クリニックミーティングのすすめ(1)〜概要とアプローチ段階〜

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クリニックミーティングのすすめ(1)〜概要とアプローチ段階〜

情報共有システム・コミュニケーションツール 2016/01/22

「クリニックミーティング」とは

上司と部下が1対1で行う「クリニックミーティング」は、部下にとって適切なアドバイスが受けられる貴重な会議となります。上司はこの時間を効果的に活用するために、必要なマネジメント能力を身につけておかなくてはなりません。今回からは「クリニックミーティングのプロ(職人)」としておさえておきたいポイントを連載形式で解説していきます。
(本記事は株式会社日本能率協会コンサルティング「営業・マーケティングの知恵ぶくろ」に掲載された記事を転載したものです)

 「クリニックミーティング」とは、営業競争力強化を図るために、マネージャーが営業担当者に対して、1対1で行うミーティングであり、マネジメント力を発揮する場と言えます。 その進め方の特徴は、月・週・日といったマネジメントサイクルに応じ、フェイス・トゥ・フェイスの問診的なやりとりを通じて行うことにあります。 「クリニックミーティング」を上手に進めていくには、適切なマネジメントポイントを理解し、部下を指導することが重要です。 事例に基づき、ミーティングの進め方を、セールス段階に合わせて3つのパートに分け、それぞれのマネジメントポイントを確認していきます。

事例の設定

 コピー、FAX、プリンターを始め、パソコンや業務関連ソフトなど、OA機器メーカーの営業所における、所長と社員とのターゲット顧客攻略活動についてのやりとりです。 ターゲット顧客は、GMエージェントという人材会社で、年商は50億。 オフィスやプログラム開発現場に人材を派遣しています。 現在、この会社に、複合機10台とパソコン100台を納入しています。 営業担当社員は、この取引先に定期訪問を繰り返しながら、ニーズ喚起を行ってきました。 今回は、総務部門からの紹介で、はじめて営業企画部門に訪問することになりました。事例企業の営業プロセスは、大きく3つのプロセスに分かれています。 最初は、顧客訪問とニーズ喚起を通じて、見込み案件を発掘する「アプローチ段階」、そして見込み案件の周辺情報を提供しながら相手のニーズを確認する「アタック段階」、顧客キーパーソンに対して提案し、購入を決めてもらう「クロージング段階」です。この事例を通じ、「クリニックミーティング」のポイントを確認していきましょう。

アプローチ段階の「クリニックミーティング」

所長 お疲れさま。短時間でミーティングをやろうか。昨日の訪問活動状況を教えてくれないかな。
社員: (訪問計画表を示しながら)昨日は、定期的に訪問しニーズ喚起を行う「種まき訪問」が2件です。 すでに提案依頼のあった案件に対する「刈り取り訪問」が1件でした。
所長 ところで、昨日は何件回る予定だったの。
社員: 5件です。
所長 何がなんでも訪問回数を増やせ、というわけではないが、3件は少ないな。予定より少なくなった理由はつかんでいるよね。
社員: 昨日は経費精算の締め日で、まだ交通費の精算が終わっていなかったので、早めに帰社し、事務処理をしていました。
所長 なぜそのような状況になってしまったのか。
社員: いつも、締め日までためてからでないとやらないからです。もっと前から計画的にやっていれば、こうはならないと思うのですが・・・。
所長 次からはどうしたらいいと思う?
社員: 締め日ぎりぎりに作業が集中しないように、前もってやるようにします。
所長 それじゃ、昨日進展のあった案件の内容を教えてくれるかな。
社員: (案件管理表を示す)
所長 確かに、先週よりは見込み案件が増えたな。GMエージェントで、進展があったみたいだな。
社員: はい。やっと見込み案件が出てきました。
所長 そうか、良かったな。ところで、見込み案件の定義は何だったかな。
社員: 1つは、お客さまにニーズがあること。2つ目は、購入意欲があること。
所長 それから・・・・。大事なことが抜けているな。考えてみろ。
社員: ・・・・・わかりません。
所長 3つ目は、お客さんの組織内で、案件がオーソライズされていること。 単に、窓口が購入意欲を持っているだけでなく、その上長も認識しているかどうかが重要なのだよ。
社員: そうでした。忘れていました。
所長 それじゃ、GMエージェントの話を聞こうか。確か、ここは3年前からの付き合いだったよな。確認のため、顧客カードを見せてくれるかな。
社員: この会社との取引は、現在複合機10台とパソコン100台を納入しています。 窓口の総務部門の谷口さんは、当社との付き合いも長く、いい関係ができています。
所長 そこまではわかった。GMエージェントは、他社のコピー機などは使っていないのか。
社員: 複合機は入っていませんが、競合企業がプリンターを3台納入しています。 
所長 その情報は、顧客情報シートに記入しているか。
社員: いいえ。
所長 情報シートに競合欄があるのは、何のためだ。把握した情報をきちんと書くのも、営業の仕事の一部なのだ。お客さまの情報は、会社の大事な資産なのだから、個人で抱えていないで、きちんと書いておこう。
社員: わかりました。今すぐ入力します。
所長 案件の検討に戻ろうか。新しく出てきた名刺管理ソフトの案件内容について、説明してくれないかな。
社員: この案件は、総務の案件ではなく、営業企画部からの問い合わせです。内容は、営業の方が、みんなバラバラで名刺を管理しているのですが、最近個人情報保護の面から問題になっているそうです。
所長 お客さまのニーズは、本当にそれだけだろうか。個人情報保護だけで、名刺管理ソフトの導入検討の話になるだろうか。もっと別の理由があるかもしれないな。GMエージェントのビジネスを考えた場合、他に困っていることはないだろうか。
社員: そうですね。今、人材派遣ビジネスは、非常に競争が厳しくなっています。今回の案件の対象となる営業は、かなり少ない人数で、多くの新規開拓をしなければいけないと聞いています。 そうすると、新規開拓の効率を高めることが、急務の課題ではないでしょうか。
所長 いいところに気づいたね。そう考えると、そこに名刺管理ソフトのニーズはないだろうか。 お客さまが話していないからといって、ニーズがないとは決められないよ。 こちらが課題を想定してぶつけることで、お客さまの本当のニーズが引き出せることもある。
社員: 確かにそうですね。新規開拓の効率化を考えると、名刺情報を一元管理することで、ターゲット検索がやりやすくなります。 次回行く時に、その部分のニーズがないか確認してみます。
所長 ただ確認するだけでなく、現在ターゲット検索をどうやっているか訊くといい。 こうした具体的な事実を確認することが、後の提案の時に効いてくるということがよくある。 ところで、この案件はすでに競合企業にも情報が入っているのかな。
社員: わかりません。次回訪問時に、その部分も確認してみます。競合企業についても確認してみます。
所長 ところで、この会社の営業拠点は、1ヶ所なのか。
社員: 大阪と名古屋にも、営業所があります。
所長 そうか。そうすると、個人情報を保護しつつ、名刺情報を一元管理するには、クラウド(データを自分のパソコンや携帯電話ではなく、インターネット上に保存する使い方、サービスのこと)の方がいいかもしれないな。
社員: その部分も確認できていないので、次回訪問時に確認します。
所長 そうしよう。確かに見込みはありそうだが、情報不足だな。それで、次はいつ訪問する予定なのか。
社員: 来週月曜日に訪問する予定です。
所長 それじゃ、次回訪問するときの目的を整理してみよう。
社員: 次回訪問する目的は、まずターゲット検索をしやすくするためのニーズがあるか。もう一つは、競合企業がすでにこの案件に関与しているかどうかを確認し、さらに現在のターゲット検索方法の実態をヒアリングします。
所長 そこまでは次回訪問時に確認する宿題だな。その次は?
社員: 名刺管理ソフトのデモを行い、商品に関心を持ってもらいます。
所長 そうだな。いいデモをするためには、何をしたらいいかな。
社員: 差別化につながるポイントを整理して、その部分をいかに強調するかを考えます。 
所長 いいデモをするためには、相手のニーズを想定すること。名刺情報を一元管理すると、どれだけ簡単にターゲットが検索できるか。 そこをデモの中心にしたらいいじゃないか。
社員: はい。わかりました。
所長 よし。次回またいい話が聞けることを期待しているよ。それじゃ、次の案件にいこうか・・・

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「アプローチ段階」では、まず、見込ユーザーの判定基準を徹底的に理解させることが重要です。そして、具体的な事実をきちんと押さえ、その事実を報告するよう働きかけることを通じて、具体的な事実を調べておくことの大切さを教えます。また、ユーザーのニーズを知ることの重要性も教えます。部下の気づかなかった販売機会を指摘します。さらに、競合の動きを把握しておくよう働きかけます。

 (株式会社日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタント 笠井 和弥)

「クリニックミーティング」に関する、より詳細の解説をご希望の方は、2月5日(金)掲載予定の「クリニックミーティングのすすめ(3)〜クロージング段階〜」記事の最下部に、動画での解説コーナーへのリンクを設置いたします。よろしければこちらも合わせてご覧下さい。
企業プロフィール

 株式会社日本能率協会コンサルティング
日本の経営コンサルティングの草分けである日本能率協会コンサルティング(JMAC)は多くの企業と向き合う中で、文化や習慣の違いを超えて、国内や海外を問わず通用する独自の経営管理技術を確立。クライアントの中にある本質的な力を引き出しながら問題解決につなげていく。 コンサルティングの現場で得た経験や知見、問題解決の視点などを、それぞれコンサルタントがコラムにて連載中!

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