3つのボタンで「社員の気持ち」を見える化

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

3つのボタンで「社員の気持ち」を見える化する

2016/06/06

 労働には良くも悪くもストレスが付きものだ。適度なストレスは「やる気向上」につながるが、過度なストレスは「心の病」へとつながる。特に情報通信業は「メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者がいる割合」が31.2%と高い値を記録している(厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」)。


 2015年12月から「ストレスチェック制度」が始まり、多くの企業が従業員の「心のケア」をどのように行うかを模索している。キーポート・ソリューションズは、ITを使って「社員の気持ち」を見える化するモチベーションマネジメントサービス「Willysm(ウィリズム)」を開発。導入企業では生産性の向上と離職率の低減に効果が出ているという。森田昇社長に聞いた。

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株式会社キーポート・ソリューションズ

代表取締役社長
森田 昇 氏

なぜ従業員のモチベーション・マネジメントが必要なのか

Question

 Willysmのような「モチベーション・マネジメント」の仕組みを作ることとなったきっかけを教えてください。

Answer

森田 昇 氏

 大きく分けて2つあります。私が三菱総合研究所の研究員だった時代に、当時の経済通産省工業技術院において人間感覚計測技術の開発をするプロジェクトに係っていた時がありました。そのプロジェクトで痛感したことは、生活者が日々様々なストレスに晒されており、個人のメンタルの状態が生活の質や仕事の生産性に大きく影響するということです。

 もう1つは、われわれIT業界のメンタル面への課題です。この業界は成長産業として期待され、需要が大きいにも関わらず、恒常的に人材不足に悩む企業が大多数です。それだけに現状の従事者の負荷が大きくなる傾向があり、他の産業に比較してストレスに晒されることが多いような気がします。いま頑張っている人たちの気持ちが前向きになり生産性が高くなるような仕組みが、ワークスタイルの改善も含めて今後の企業経営には欠かせないと思ったこともWillysm開発の理由です。

 ハーバード大学のショーン・エイカー氏は、ストレス社会において「ポジティブな脳になる方法がある」といいます。ポジティブな気持ちのときの生産性は、ネガティブな気持ちのときの生産性よりも31%も高いのです。



 気持ちで生産性が上がるのであれば、気持ちを高めればいいのでは――ここにヒントを得て「Willysm(ウィリズム)」を作りました。自分の気持ちを記録し、可視化することで生産性を上げることを目指したのです。


図1 Willysmの機能はとてもシンプルだ。従業員は自身の気分に応じて画面上の「3色のボタン」のいずれかを押すだけ。この結果を部門ごとにマップ化することで企業の健康度が分かる

Question

 Willysmではどのようなことができるのでしょうか。

Answer

 Willysmはバイオリズムのように上下する「気持ち」や「ポジティブさ」を可視化します。具体的には、毎日17時(標準設定の場合)になると、従業員のPCにインストールしたプログラムがポップアップします。画面上には3色のボタンが表示されていますので、その日の気分に応じて「Excellent(青)」なのか、「Well Done(黄)」なのか、はたまた「Not So Good(赤)」なのかを押してもらいます。

 これだけでは単なる記録の可視化だけなので前向きな気持ちにはなれません。1つ特徴的なのは「今日感じた3つの幸せ」を文章で書き残してもらうことです。「仕事がうまくいった」とか「昼食がおいしかった」とか、その内容は些細なことでも何でも構いません。これが意外と難しくて、最初は面倒くさいなと思うのですが、1カ月くらい続けていくと脳がダマされるといいますか、ものごとをポジティブにとらえようというクセが付き、気持ちが徐々に前向きになるのです。なお、「今日感じた3つの幸せ」は本人以外は見られないようになっています。

 もう1つ、同僚に何かをしてもらった感謝の気持ちを送信する「メッセージギフト」機能もあります。こちらも当人同士のみでしか見られないもので、上司がのぞき見するようなことはできません。

Question

 実際に導入した企業では、どのような効果がありましたか。

Answer

 Willysmは、神奈川県にある社会福祉法人三浦市社会福祉協議会を始め、さまざまな企業での導入が進んでいます。真面目に毎日入力し続けている人にヒアリングをしてみると、考え方がポジティブになったという自覚が出てきたそうです。もちろん、入力をサボる人がいます。例えば、気持ちが「Excellent」な日は入力するものの、そうでない日は入力しないという人や、休日は入力しなくてもいいのに「Excellent」だと入力する人もいます。このような反応の違いそのものが従業員からのメッセージだと解釈できるでしょう。


図2 従業員の気持ちを「ウィルマップ」の形で視覚化する

Question

 Willysmの利用を定着させるコツがあるとすれば、それは何でしょうか。

Answer

 従業員自身に「メリットがあるな」と感じさせることが重要です。しかし、これは「入力し続けること」でしか実感できません。どうしても最初は「入力がめんどうだ」「余計な作業が増えた」という拒否反応があります。その一方で、着実に入力し始める従業員も一定数います。利用者が増えるまでは、管理職側からの声かけなど地道な努力が必要でしょう。当社の場合、週次の管理職のミーティングで「ウィルマップ」を共有し、「赤」入力が連続しているような従業員のケアを早めに行っており、結果的にコミュニケーションの活性化や離職率改善に寄与しています。


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経営層が意識すべき「プレゼンティーイズム」というコスト

Question

 経営層がWillysmに望むものは何でしょうか。

Answer

 マネジメント層には自社組織の従業員の気持ちを見てみたいというニーズは非常に強くみられます。例えば、「赤」を連続で記録している従業員がいれば、何らかの事情でストレスがたまっているのだと分かります。未入力の人は、もしかしたら「赤」を超えるようなストレスを感じているのかもしれません。マネジメント層は一元的に可視化、数値化されたウィルマップを見て、これまでになかった新しい「コミュニケーションのきっかけ」にすることが可能です。

 また、部署単位でウィルマップを比較できます。例えば、当社の場合、ある時期だけメンバーが「赤」ばかりになっていた部署がありました。ちょうどその時期、ちょっとした問題が浮上していて対応に追われていたのです。こういった会社の“健康状況”なども見えてきます。

 さらに、ウィルマップは部署内の職位に応じたソートも可能です。ある部署はリーダーが「赤」なのにチームメンバーは「青」でした。予算作成や来期の方針決めなどの上層部でしかできない仕事が詰まっていたのか、それとも業務分担がうまくできずにリーダーが仕事を抱え込んでしまっているのかなどの気付きになります。反対にリーダーは「青」が多いのに、部下は「赤」が連続しているのであれば、それは従業員からの何らかのメッセージかもしれません。


図3 Willysm導入で期待される効果

Question

 ストレスチェック義務化が施行されるなど、「心のケア」に注目が集まります。Willysmを活用することでどのようなメリットがありますか。

Answer

 「アブセンティーイズム」(Absenteeism)や「プレゼンティーイズム」(Presenteeism)といった専門用語をご存じでしょうか。アブセンティーイズムは「欠席」、つまり従業員が欠勤している状態を指します。一方、プレゼンティーイズムは、「職場には出てきているものの、何らかの健康問題が原因で業務の生産性が落ちている状態」を意味します。この数値改善が期待できます。

 例えば、出社はしていても肩こりや腰痛で生産性を発揮できていない。でも、従業員は腰が痛いから仕事が進みませんとは言い出しにくいですよね。だから、Willysmで「赤」を入力している。実は、このようなヒントは経営層にとってみれば組織の生産性に関わる「コスト」の指標となり得るわけです。プレゼンティーイズムの削減に取り組むことは、企業全体の生産性向上とコスト削減につながります。Willysmを導入した従業員100人程度の組織の例です。導入直前のプレゼンティーイズムは百数十万円と試算され、その生産性や非効率性に驚いていましたが、導入6カ月後には6〜70万円まで落とせました。このように見えなかったコストの定量的な計算が可能になります。

 ストレスチェック制度は1年に1回のアンケートを実施しますが、義務化されているのは「会社がストレスチェックの機会を提供すること」であって、従業員側に答える義務はありません。また、アンケートの結果、高ストレス状態にある従業員に対して産業医面談をセットするなどの対策も考えられますが、その1回のアンケートで得られた情報だけで十分でしょうか。Willysmは、「定点観測のように継続的に従業員の状況が把握でき、適切なタイミングでアラートを検知できる」という点で産業医にも評価されています。

 注意点としては、導入企業の担当者に対しては「Willysmで得られた情報は、人事考課に使ってはならない」とも助言しています。これによって評価されるのであれば、従業員は誰も正しい情報を入力しなくなるでしょう。


図4 「プレゼンティーイズム」はコストである


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