飯山TRUSTを支える生産現場インタビュー

 

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掲載日: 2016/06/07
ITの現場力
 日本に生産拠点を構える株式会社マウスコンピューターの飯山工場に伺い、その生産工程を見てきた前編を受け、後編では工場長や現場を支える女性リーダーたちにインタビューを実施。それぞれのこだわりをはじめ、国内工場がもたらす信頼と高品質を支える「飯山TRUST」についてもうかがった。

前編:国内生産を貫くパソコンの生産現場に潜入!

後編:飯山TRUSTを支える生産現場インタビュー

1.工場長に聞く、現場を動かすマネジメント術
 まず、工場長の松本 一成氏に、飯山工場の特徴など、全体的なお話しをうかがった。

松本 一成氏:飯山工場 工場長

工場ではどのような方が働いていらっしゃいますか。
 現在工場で働いているのは120名あまりですが、繁忙期など季節によって変動があり、必要なタイミングで募集を行うというのが一般的です。工場で働いている人は、下は16歳から、上は60歳を超える方まで、幅広い層の方を採用しています。特に女性が多く、全体の7割は女性というのが飯山工場での特徴の1つです。雪国は辛抱強くモノづくりをすることには長けている土地柄だと思います。実際に働いている方は地元の方が多く、品質の高いモノづくりには適した場所だと考えています。
女性が多く働いていらっしゃるのは何か理由があるのでしょうか。
 特に女性を意図的に採用するというわけではないのですが、これまでの経験から、女性のほうがこつこつとした作業が得意な印象があり、働いてもらいやすい環境なのかもしれません。また、女性をリーダーとして積極的に登用していますが、そのほうが現場の声を引き出しやすい印象です。男性の場合、押さえつけてしまえば管理しやすいという傾向がありますが、そうなると現場の声が上がってきにくくなります。女性のほうが現場の声をうまく拾ってもらうことができると思います。実際、この飯山工場は女性に支えてもらっているといっても過言ではありません。
工場づくりにおける特徴はありますか。
 レイアウトについて柔軟性を持たせているというところでしょうか。ノートパソコンとデスクトップパソコン双方を扱っており、注文数によって工程やレイアウトを柔軟に変更して対応する必要があります。また、現場の意見を聞きながら作業効率が高められるような改善を日々行っているため、設置式のラックで固定するのは得策ではありません。工場内にあるラックはほとんどが可動式になっており、いつでもレイアウトが変更できるようにしています。

可動式のラックを用いて、レイアウトを柔軟に変更

普段から工場長として意識されていることはありますか。
 現場の声を柔軟に反映させられるような環境づくりを常に意識しています。現場の意見を聞きながら柔軟に運用を変更するなど、より良いものにしていくということを念頭においていて、QCサークルなども行われています。会社の愚痴も含めて自由に発言してもらうようにしています。
ほかに意識されていることはありますか。
 私から具体的な指示を出すのではなく、みんなに考えてもらうような投げかけをすることです。そうすることで、それぞれが自分自身で考えてもらうようにしています。目標を与えた上で、その達成に向けての方法は自由裁量で行ってもらい、何か課題が出てきたときにはしっかりフォローする。意見があればできるだけ尊重し、自由に進めてもらっています。もちろん意見を通したからには、そこには責任が伴います。
目標はどのように設定されるのでしょうか。
 会社としては半期に1度大きな目標が設定されますが、その都度立てる目標もあります。週単位での目標なども設定されますが、この目標自体の設定から管理まで、すべてリーダーである女性たちに考えてもらっています。大きな目標について伝え、それをどう落としていくのかは彼女たちの裁量となっています。
ご苦労されていることは何でしょうか。
 BTOというビジネスの特性もあって、日々の受注量がかなり大きく変動します。月によっては2倍ほど注文数に開きがあって、きちんとした生産体制を敷くのがとても大変です。営業のフォーキャストを調整しながらうまく合わせこむのですが、人の採用などが思うようにいかないこともあり、現場の方に残業の打診をお願いするなど、いろいろ苦労しています。ただ、変動負荷を100%吸収するのが日本の工場における大きな意義であり使命だと考えています。納期を守っていく、それが国産品質につながっていくと考えています。
品質のお話がでましたが、飯山工場としての品質を表現する言葉に「飯山TRUST」があります。工場長にとって飯山TRUSTとは何だとお考えでしょうか。
 日本の製造業で国内に工場を残しているケースがだんだん少なくなっているのが今の実態ですが、この工場を国内に残す最後の手段が飯山TRUSTだと考えています。国内に残るために必要な品質、品位、納期ということを意識する必要があります。考え方としては、工場という認識ではなく“工場がお客様サービスのメニューの1つ”になるわけです。価格で海外に勝つのはなかなか難しいところもあり、負けない領域をいかに伸ばしていくのかに尽きるのではないでしょうか。国内で作っているのに“なんだ、これは”と言われないよう、品質についてはこれまで以上に高めていく必要があると考えています。
品質を高めるために、お客様の声を現場にフィードバックする環境はありますか。
 サービスセンターやコールセンターに寄せられた声を現場にフィードバックする“気づきの掲示板”を用意しています。実際に工場の問題ではなさそうな声も含めてフィードバックすることで、新たな気づきにつなげられるような環境を作っています。
今後について教えてください。
 国内生産だからこそ得られる信頼性・品質を掲げている飯山TRUSTですが、まだ私のほうで満足できるレベルには達していません。この品質をさらに高めていく活動を考えていきたいと思います。ただし、製造不良を少なくするために管理を強化する、ということでは意味がありません。品質改善を強制するのではなく、「やらなきゃ」という必然をうまく作り出しながら品質を高めていけるような体制を作ることに腐心していきたいと考えています。
2.飯山工場を支える女性リーダーたちの本音
 ここで、飯山TRSUTを掲げる飯山工場の現場を支えている女性リーダーたちにお話を伺った。お話を伺ったのは、開発本部 開発部の星崎 睦実氏、製造二課責任者の小林 真由美氏、そして製造1課 検査工程責任者の畔上 悦子氏だ。

(左)星崎 睦実氏:開発本部 開発部
(中央)小林 真由美氏:飯山工場 製造二課 製造二課責任者
(右)畔上 悦子氏:飯山工場 製造一課 検査工程責任者

これまでのキャリアと普段のお仕事について教えてください。
 星崎氏:飯山工場では組み立てたパソコンに対してOSやアプリケーションのインストールを行っていますが、インストールを行うためのシステム開発や改善のためのシステムメンテナンスを手掛けています。飯山工場で働いて4年弱といったところです。これまでもプログラマやSEとして働いてきました。

 小林氏:製造二課を中心に、工場全体のラインコントロールを行っています。部品の投入から製品完成まで、人の配置も含めて調整する仕事です。飯山工場では8年ぐらいのキャリアです。以前はサービス業で働いていたこともありますし、コンピューターとは関係のない工場勤務の経験もあります。コンピューターにかかわったのはこちらに勤務してからです。
 畔上氏:セル生産方式で組み立てられたものに対して、OSやソフトウェアのインストールを実施し、動作確認をする検査工程の責任者をしています。この3人の中では一番長く働いており、飯山工場では10年ぐらいでしょうか。私もサービス業などで販売を経験していますが、コンピューターは初めてです。
普段の仕事で心掛けていることはありますか。
 星崎氏:私自身はソフトウェアのエンジニアですが、実は同じ職場にはハードウェア中心のエンジニアが多いのが現状です。だからこそ、何かあればソフトウェアの特性を生かせるような提案を行おうと常に心掛けています。例えば、人海戦術でやっているような業務があると、そこに小さなプログラムを作ってあげると時間の節約につながるのではないか、といった視点を持つということです。本来なら10回クリックしないと完了できない項目があれば、それをできる限り少ないクリック数で解決できるようプログラムのプロセスを改善する、といったことです。ソフトウェア的な視点でアプローチすることは、上司からも常に言われていることです。
 小林氏:ラインコントロールをする上では、生産計画に基づいて人の移動をお願いすることが多く、中には土日の出勤をお願いしないといけない場面もあります。だからこそ、できる限り現場を行き来しながら、コミュニケーションをとるように意識しています。何かおかしいと思えばはすぐに声をかけますし、新人が入ってくれば遠く離れたところから誰かが教えているのを見守ることも。同じようにラインコントロールをしているメンバーがほかに2名ほどいますが、注文票の振り分けから人員の調整まで、お互いの進捗を把握しながらうまく現場が回るように心掛けています。

 畔上氏:検査工程は現在10名ほどメンバーがいますが、できるだけ作業しやすいような環境づくりを心掛けています。例えば、OSがインストールできないといった、本来ならあり得ないような構成不良のオーダーがあったりするケースがあり、現場の作業が止まってしまうことも。そういうときはすぐに開発に確認を取り、できる限り作業者の手が止まらないようにフォローするといったことです。開発が検証している構成でも、どうしてもシステム上想定外の構成で注文できてしまうケースがあるため、そういった不測の事態でも現場が停滞しないよう意識しています。
それぞれのお仕事で工夫していることはありますか。
 星崎氏:現場の改善という意味では、2つのポイントがあると考えています。1つ目はシステム自体の動作時間を短くすること、そして2つ目は使ってもらうときに煩わしくなく、便利に使ってもらえるようにすることです。便利という視点では、例えば2回クリックするにしても、連続した2回と10分経ってからもう一度クリックするのでは手間が違います。できる限り連続してクリックできるような形で時間を短縮するという工夫を常に行っています。ただし、改善のきっかけは私ではわかりませんので、やはり現場の方にヒアリングを行うなど、日々教えてもらうようにしています。現場とは定例的なミーティングはありませんが、何かあれば私のほうで積極的に聞きに行きます。
 小林氏:注文が入るとオンタイムでその受注状況が把握できますが、明らかに自分たちが対応できる台数より多い注文が入った時には、前後の調整で何とかやりくりするようにしています。毎日注文がキャパを超えてしまうと吸収できるタイミングがないため、調整可能な範囲で日々細かくやりくりする努力をしています。毎朝行われる朝礼の場面では、今日や明日、明後日の状況を事前に説明し、工程ごとに注意点を周知しながら全体がうまく回るような環境づくりを行っています。

 畔上氏:いろいろ声掛けはしていますが、小林さん同様、キャパオーバーの時にいかにお願いできるかどうかというところでしょうか。台数が多いのでこの日は残業をお願いします、今日は何台まで頑張ろう、といったことを朝礼で話し合うなど、いろいろ工夫しています。できる限り気持ちよく働いてもらえるよう、バックアップを心掛けているところです。検査という面では、インストールしたらしっかり注文票にマーカーでチェックを入れるなど漏れなくチェックできるよう工夫をしています。
女性の方が多く働いていらっしゃいますが、職場の雰囲気について教えてください。
 小林氏:以前も工場で働いていましたが、自分たちの意見を採用してもらえるというのは大きな違いです。こうしたほうがいいというアイデアを出すと、じゃあみんなでやってみよう、という形でとり入れてもらいやすく、とても働きやすいと感じています。また女性が多く働いていますが、細かいところまで気が付くのは女性ならでは。女性のほうが飽きずに集中力も保っていられます。

 畔上氏:私はITが未経験でしたが、それほど敷居は高くない印象です。実際にはほとんど未経験からスタートする方も多くいます。女性が多いという面では、確かに検査をする場面でも女性のほうが徹底している気がします。気づきにくいことを教えてくれるというケースも少なくありません。
最後に、飯山TRUSTとは何だとお考えでしょうか。
 小林氏:パソコンそのものの中身はもちろんですが、外箱にまで気を使うことが目指す品質、飯山TRUSTではないかと考えています。段ボール自体が傷ついていても汚れていでもだめで、ここから出荷する時点ではきれいな状態で、ということをいつもみんなに言っています。これは各工程でも同様ですが、“この飯山工場から出るまでは自分たちでできることは最大限やりましょう”ということを全体的に徹底してもらっています。これが国内工場の信頼であり、高品質なモノづくりを支える飯山TRUSTだと考えています。

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