小型の「核融合」、10年で実現できるのか?

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小型の「核融合」、本当に10年で実現できるのか?

本記事はモノづくりスペシャリストのための情報ポータル MONOist から転載しています。

米Lockheed Martin(ロッキードマーチン)は、2014年10月15日、10年以内に小型の核融合炉を実用化できると発表した。1年間で設計やテストを完了し、5年以内にプロトタイプを試作する。もしも計画通りに実現すれば、60年にわたる核融合研究において、まさにブレークスルーとなる形だ。

航空宇宙関連を中心に開発・製造を行う米Lockheed Martin(ロッキードマーチン)は、2014年10月15日、10年以内に小型の核融合炉を実用化できると発表した*1)。今後1年間で設計やテストを完了し、5年以内にプロトタイプを試作、10年以内に核融合炉を生産できるという見込みを示した。
 同社の一部門であるLockheed Martin's Advanced Development Programs(Skunk Works)に所属する研究者Thomas McGuire氏は、出力が100MWありながら、大型トラックに搭載できるほど小さい核融合炉(CFR:Compact Fusion Reactor)が製造できるめどが立ったと説明している(図1)。現在の核融合技術で実現できる炉の寸法の約10分の1なのだという。
 図1の中心に見えるドーナツ型の部品は超電導磁石である。

*1) 同社はエネルギー関連技術に投資を続けている。例えば、世界初の海洋温度差発電所(出力10MW)の試験プラントの建設を2014年に開始している(関連記事)。
図1 実験設備を調整するThomas McGuire氏 [ 出典 ] 米Lockheed Martin
反応物質は従来と同じ

核融合によってエネルギーを生み出す方法は複数ある。同社が採用する反応は重水素と三重水素を用いるもの(DT反応)。反応に必要な条件(温度、密度、持続時間)が緩いため、最も実現しやすいと考えられてきた反応だ*2)。
 同社の核融合炉は「high beta fusion reactor」と呼ばれる技術だ。数mサイズの円筒形状の炉を想定している。内部に重水素ガスを注入後、電磁波を利用して加熱する。ちょうど電子レンジのような仕組みだ。ガス温度が16電子ボルト(1電子ボルトは約1万K)になるとプラズマ化して、核融合反応が始まるのだという。

*2) 核融合は太陽などの恒星が光や熱を生み出す反応でもある。太陽内部では重水素と三重水素の反応ではなく、4つの水素原子が3つの段階を踏んで結合し、1つのヘリウム原子に変わる反応が主に起こっている(ppチェイン)。太陽より重い恒星では、炭素原子や窒素原子、酸素原子があたかも化学反応における触媒のように働くCNOサイクルが主な反応経路となり、より大量のエネルギーを生み出している。CNOサイクルは温度の20乗に比例したエネルギーを生み出す(ppチェインは温度の4乗に比例)。重い恒星の寿命が短いのはCNOサイクルの燃料消費率がこのように非常に高いからだ。
実現すればブレークスルーだが

今回の発表には2つの「意外性」がある。開発期間が短いことと、反応炉の寸法が小さいことだ。どちらも既存の研究開発の水準から大きく懸け離れている。「進みすぎている」といえるだろう。同社によれば小型化によって開発期間を短縮でき、従来型であれば5年を要する設計期間を1年未満に短縮できるという。
 制御された形の核融合を発電に使おうという発想は古くからあり、1950年台には研究開発が始まっている。既に核融合反応自体を短時間起こすことには各地で成功している。ロッキードマーチンも、Skunk Worksでの研究開発が60年に及んでいると認めている。
 だが、これまでの研究開発では核融合を起こすために必要な入力エネルギーの方が、結果として出力されるエネルギーよりも大きい。これでは発電所にはならない。複数の研究機関において、発電所の「実用化時期」は何度も先延ばしされてきた。

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