本でもいくつか同種のサービスがあり、そのなかで企業向けとして唯一提供されていたのがAkerunだった。詳しく調べてみると、すでに多数の実績があり、さらにISMS認証にも対応していることが分かった。高橋氏は、見つけたときの印象について、こう話す。    

 「企業向けということで、入退室管理に必要な情報は全て取得できるし、管理画面も用意されていて、簡単に状況を確認することができました。ISMS認証に対応していることもWeb上にはっきりと明示されていたので安心感がありましたね。何より、スマートロックをクラウドサービスとして提供することに同じベンチャー企業として親近感を感じました」(高橋氏)    
 
 Akerunを見つけてから採用を決めるまでには1日もかからなかったという。実際に導入したのは2016年1月で、設置作業には1時間もかからなかった。機器を取り付け、サービスアカウントを開設すれば、数時間後には、誰でも普通にドアを開けてオフィスに入ることができるようになっていた。    

 「新人が入ったときも『Akerun使っているからこれで入って』とメールしておけば、アプリをダウンロードして自分のアカウントで入室できます。使い方を聞かれることの方が珍しいくらいです」と高橋氏は語る。

Akerunとは?

 ここで、同社が選択したのが、フォトンシスが開発・販売するスマートロック「Akerun Pro」だ。スマートロックとは、一般にはスマートフォンなどでソフトウェア的に操作できる鍵のことを指す。Akerunではスマートフォンアプリの他、交通系のICカードのような手持ちのNFC対応ICカードを鍵にすることもできる。このため、物理的な鍵の配布や専用ICカードの配布による入退出管理と比べて、導入工数や費用ともに手軽だ。    

 ソフトウェア的に管理できることから、関係者の出入りが多かったり人員が増えたりしても管理の手間が掛からず、総務人事に関わる業務を効率化できる利点もある。「退職者や紛失した鍵では確実に入室できないようにする」といった操作も管理ポータルから設定できるので、確実性が高く、安全と考えられる。    

 スマートロックにはAkerun Proの他、同じくフォトンシスが個人向けに販売する「Akerun」や、「Qrio Smart Lock」「Ninja Lock」「August Smart Lock」といった製品もある。    

 高橋氏によると、企業の入退出管理体制を強化する意味合いで考えたときに、管理者が遠隔で施錠できたり、一定時間開場されると自動的に施錠されたりといった機能面で、求める要件にマッチしたのが「Akerun Pro」だったのだという。    

 「ISMSなどのセキュリティ認証取得を前提にしていたので、比較するまでもなくAkerunに決めました」(高橋氏) 

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実際のAkerun Pro本体の設置 一般的なドアの鍵シリンダ部分にかぶせて設置するだけで使える
Akerun Pro本体の製品仕様

付属品 

電池(CR123A) ×8、ドアセンサー、スペーサー ×2、予備用両面テープセット

サイズ

W53.8 ☓ H172 ☓ D56mm

本体質量

約500g

バッテリー

・1日100回の利用で半年程度: CR123A( リチウム電池 )x8の場合
・無限: Akerun Pro専用ACアダプター/4mケーブル( 別売 )の場合

動作環境温度

-10〜50゜C、湿度20〜80%(結露無きこと)

対応デバイス

・iOS8以上のiPhone/iPod/iPad              
・Android5.0以上のスマートフォン              
・Apple Watch              
・Android Wear              
・PC/タブレット/フィーチャーフォン              
・NFC Reader(Akerun Proセット)

Connectivity

Bluetooth Low Energy(Bluetooth 4.0)

オプション製品

・Akerun Proスペーサー
・Akerun NFC Card              
・Akerun Pro専用ACアダプター

審査担当者も納得、スムーズに進んだISMS認証

 同社がISMS認証を取得したのはAkerun設置から2カ月後の2016年3月。認証取得にあたっては、認証事業者が企業を訪問して審査を行う。審査では、入退室管理を行うための仕組みや、紙などへの記録状況を担当者が実施状況を1つずつ確認していくことになる。    

 高橋氏もその審査に立ち会ったが、Akerunがどのような機器で構成されているか、クラウド上の管理データがどう管理されているかなどを、PCの画面を見せながら説明すると、すんなりと調査が進んだという。    

 「認証事業者の担当者はスマートロックという仕組みをすでに知っていたので、説明はスムーズに進みました。Akerunについても知っていたので『Akerunいう仕組みを使っています』と伝えるだけで『では画面を見せてください』という話になり、そこで管理状況を説明するだけで済みました。ISMS認証の中でも入退室管理に関わる部分の確認は10分も掛かっていないと思います」(高橋氏)    

 SmartHRの現在のオフィスでは、オフィス入り口のドアから社員が作業する執務スペースまでに仕切りを置かない開放的なデザインを採用している。会議室や休憩室などにもドアを介さずに移動することができ、どこからでもオフィス空間を見渡すことができる。    

 ISMSの観点からみると、機密性の高い情報が1つのエリアで管理されているということになる。    

 「こうしたフロアデザインであれば、オフィス入り口のドアで入退室管理を行えば済みます。というのも、顧客データなどの機密性の高いデータをローカルサーバやPCには保管しないポリシーを徹底したことで、入退室管理をシンプルに対応できます」(高橋氏)

スモールスタートだからこそ、入退出管理の運用効率を高める

 スマートロックというと「単に物理的な鍵が電子的な鍵と置き換わっただけ」と考えがちだ。もちろん、ジャラジャラと複数の鍵を持ち歩く必要がないといった電子ならではのメリットはあるが、それだけではない。鍵がアナログからデジタルに代わることで、運用の在り方が根本から変わるのだ。    

 高橋氏は、いちばんのメリットとして「鍵の発行/再発行の手間が劇的に減ること」を挙げる。鍵やICカードの場合、新人の入社に合わせて合鍵を作って物理的に配布する必要がある。これに対し、Akerunの場合でいうと、アカウントを作成して、招待のメッセージを送るだけでいい。    

 鍵やICカードをなくした場合も、改めて合鍵を作成した手渡す必要があるが、Akerunでは個人がスマートフォンをなくした場合も、リモートから鍵を消去したり、そのアカウント入室を禁止したりするだけで済む。    

 高橋氏は「SmartHRの事業が好調なこともあり、月に1〜2人のペースでスタッフが増えています。それでも管理に掛かる負荷はほとんどありません。もちろん、ISMSに伴う紙の管理が必要ないことも効率化の要因」と、その効果を説明する。

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全てのスタッフの入退出の記録をクラウドポータルで一元的に把握できる
(資料提供:フォトンシス)

 高橋氏は2つ目のメリットとして「鍵の配布状況をクラウド上で一元的に管理できること」を挙げる。「Akerunでは『誰にどんな権限の鍵を配布して、誰が使っているか』までを簡単に把握できます。物理的な鍵でありがちな『誰に渡したかが把握できなくなる』といった手続きのミスによるリスクが排除できます」と高橋氏。    

 これが特に効果を発揮するのは、退職や異動が起こった場合だ。退職者のアカウントを無効化し忘れると、そこがセキュリティ的な穴となる場合がある。Akerunならリモートから鍵を無効にするだけで済む。また、複数の拠点でも同じ仕組みを利用できるので、拠点をまたいで異動した場合も鍵の設定変更を行う必要がない。

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一括登録などの機能も充実
(資料提供:フォトンシス)

AD連携やAPI連携などの機能拡張に期待

 事業拡大中の同社では、もう1つ、スマートキーの魅力を語る。人員規模の変動に応じてオフィスを変えていく場合でも、ICカード型の施錠システムなどを持つ、賃料の高いオフィスビルでなくても、サービス運営の信頼性を守る環境を獲得できる点だ。 

 実際、同社ではオフィスの移転を経験しているが、既存の装置(Akerun)を取り外して、そのまま新しいオフィスの出入り口に設置し直しただけで済んだという。拠点を移動してもユーザーアカウントに変更はないため、移転に影響を受けず、利用できる点も評価する。実際、同社では現在の新オフィスに引越しする際に、既存の機器とユーザー情報をそのまま引き継いで利用している。    

 ユーザー管理に関していえば、Active Directory(AD)連携やAPI連携に期待しているという。  

 「新規にアカウントを作成したときにADと連携して、Akerunのユーザーを自動で作成できたりすると便利に使えます。さらにAPIを使ってわれわれのSmartHRとも連携すれば、異動に伴う鍵の管理と、社会保険や雇用保険の手続きを一緒に行うといったことができるようになります」(高橋氏)    

 こうした連携が可能になってくると、AkerunとSmartHRのクラウドサービスとしての魅力もさらに向上するはずだ。注目ベンチャーとして市場を切り開いている両者の今後に期待したい。

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オフィスエントランスで。この対面に執務エリア全体の出入り口となるドアがある

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